イラストレーターとアーティストの違いは「伝わりやすさ」
絵の仕事には大別すると2つあって、一つはイラストレーター、もう一つはアーティストです。
この二つは主に「伝え方」が違います。
イラストレーターとアーティストの違いを知り、どちらを目指すのが適切か考えるきっかけにしてもらえると嬉しいです!
イラストレーターは用途に合わせて描く
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イラストレーターの仕事は、ゲームや小説の挿絵を描いたり、商品のイラストをデザインしたりが多いです。あるいはオリジナルのキャラクターやスタンプを作成し販売することもあります
これらに共通するのは「多くの人に良いと感じてもらうこと」
この「良い」はただ「上手い」ということでなく、「目的に応じた的確なイラストである」ということです。
たとえば、スタイリッシュな最新ゲームのキャラクターを注文されたのに、古臭い絵を納品するということがあってはいけません。
なぜならそのようなイラストは、多くの人に「昔ながらの古風なゲームだ」と感じさせてしまい、本来伝えたかった意図とずれてしまうからです。
用途に合わせて「多くの人に狙った感情を抱かせる」というのがイラストレーターの本質なんです。
イラストレーターの絵は「注釈」が目的
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このことは、イラストレーターの語源「illustrate」の意味からもわかります。
illustrateの意味は「図や挿絵を使って説明する」です。要するに、イラストレーターというのは「何かをわかりやすく伝えたり、注釈したりするために絵を描く」ということです。
先ほどの例でいけば「これはスタイリッシュな最新ゲームです」ということを、パッケージだけでユーザーに伝えるのがイラストレーターの役割です。
あるいはバズ狙いの趣味イラストであっても「みんなが何を求めているか」を常に考え、「あなたが見たかった絵はこれですよね?」を絵を使って説明してあげるのが、イラストレーターなのです。
アーティストは伝わりづらくても良い
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一方でアーティストは表現自体に「伝わりやすさ」だけを求めません。
時に伝わらなくても、自分の好きな表現をしたり、斬新な表現で世間を驚かせようと工夫します。
むしろ昨今は「簡単には伝わらない」からこそアーティストの絵には価値があるとも言えます。ピカソは戦争の悲惨さを訴えるためにゲルニカを描きましたが、もしピカソがイラストレーターであったなら、もっと風刺画のようなわかりやすい絵になっていたかもしれません。
このように、アーティストの表現手法は非常に回りくどく、時にその表現は額縁や「絵」という枠組みすら超えてしまいます。現代アートはその代表ですね。
「何かを伝える」という部分はイラストレーターと同じですが、「伝えたいことをわかりやすく説明するような絵」ではなく、「伝わりづらいけど何かを感じさせる絵」を描くのがアーティストなんです。
イラストレーターとアーティストの見分け方
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以上の違いを踏まえれば、自分がイラストレーター傾向かアーティスト傾向かを見分けるのは難しくありません。
たとえば「笑っている女を描く」と決めた時
「多くの人に伝わりやすい笑顔の女性・女の子」を描いたら、イラストレーター傾向
「自分にしか表現できない”笑う女性”の表現」を描いたら、アーティスト傾向になります。
前者は「みんなが思い描く女の子の笑顔」を重視し、後者は「自分の思い描く女の子の笑顔」を重視しているわけですから、これがまさにイラストレーターとアーティストの違いになります。
はっきり分かれていないこともある
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ただし、全ての絵描きがはっきり2種類に分かれているわけではありません。
イラストレーターとアーティストの表現をうまく混ぜる人もいますし、仕事によってイラストレーターとアーティストの表現を使い分ける人もいます。
それでも、どちらが自分に向いているかを考えておくのは大事ですね。
それを知っておけば、これから絵の描いていくにあたって、良い指針になると思います…!
ちなみに自分は何だかんだイラストレーター傾向ではあります。が、細かな表現にアーティスト魂が入ることがあるので、イラストレーターとして仕事する上ではそのことに注意して依頼を受ける必要がありますね。
というわけで今回は以上です!
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