ポルトガル紀行 Ⅵ
2019年7月1日(5日目)
7:00
ホテルで朝食。フルーツが美味しい。
8:00
リスボンへ戻る為にコインブラ駅へ。
一駅先のコインブラB駅に行き、AP(急行)に乗り換え。
二等席はこんな感じ。この日は空いていた。
リスボンまでは1時間半の移動。
3日ぶりのリスボンのサンタ・アポローニャ駅。
この日は佐藤さんと合流し、留学中のリスボン大学を案内してもらう。
ガラスコースがある新リスボン大学のキャンバスへ。
佐藤さんの作業スペース。
佐藤さんのセラミック作品。
学生の作業部屋。
EU圏外から来ている学生が多く、置いてあるものなどから、それぞれのバックグラウンドや人柄が垣間見える。
加工室。
大学の先生やデモンストレーションや特別授業できた方の作品が展示してあった。上の画像はイタリアの作家さんの作品。
電気炉ルーム。白いタイルがホワイトボードのように使われていた。焼成のプログラムなどが書いてある。
吹きガラスの設備。
途中、クラスメイトに会ったり、加工途中の学生の作品なども見せてもらった。
修復の研究も行われているらしい。
科学的なガラスの研究も行われているので、ブラックライトで発光する蓄光ガラス(緑色に発光するウランガラスが有名)の新しい色の開発などもしているとのこと。
図書館も案内してもらう。図書館内にはいくつか展示スペースがありガラスコースの先生や学生の作品が展示してあった。
図書館はガラス張りでモダンで開放的な感じ。
B1のギャラリースペース?ではドローイングの展示がやっていた。
カフェでコーヒーを飲んで、キャンパス見学は終了。
設備などはおそらく日本の大学の方が整っていると思うが、EU圏や美術系以外のバックグラウンドを持つ学生も多く、それぞれの研究内容や活動も多様だった。技法中心の日本の教育よりも幅広い視点から素材やものづくりについて学べるような環境だと感じた。
また、日本から遠く離れたこの場所で一年間、佐藤さんが勉強してきた軌跡を感じて素直に立派だなぁと思った。
スーパーで少し買い物をして一旦、佐藤さんのアパートに戻り一休み。
夕飯を食べに行くついでに、佐藤さんのお気に入りスポットを案内してもらった。テージョ川沿いの景色の良い場所だった。
テージョ川には4月25日橋という大きな橋がかかっている。
なぜ4月25日かというと、ヨーロッパで最長と言われる独裁体制が終わるきっかけとなったカーネーション革命(リスボンの春)の日が1974年の4月25日なのだ。
ポルトガルの歴史についてあまり知らない私のような旅行者でも、この橋を見たり渡れば自然な流れで4月25日が何の日なのかと調べると思う。歴史の残し方は様々な方法があることを知った。こういうアイデアは自分の生活にも取り入れていきたいと思った。
この日はカメラの電池がここで切れてしまったので画像はないが、この後レストランで夕食を食べ(地元の人で賑わう大衆食堂でとてもよかった。)、アパートに戻った。
せっかくなので、佐藤さんとの出会いなどについて書こうと思う。
佐藤さんはガラスの学校の後輩なのだが、学生時代は被っていないので面識はなかった。ネットで作品を見かけて少し気になったので、2012年に上野のカフェギャラリーで個展をした際に見にいき、そこで初めて佐藤さんに会ったと記憶している。
その後、私の展示に佐藤さんが来てくれたりして少しづつ話すようになり、作業場を見学させてもらって当時飼っていたうさぎを見せてもらったり、住んでいる場所が比較的近かったこともあり、年に数回は会っていたと思う。
学校を卒業して時が経つにつれて、制作を続けていくのが難しくなり多くの人が作品制作をやめてしまったり、教育機関や既存のガラス工房での勤務など、制作できる環境に残れた人も普段の仕事の忙しさと固定給の安堵感からか、ゾンビのようにただ制作を続けているだけの人が多いように感じる。これは別にディスっている訳ではなく、人は誰でもよっぽど注意していないと無意識に周りの環境や価値観に流されていってしまうのだ。
そんな中、佐藤さんは不思議なくらいマイペースに作品制作を続けている。ゆっくりだが慎重に自由に生きている感じがする。会って話していても、適当なことや思っていないことを言ったりは絶対にしない感じがする。
また、ガラスはインテリアやテーブルウエアなどデザイン領域には向いているが、芸術やなにかを表現するには不向きな素材だと思う。単純に素材が持つ造形言語が少なく特殊だし、扱いが難しすぎる。その為、ガラス作品で文系の表現(物語性や詩的表現、比喩表現)は難しく、理系よりの表現(デザインや素材の化学変化や現象を見せる表現)は親和性が高いと思っていたが、佐藤さんの作品はガラス以外の素材をうまく組み合わすことで、独自の言葉を発しているように感じる。
なににせよ、今回のポルトガル旅行は佐藤さんと出会っていなければなかったことだと思うので、このような機会がもてたことに感謝している。
佐藤さんのホームページ→☆
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