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オウンドメディアの体系的なCV設計理解、あるいはKPI因数分解について

なんかこのテイストのタイトルが流行ってるっぽいので朝のテンションでやってみました、後悔はしていないです。

オウンドメディア運営とKPIモニタリング

いきなり脱線しましたが、ゆうべマーケに携わるとある女性とオウンドの運営状況等について話あったんですが、彼女の目下の悩みはトラフィック改善やそのKPIモニタリングとのことで。振り返りポイントが月次で、かつ手動でデータを集計していると。このあたりもっとカンタンにしたいとのことで、僕自身、データ集計・加工含め得意なので僭越ながら色々お話させていただいたと。

彼女の場合、オウンドメディアにおいて、ひとつの指標となる「リード獲得」と、その源泉となる「トラフィック」までの流れや関係性について体系的に整理できているので話は早かったんですが、人によってはそもそもその整理がついていない方もいるはず。もしそうなると、定められた指標があっても定点観測したりそれをもとに改善したりしようが無いよなと思いまして。

というわけで、前置きが長くなったんですが、駆け出しオウンドメディアマーケター向けに、データの集計以前に知るべきこととして「オウンドメディアのKPI因数分解、あるいは体系的なCVポイント設計について」と題し、紹介していきたいと思います。

「今更人に聞けない〜!」と思ってる方にはオススメかもしれません。

課題感のおさらい

改めて課題感のおさらいです。駆け出しのオウンドメディアマーケターを想定しています。

・リード数が成果目標だけど、どうPDCAサイクルを回すべきか?
・どの指標を改善すれば成果が最大化するのか?
・そもそも成果が生まれる仕組みって……?

これらの悩みを解決する上では、CV(今回は“リード数”と定義)が生まれる仕組みを体系的に理解する必要があり、そのためにはKPIを因数分解し、「ユーザー行動」と「KPI」を紐づけて理解するのが比較的早いかなと思っています。

以下に、具体的に解説していきます。
※ 媒体特性や運営方針によってその設計は異なるため、あくまでひとつの一般論として捉えてください。

前提

CV(リード獲得)を因数分解していくと、下図のとおりになります。

例えば、

①1万UU × ②CTR 1% = ③100クリック
③100クリック × ④送客後CVR 10% = 10CV

といった計算が可能です。この際、オウンドメディアとしてのCVRは、 10CV / 1万UU=0.1%ということになります。

ちなみに、

・③の「送客クリック数」とは、サイト内からCVポイントへの送客数を意味します。
・①のUUは、セッション数に置き換えていただいても差し支えないです。

上記は、企業の方針に応じて置き換えてください。

では、これらを【1】集客フェーズ と 【2】CVフェーズ と定義し、施策例とあわせて以下にみていきましょう。

【1】集客フェーズ

①UU(またはセッション)

母集団となる指標です。例えばSEOをはじめ、以下のような施策がUUに作用します。逆に言えば、この数字をもって以下のような施策を改善できます。

・SEO
・SNS
・Referral(ポータル/キュレーション等)
・AD(インタレスト/リタゲ等)
・メルマガ等

②CTR

UU(またはセッション)に対し、送客導線がクリックされた割合です。③送客クリック数÷①UU数 で算出可能です。以下のような施策がCTR(そしてクリック数)に作用します。逆に言えば、この数字をもって以下のような施策を改善できます。

・バナークリエイティブ訴求
・アンカーテキスト訴求
・導線配置(右カラム/記事中・記事下/ヘッダー・フッター等)
・WEB接客ツール
・グロナビや右カラムのフローティング等

これらはCVポイントへの遷移を前提にしていますが、そもそも遷移させなくともサイト上に直接フォームを設置することで遷移時の離脱を防ぎ、CVRを高める施策も考えられます。

この場合、因数が少なくなり「フォームのリーチ(またはインプレッション)×CVR=CV数」というシンプルな数式で表せます。

【2】CVフェーズ

③送客クリック数

CVポイントへの送客(クリック)数です。UU×CTRで求められます。

この送客数を高めるポイントは、ユーザーにとって適切な間口。この間口次第で集客時のCTRも、送客後のCVRも変わってきます。

例えば以下のようなCVポイント・施策が間口に影響します。

・無料トライアル
・見積もり
・問い合わせ
・eBook
・メルマガ等

前述の通り、①と③の組み合わせ次第でCTRや送客後CVRが変わってくるため、最適な組み合わせのための「間口」が重要になります。例えば、潜在層ユーザーに対して顕在的なCVポイントを訴求してもCVには至りません。

