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中国近代歴史建築 上海・金門大酒店


 以前、南京から帰る途中に上海で泊まったホテル。上海中心部の南京西路、人民広場の北側向かいにある。地鉄「人民広場」站も目の前にあり、交通に遊びにとても便利な場所だ。外観からして、重厚で落ち着いた近代建築の風格がある。1989年に上海市級文物保護単位に指定された歴史建築である。
 この建物は1926年に竣工したイタリアルネサンス様式風の建築だ。じつに80年余りの歴史があり、その趣を今に伝えている。現在は最上階に1フロア増築されて9階建てだが、本来は8階建てだったという。エントランス附近の外部は石造り。内装は白い壁を基調にダークブラウンの木造の扉や階段の手すりが色彩のコントラストをなしていて、階段や廊下、その床に敷かれた赤いカーペットなど、近代建築ならではの落ち着きと雰囲気がある。ロビーは天井装飾やドーリア式円柱があり、照明の光色も雰囲気と清潔感を醸し出している。部屋も同様の白壁+ダークブラウンの木造で、とてもシンプルだ。
 建築年代が古く、改装や修復も本来の姿を損ねないように手を入れてあるため、建てつけがやや悪くなって扉を閉めるときバタンと大きな音がしたり、廊下や階段がギシギシと軋んだり・・・、でもレトロな雰囲気を楽しむ人にはこれもちょっとした風情だ。ひとつの階に中間階があるような構造のため、同じ階でも部屋番号によっては階段を上がったりする若干迷路のような造りになっているのも、これまた歴史建築の趣を感じさせる。個人的にはこのホテルの外観も内装もとても気に入っている。

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