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「正解を知っている」と「間違えた原因を知っている」の違い

発達障がいを持つ子供たちに英語を教えているリタです。

発達障がいといえど多種多様、特性は様々ですね。一人ひとりに合わせることの重要性は考えても考えても尽きません。

今日は、自閉症スペクトラムの中でも高機能自閉症(知的な発達の遅れのない自閉症を高機能自閉症と言います。2013年あたりまではアスペルガー症候群と呼ばれていました。)と呼ばれる特性があるお子さんの実力テストを見せていただきました。実力テストは広範囲から出題されるので、その子がどこで混乱しているのか、腹落ちしていないかを知る良い手段になります。このお子さんは、五教科全てでトップの成績を取っているのですが、英語のテストの点数が低くなってきたことに危機感?焦り?を覚えているようでした。とはいえ、現在の英語の成績はおよそ80点あたりです。

実力テストから見えた彼女の課題

1)動名詞と不定詞(「to」と「ing」)の使い分けを混乱

2)ひとつ先をいく間違い

1)は勉強が得意な彼女に取っては問題がないと思われ、混乱している部分の整理整頓をすれば解決しそうです。しかし、私が懸念を覚えたのは2)の方です。彼女が間違えた内容で説明しますと・・・

・テスト問題:「サッカーをしませんか?」を英語にしなさい

・彼女の答え:「Don't we play soccer?」

・正解:「Shall we play soccer?」

そりゃ〜「Shall」でしょう!

・・・と思ってしまったあなた!ちょっと待って!(笑) 「Shall we dance?」という映画も流行りましたし(年代ですね!)、そうなるのはわかるのですが。

英語には「Why don't we〜」で〜しませんか?という言い方があるんですね。彼女が理解していなかったのはおそらく「Shall」ではなく「Why don't we〜?」の方です。

なので、”〜しませんか?は、「Shallだよ」” と端的に教えるのは、一旦保留して欲しいのです。

勉強が得意な彼女が ”提案をあらわす英語は 「Shall " の説明に納得したでしょうか?モヤモヤしているのでは・・・!?何か物足りない気持ちでいるのでは?

正解だけを教えられるのと、何が原因で間違えたのかを理解できるのは子供にとってはずいぶんと違いがあると思うんです。何が原因で間違えたのかを理解してもらい、その先に、この問題に対する正解があると思うんですよね。なので、何が原因で間違えたかを認識していない教師(つまり英語の全体像がよく見えていない人)が教えてしまうと、端的に教えてしまうので説明に説得力がなく、ただ覚えるだけの勉強になりがちです。問題と正解をマッチさせる精度の高さを求められるなら、AIに取って代わられそうですね。そこに人間が介入する価値は、彼女が何をどう間違えたのか、その背景は何かを想像し、対応策の提案と、その子にとってどうすれば記憶に残るのかを模索することなのだと思います。

私が教えるのであれば、

★私:「あ、サッカーして遊ばない?っていう提案する文章を作るんだから、「Why don't we」って書きたかったんだね〜。それだとWhyが抜けてる。惜しいなぁ!」

★お子さん:「あ、そうだったんだ・・・。」

★私:「これは決まり文句だから覚えちゃおう。」

★お子さん:「Why don't we play soccer?」

★私:「Well done!! そして、その先ね。ここは何語で書くことが求められている?

★お子さん:「あ、この下線部が1本っていうのは1語で書けって意味なのか」

★私:そうそう!Why don't を使うと2語になってしまうから、1語で表現するには何を使えばいいんだろう?

★お子さん:「う〜んと・・・Shall?」

★私:「Yes!! Good job!! そういえば昔さ、「Shall we ダンス?」っていう日本の映画がなんとアメリカでヒットしちゃったんだよ〜。すごくない?「Why don't we dance?」だとタイトル的に長くてキレがなかったのかも・・・。」

★お子さん:「確かにそれはあるかもなぁ〜・・・。」

みたいな話になります。(多分!笑)

納得感を持って一歩ずつ歩んでほしいと思うリタでした。高機能自閉症の友人がいますが、対人関係では「普通それ言わないでしょ」みたいなズバッとなモノ言いをするので物議を醸し出す時もありつつ、彼女は能力の高さを存分に活かして仕事をしています。彼女はフランスの大学を卒業、その後フランスで働き現在は日本在住、「能力解放!」ができる職場環境でイキイキと働いています。もちろん苦労もあるとは思いますが。

「空気を読む」能力を求められることが多い日本において、IQ値が高い子供たちがどれくらい生きやすく、伸び伸びと能力解放をできる場所が見つけられるでしょうか。

子供たちに、海外に羽ばたく架け橋となる英語に力を入れていただきたい(海外に住めという意味ではありません)、それがいつか彼らが想像もしていなかったような世界に連れて行ってくれるのではないかと考えます。諸事情はご家庭やお子さまによって様々ありますし、そこに重要なことがあるのも事実です。しかし、子供たちが生きやすい場所を見つけるための、想像もしていなかった世界に出会う「可能性とチャンス」があることをご両親にも知っていただきたいと思います。

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