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熊野古道・西国三十三所

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2022年10月の記事一覧

「餅つかぬ里」の正月料理「ぼうり」

「餅つかぬ里」の正月料理「ぼうり」

 「餅つかぬ里」があると聞きいた。旧大塔(おおとう)村(田辺市)の中心部から富田川の支谷を東へ3キロさかのぼった、小川という20軒ほどの集落だ。

 宮越明治さん(1930年生まれ)が幼いころは、正月に餅を食べず、サトイモの親芋を2日間煮こんで醬油と塩で味をつけた「ぼうり」が膳にならんだ。学校では「小川は餅もつけんくらい貧乏や」とはやされた。
「小川だけ餅をつかんの、なんでや?」と父にたずねた。

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