潜在層なら潜在層向けの、顕在層なら顕在層向けのCVポイントを設計することで、導線の最適化を図りやすいと考えられます。

④送客後CVR

CVポイントにおける打率です。リード数÷③送客クリック数 で算出可能です。③×④でリード数を求められます。

「EFO」のような施策が送客後CVRに作用します。逆に言えば、この数字をもって「EFO」のような施策を改善できます。

【参考1】“点”でも“線”でもなく“面”で捉えよう

①〜④において、各個別的に数字の良し悪しを判断しても“点”でしかないため最大化には繋がりづらいでしょう。またシンプルに考えると「UU×CVR=CV」という計算も可能なのですが、この線だけで良し悪しを判断しようとしても、適切なPDCAを回すのはまだまだ難しいものです。

例えば、下図のような状況で、

リード獲得は順調、そして③送客数と④送客後CVRの双方が順調だったとしても、実は②CTRに課題を抱えている可能性もあります。

これが改善されればリード獲得は更に順調になるでしょうし、逆にその改善が追いつかないまま①UUの絶好調っぷりが途絶えると、一気にリード獲得が悪化する恐れもあります。

適切な粒度で因数分解し、各進捗を“面”で捉えることで、PDCAサイクルの精度は向上すると考えています。

【参考2】明日からいかせる事例

参考までに、明日からいかせる事例を3社紹介します。ここでは②のCTR改善を図るべく導線設計の工夫を知ることで、最適化のヒントを得ていただければ幸いです。

(1)BIZ KARTE「フローティング」

MFさんの運営する「BIZ KARTE」では、右カラムにeBook導線を貼っています。この際、フローティング表示にすることで記事を読み進めても、導線が表示され続けるためCTRが高まると考えられます。(eBookの種類も豊富で間口も広がっているはず)

実際には、サイト上でお試しください。

(2)HR NOTE「カテゴリ×右カラム導線表示切り替え」

ネオキャリアさんの運営する「HR NOTE」では、記事カテゴリによって右カラムの導線を都度出し分けています。これにより、多様なサービスと多様なコンテンツの間口を適切に結びつけています。

実際には、サイト上でお試しください。
・「新卒採用」カテゴリの場合

・「中途採用」カテゴリの場合

(3)SELECK「入力フォーム×WEB接客」

先ほど紹介したように、わざわざ遷移を挟まずとも、メディア上に直接フォームを露出することで、離脱を防ぎつつCVを狙うことができます。とはいえ、常にメインのカラムや右カラム等で長い入力フォームが挿入されていても見栄えが悪く鬱陶しいもの。

RELATIONSさんの運営する「SELECK」ではこの課題を解決しています。具体的には、「satori」によるWEB接客で入力フォームを直接表示させているほか、このポップアップは閉じることも可能なので、メインカラムや右カラムにはフォーム挿入されず煩雑になりません。

おわりに

どこを改善すれば、目的指標が最大化されるのかは、業界やターゲットによって異なります。

繰り返しになりますが、CVが生まれる仕組みを適切な粒度で因数分解し、各進捗を“面”で捉えることで、PDCAサイクルの精度向上を図るのが大切かなと思います。

少なくとも、その成り立ちを体系的に理解しておけば、言われれるがままに数字を言い渡されることなく、数字面含めイニシアチブとって主体的に運営できるんじゃないかなと。

一方で、オウンドメディアのPDCAにおける「C」は、基本的な指標を集計・加工するだけでもそれなりの時間が掛かるので、パパっと実践する方法を別途まとめたいな〜と思っています🍢

そもそもオウンドメディアにとっての「数字」ってなんなんだろ、みたいな疑問をお持ちの方は是非以下のnoteもご覧くださいマシン🍢

画像出典:ぱくたそ(©すしぱく)

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