風がやんだ あれだけ強く吹いていた風がやんだ 木の梢はもう そよとも音を立てず 小さな子ど…
明るい月の夜に明るい月のこどもを産んだ 明るい月の夜に明るい月が体に入り そして明るい月…
朝の五時 灰色の靄の中を 羽を広げたカラスが舞い降りる 夢とひとつづきの朝 カラスを肩…
しっかりと抱きしめていたはずの 言葉が わたしを振りほどいて 走っていった 笑いながら する…
I had a dream, without words I had a dream, without words, in your arms I…
子鹿のようにブルブルと震え 喉をカラカラにして 大都会に 大海原に 大宇宙に 地球ほどもある…
ボローニャからミラノ 春のロンバルディア平原を 列車がすすむ 通り過ぎてゆく緑の平原 糸杉が…
ことばとわたしは 不可分なのだと 思っていたけれど 実際の関係はといえば 強くも弱くもある…
鍵をかけることにしました ええそうなんです 鍵をかけることにしたんです だってまあそうじ…
睦月、 凍てつく冬の夜 暗がりの 巨大な地蔵の前の水入れに 水仙の こんもりとした花束が…
春が来たのだ ものみな芽生く春が こころ置かむ 街の音包み消し去る春雨の中に …
皮膚一葉 あふれる水を 湛えおり 逆光に 眼を閉じふれる のどぼとけ なぞれる…
ふたりでさまよう森のなか 急にひらけた斜面には 燦燦と 太陽の光が 燦燦と 降っていた 緑の…
早朝の町には音が少ない 遠くの鳥の声 ざーという、町から立ち上る気配 東からのすきと…
夜の道は どうしてこんなにも懐かしいのだろう 駐車場の車の周りに落ちる静寂 木々の密やかな…