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2022年8月の記事一覧
【金利入門#3】株価と金利の関係㊥
5日前に流した「株価と金利の関係㊤」(下記リンク)、とても好評いただきました。その翌日、パウエルFRB議長講演@ジャクソンホールで、利上げ警戒が再び強まり、株価が急落しました。世の中の関心としてもちょうどいいタイミングで、直近の動きにも触れながら説明していきます。
なにかを学ぶとき、いきなり分厚い本を読むよりも、最近の話題に関連付けて少しずつ知見を積み重ねていくほうがいいように感じています。その
2023年の「利下げ」予想は後退
8/26のパウエルFRB議長講演@ジャクソンホールは米国株急落につながり、高い注目を集めました。定点観測として、市場の金融政策予想の変化をお伝えします。まずいつもの利上げマップから。
9月の利上げ幅は「0.75%」がやや優勢。11月は0.50%利上げ、12月は0.25%利上げとペースが鈍化し、来年序盤に利上げ停止――というのが市場のメインシナリオです。
この数週間の変化は来年の「利下げ」予想の
【補足】ジャクソンホール解説 もう一歩深く
日本時間金曜夜のジャクソンホール会議。パウエルFRB議長の講演をきっかけに株価が急落しました。
👇の記事でポイントを速報しましたが、きょうはもう少し深掘りします。
パウエル議長は1970-80年代や2000年代の教訓も踏まえ、物価安定の重要性を説きました。このことが「景気配慮より、まずはインフレ退治」との強い姿勢を受け止められました。講演での重要キーワードを軸に、超かみくだいて解説します。
米国株急落 パウエル講演@ジャクソンホール
金融市場が大注目のパウエルFRB議長講演@ジャクソンホール(8/26)のポイントです。7月FOMC議事要旨をおおむね踏襲した内容でしたが、インフレ退治への決意を強調し、早すぎる金融緩和に慎重な姿勢を示しました。金融市場では「タカ派(利上げに積極的)」と受け止められました。株価はNASDAQが3.9%安となるなど急落しました。
もっとみる米インフレ CPIよりPCEが重要
米インフレが金融市場や世界経済の焦点となっています。毎月中旬に発表されるCPI(消費者物価指数 Consumer Price Index)に注目が集まりますが、金融政策を見通すうえでは毎月末ごろ発表のPCE(個人消費支出 Personal Consumtion Expenditure)物価指数のほうが重要です。その違いを説明するとともに、パウエルFRB議長自身がPCEを重視する考えを示した最近の発
もっとみる【金利入門#2】株価と金利の関係㊤
おとといスタートの「金利入門」。有料記事にもかかわらず1万以上のアクセスがありました。「大事そうだけど、やっぱりとっつきにくい」という方が多いようで、解説しがいのあるテーマだと再認識しました。
前回、金利は「経済の体温」と説明しました。ほどよく温まっているのが健康的だけれども、高けりゃいいというものでもない。そして、「金利と景気」の関係は単純ではないという話でした。
今回のテーマはそこから延長
【金利入門#1】まず金利って?
「金利って、わかりそうで、よくわからない」。そんな方、多いのではないでしょうか。それでいて、ニュースでは「FRBが異例の利上げ」「金利差で円安」「金利上昇で株安」と金利の話が相次ぎます。あいまいなまま聞き流していると、頭の整理が追い付かなくなります。
というわけで、「金利入門」の連載を始めます。誰にでもわかるように、でもいま抑えておくべきポイントをしっかりつかめる説明します。週1-2回のペースで
値上げ加速 食品・エネルギー…円安でコスト高
日本でも値上げが加速しています。さきほど発表の7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.4%の上昇(生鮮食品を除く)となりました。2008年の原油高騰時とならぶ急なインフレです。エネルギーも除いた指数では1.2%の上昇で、やはり2000年以降で最も強いインフレに迫ります。
上記は消費税増税の影響を除いたグラフ。2008年には原油高騰で2.4%まで上昇しましたが、今回はそのときに並びました。民
7月FOMC議事要旨 ポイントまとめ
7月開催のFOMC(米金融政策を決める会合)の議事要旨が発表されました。市場で注目された主な箇所を英文も載せて、まとめます。
なお、「市場との対話」や「FOMC議事要旨」については下記記事で解説しています。
◆ 主な注目箇所With inflation remaining well above the Committee’s objective, participants judged tha
【速報】米CPI 市場予想下回る 株急上昇
金融市場が大注目の7月米CPI(消費者物価指数)。市場予想を下回り、株価は大幅高、為替はドル安が進みました。CPIの要点、内容、市場の反応、金融政策の見通しを一気にまとめました。
7月総合は前年同月比8.5%上昇と、市場予想(8.7%)を下回りました。6月実績(9.1%)からも伸び率が鈍化しました。コア(除く食品・エネルギー)も5.9%と市場予想(6.1%)を下回りました。短期間の風向きの変化を
学校訪問 増やします
9月から学校へ訪問して、経済や投資について話す場を増やせればと思っています。7月に都内の中学校を訪れたのですが、そこでの生徒さんの発言や反応から学ぶことがとても多かったからです。
そもそも経済#6 実質金利って? 株価・景気を左右
最近、経済ニュースで「実質金利」という言葉が増えてきています。何度か聞いたことある方も「わかったようで、また忘れる」という方が多いのではないでしょうか?
このnoteでは、どこよりもわかりやすい説明となるよう奮闘しました。それでいて、株価や景気への影響もすんなり頭に入るようにしています。というわけで、始めます。
◆ まずは計算式この記事では何度かこの式を出しますので、なるべく頭に入れてください
そもそも経済#5 米雇用統計 なぜ重要?
久しぶりの「そもそも経済」です。なにげなく聞き流している経済ニュース。「そもそも何?」「そもそもなぜ?」を掘り下げることで、ニュースの意味がもっとわかることを目指したコーナーです。
今回は「米雇用統計 なぜ重要?」です。
雇用統計は世界で最も注目される経済指標といわれます。結果と市場予想との差を巡って、金融市場をしばしば揺らします。しかし、日欧では雇用データはそれほど注目を集めません。なぜ米雇
FRB入門#8 市場との対話㊦
「市場との対話㊦」、この1週間ほど予定が急に詰まり、㊥から1週間ほど空いてしまいました。ただ、少し遅れたのは、かえってよかったように思います。この間にFRB高官の発言が相次ぎ、雇用統計のサプライズもあって、市場の金融政策の予想が結構かわったからです。
この1週間ほどの出来事を振り返りつつ、「市場との対話」の意味合いを少し俯瞰してまとめたいと思います。
本題の前に、7/27のFOMC後のパウエル