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1枚の写真からの学びを何倍にも増やす具体的な方法論〜"why"を真似よ〜

いつもありがとう、藤澤一です。

ゴールデンウィークいかがお過ごしだったでしょうか。僕は最初3日間は九州、後半2日間は東京。忙しくも充実した日々を過ごすことができた。

さて本日は、先日の記事に書いた『守・破・離の守』において、"守における真似る際のポイント"を書きたいと思う。

該当記事はこちら。


先日のnoteで伝えた通り、僕は写真に限らず全ての結果を出したい物事において、『守破離』が非常に重要だと考えている。

その中でも肝心なのが第一段階の『守』なのだが、具体的には何をどのように真似ればいいのか?という方法論を、実体験をもとに伝えたいと思う。

陥りがちな"そのままコピー"

『守破離』の概念を仮に知らなくても、おそらく多くの方は憧れの写真家の写真を真似て撮影してみたことがあるだろう。

そんな中『守破離の守』を徹底できず、まだ型ができていないのに『破』の段階にいってしまう、これはあるあるなのだが、もう一つ陥りがちな事がある。

それは"そのままコピー"だ。

憧れの写真を手元に置いて、似た場所や同じ小物を使って、とりあえず同じポーズをしてしまってそのまま撮影する…そんな"ただそのまま思考停止でコピーしただけ"をやってしまってはいないだろうか?

実は、真似ることが大事と言っても、ただそのままコピーして真似ただけではあまり成長に繋がらない。

"1つのステップ"を踏むことで、真似ることによる学びを何倍も増やすことができる。

"why"を真似よ

学びを何倍も増やすための1つのステップ、それは「why(なぜ)を考える」だ。

「なぜこの写真はいいのか?」
この問いを、光、色、切り取り方、構図などさまざまな切り口から考え、また"なぜ"をできる限り何度も重ねてみる。

具体例を、僕の写真から考えてみよう。

昨年6月の写真展に展示し、instagramでのいいね数も約20,000。これをイメージに写真教室も開かれるほど、僕の代表作の1枚と言える写真だ。


この写真をもし"そのままコピー"した場合、次のようになると思う。

「とりあえず綺麗なお花を買って、いつもより思い切ってモデルさんに寄って撮ってみよう!」

…悪くないのだが、これだと学びが少ないし、おそらく良い作品は生まれない。

では、この写真をもし"why(なぜ)"を考え重ねた場合どうなるのか?下記が僕の思考プロセスの例である。

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Q:なぜこの写真はいいのか?
A:1枚で惹きつけられる強さがあるから。

Q:なぜ1枚で惹きつけられる強さがあるのか?
A:目と花の美しさが全面に出されているから。

Q:なぜ目がこんなにも美しいのか?
A:モデルのポテンシャルが前提にあるが、光が上から下ではなく右から横方向よりの順光で当たっている。そのためまつ毛の影に隠れることなく瞳に光が入っている。

Q:花を持たせている寄りの写真は他にも多くある中で、なぜこの写真は一際強さを感じるのか?
A:色と花のシルエット。赤色は全ての色の中でトップクラスにインパクトが強い色。この写真は赤、肌色、黒の3色のみで構成されている。またシルエットも、一際華やかな印象のダリアという花を選んでいる。

Q:なぜこの写真家はこの花を選んだのか?
A:これだけ華やかな真っ赤なダリアは、ほとんどのモデルの場合花に顔が負けてしまう。目と顔立ちが強く美しいモデル、そして赤のネイルから、このモデルであればこの花の強さと相互に引き立て合えると思いこの花を選んだのかもしれない。
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ここまでwhyを考えることができればどうだろうか?おそらく、真似る内容が下記のようになるはずだ。

「目に光を入れた写真が撮りたいなら、モデル選びから拘ろう。」
「時間は朝か夕方。もしくは冬の日中。太陽の位置が低く、右から横方向に光が入る時間に撮影しよう。」
「色の構成要素を3色に絞ろう。そのために、背景や景色などの邪魔をする要素は一切入れないよう角度を調整して寄って撮ろう。」
「ただ似た花を買うのではなく、モデルと引き立て合える花を選ぼう。その場合写真に入れられる要素は顔、花以外には指くらいなので、ネイルの色は先に聞いておく、もしくは当日一緒に花から買いに行こう。」

いかがだろうか?
"whyを考える"というステップを踏むだけで、こんなにも違うとわかってもらえたと思う。

whyのキモは"転用"にあり

実はこのwhyのキモは、精度の高い真似ができること以上に"転用"にある。

"転用"とは、この写真を真似する時だけでなく、自分が今後撮影するにあたり様々なシーンで、全く別のシーンでもこの学びを活かして使えるということだ。

例えば「目に光を入れたい場合は夕方を選ぼう」「引き写真でも写真の構成色は3色に絞ってみよう」など。これはもはや真似ではなく、自分の写真スキルの一つまで昇華されている。

つまり、1枚での写真の学びが、他の撮影や出来事にもそのまま活かすことができる。「学びが何倍にもなる」とはそういうことだ。

これは、実はビジネスの世界でもなんでも同じことが言える。「仕事ができる人、頭がいい人は具体⇄抽象の行き来ができる人」と言われている。少し難しいので今回のnoteで深くは触れないが、まさにこの"why"は「具体⇄抽象」のプロセスを踏んでいる。

「1枚の良い写真」という具体的な内容を、whyを考えることにより「目の綺麗な光の入れ方」「色の考え方」など抽象化していると言える。そしてこの抽象化された学びは他のことにも転用でき、自分のスキルとして昇華されていく。

ぜひ写真というシーンはもちろん、さまざまなシーンで"why"を考え深掘りする癖をつけてみてください。

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