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松本紹圭さんの記事

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2022年12月の記事一覧

観音する

観音する

先日、山形出張合宿に行ってきた。産業僧として関わっている、クライアント企業の社長と、少人数の若手リーダー社員、そして、産業僧事業を一緒にやっているサイエンティストチームの、総勢8名だ。庄内ではちょっと有名な水田テラスに泊まり、イタリア語のように聞こえる庄内弁を名前とするレストランに行き、羽黒山に参拝。仕事と呼ぶにはお楽しみ要素がずいぶん多いようにも思うけれど、楽しいからこそ発想も広がるわけだし、そ

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2022 年末に寄せて

2022 年末に寄せて

今年、安倍首相暗殺のいたましい事件を契機に、旧統一教会と政治の癒着、さらには、そのカルト性が生み出す問題の深刻さに世間の注目が集まった。

私の見るところ、組織のカルト性とは、関わる人を他から孤立させ、その組織とのつながりを唯一の依存先にさせようとする力学の強度である。その視点からすれば、カルト化するのは宗教組織だけではない。高い理想を掲げて社員を熱狂へと導くベンチャー企業のパーパス経営しかり、あ

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僧侶 / Ancestorist

僧侶 / Ancestorist

これまでずっと、「僧侶」と名乗ることに、どこか違和感を持ち続けてきた。

それにはいろんな背景がある。

まず、一般的に「僧侶」というときに想像される、「住職」に近い意味合い、つまり、どこか特定のお寺に蟄居し、檀家に支えられて、檀家の先祖を守り、葬儀や法事といった死者供養の営みに奉仕する僧侶、という形では、私は僧侶としてほとんど活動していないこと。

また、一般的に「僧侶」というときに想像される「

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念仏サバティカル

念仏サバティカル

『グッド・アンセスター』の著者、友人のローマンにメールを送ると、たいてい、数秒も経たずに返事が来る。もちろん、ローマンがいつもメールに張り付いている訳ではない。自動返信メールで、こんな感じの文面がテンプレートで送られてくる。

日本人にはあまり馴染みがないかもしれないが、この手の自動返信メールは、欧米の人はかなり一般的に使っている。ローマンの場合は、2年間のサバティカル(自分の研究や執筆に専念する

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どうしても選べない浄土真宗の信仰

どうしても選べない浄土真宗の信仰

「なぜ浄土真宗を選んだのですか?」

時々、聞かれる質問だ。
実は、自分としてはそんなに選んだつもりはない。

「お坊さんになりたい」と思ったのは確かだけれど、そう思う縁となった当時の友人(小池龍之介さん)づてで訪ねたのが、たまたま光明寺(西本願寺)だったというのが大きい。その時、北海道の祖父が住職をしていたお寺も浄土真宗(東本願寺)だったから、まぁ、同じ浄土真宗だし、どうせ坊さんになるなら、それ

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