富士ヶ丘サービスという箱

富士ヶ丘サービスは紛れもない事実として、2011年3月31日に登記をした、あの時は無機質で、なにもない、ただの箱でした。

2011年3月31日という日には、なんの思い入れもありません。3月1日でも良かったし、3月15日でも良かったし。今となっては2011年3月である必要があったのかさえ覚えていませんが、きっと2011年3月じゃなければいけなかったのでしょう。私にとっての起業は、そんな感じでスタートしました。

2011年3月以前といえば、サラリーマンをしながら、漠然と、高齢者施設を運営しようと思い始めているころでした。それ以上でもなく、それ以下でもなく、どんな高齢者施設が始められるか、ちょっとずつ調べ始めていたのかもしれませんが、もう記憶はありません。人間の記憶は薄れていく、あいまいなものです。

画像1

高齢者施設を始める、といっても簡単に出来るわけではありません。サラリーマンとして、介護会社で働いた経験はありますが、だからといって、自分で介護施設を建てた経験もなければ、施設経営をした経験もありません。そんな中、出会ったのが元株式会社シスケア太田裕之様。現在は都市緑地株式会社という会社を再度創業され、また新しく面白い取り組みを行っています。

元株式会社シスケア太田裕之様との出会いがなかったら、今の富士ヶ丘サービス株式会社はなかったと断言できます。

2010年秋ごろから、おぼろげながら、高齢者施設運営開始の模索をしていたとき、高齢者専用賃貸住宅の話題で盛り上がっていた、様々な建設屋が魅力的なPRをしていて、実際にお話を聞く段階にも至らず、いわば門前払いが続くような状況の中、唯一真面目にお話を聞いてください、道筋をお示しいただいたのが元株式会社シスケア太田裕之様でした。そしてこの道筋で進んでいこうと決意したのが2011年年頭。登記した日が2011年3月31日だったのです。

2011年3月31日登記。その後1年以上は、私が社長と呼ばれる唯一の構成メンバーで、第1号棟「ふじがおか和楽久 磐田合代島」の開業に向けた準備していきました。建設現場近くに本社兼事務所を構え、それなりに忙しく、打ち合わせをしたり、採用面接をしたり、様々な雑務をしていたのだと思います。

画像2

2012年4月16日。「ふじがおか和楽久 磐田合代島」の立ち上げメンバーが約20人集まりました。この瞬間、富士ヶ丘サービス株式会社という無機質な箱が、社長大石ひろゆきしかいなかった箱が、血の通った組織になった感激がありました。あれから8年超。次々と部門、組織が増えていきました。

2014年3月15日 「ふじがおか おおるりメゾンド安久路」開業

2014年7月15日 「ふじがおか見付連理枝」開業

2014年8月15日 「ふじがおか見付ケアプランセンター」開業

2018年5月15日 宅地建物取引業 開始

各サービス付き高齢者向け住宅には、デイサービス部門と住宅部門があり、不動産部門をあわせると、富士ヶ丘サービス株式会社には8部門があり、総勢100名を超える職員がいる、超有機的な組織になりました。

画像3

これだけの組織になると、組織内は色々なことが起こります。セクショナリズム(部門最適化)を目指す職員がいたり、オーガナイゼーション(全体最適)の正義を振りかざす職員。みんな富士ヶ丘サービス株式会社のことを思ってくれるがゆえに、様々な考え方が共存しています。

かつて私がサラリーマンだったころ、全体最適化なんて全く考えず超超超がつくほどのセクショナリズムを推し進めていた若かりし頃の私がいました。他部門との連携なんて、「く○くらえ」だと内心思っていましたし、外にもにじみ出ていたのかもしれません。私がかつて本当におろかだったのは、自部門さえよければ、自分さえよければという考えしかなかったことです。今となっては本当に反省し、後悔しています。40代の私であれば、20代をもっと軋轢も無く、上手にやることができたんだろうと。「若気の至り」で片付けられるのかもしれませんが、私は本当に未熟な管理職でした。

画像4

その当時愚かだった私は、創業からもうすぐ10年を迎え、とても会社思いの、「富士ヶ丘」のことを大切に考えてくださる職員に恵まれました。

創業当時、ロゴにこめた思いを改めてご紹介します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■ 依頼の目的/概要

当社は高齢者向けの施設で、介護サービスを提供する会社です。「安心した老後を一緒に過ごしたい」をテーマに、安心した老後を表現できるロゴを募集します。ロゴは、ホームページ、パンフレット、名刺、あらゆる会社からの発信物で使用していきたいと思います。

■ ロゴにしたい社名・店名・サイト名

富士ヶ丘サービス株式会社

■ ロゴにする会社・お店・サイトの特徴やアピールポイント

富士ヶ丘サービス株式会社は、昭和60年8月に開業した富士ヶ丘内科(http://www4.ocn.ne.jp/~ooishi/outline.htm)の流れを汲む、グループ会社です。富士ヶ丘内科は、富士山が丘にたった内科医院といったところから命名されました。実際、晴れた日には、富士山が見えます。今回の会社は、この「富士ヶ丘」という冠を引継ぎました。

■ ロゴに希望すること(雰囲気・色・イメージなど)

黄色、オレンジの暖色系と富士山を表現する青

■依頼公開後の追記内容

高齢者専用賃貸住宅とは、字の通り、高齢者のための賃貸住宅です。賃貸住宅といっても、ただのマンション、アパートではなく、その中では、介護サービスや食事の提供、日常支援サービスが提供されます。また併設した通所介護(デイサービス)では、地域のお年寄りがあつまり、お出かけいただき、お茶を飲んで、お食事をとっていただき、お風呂にお入りいただき、お帰りいただくという、ちょっとしたお出かけを提供していきます。自然と人があつまり、老後を友達、友人と過ごしてももらいたいと思っています。「NO独居」。ひとりぼっちの老後はなくしていきたいと真剣に考えていきます。建物は、木造准耐火構造で、木のぬくもりを感じてもらえるつくりです。全戸、南向きと、日の光が燦々と注ぎ込むお部屋で、安心の老後を一緒に過ごしていただきたいと思います。思いつくままの、落書きですいません。

介護施設(=高齢者専用賃貸住宅)のイメージです。

現在まで、2つのご提案をいただきまして、ありがとうございます。すごくよい作品で、感動しています。やはり「富士山」がメインになってしまっていますね。今回のキーワード「富士ヶ丘」は、富士山が見える丘ですので、メインは丘になるようなデザインも出てきて欲しいです。他に人があつまり、安心の老後を過ごす。斬新なデザイン、面白いデザインもまだまだ募集しています。よろしくお願いいたします。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2020年8月。富士ヶ丘サービス株式会社は、職員さんの可能性を発揮できる有機的な箱であり続けたいと思います。10代から70代までの多種多様な職員さんが集まって、世代の壁を越えて、新たな価値を創出し続ける場所であり続けるために、社長は動いていきたいと決意を新たにしました、というお話でした。長文に最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました。

静岡県磐田市という中部地方に生息しています。サポート頂きましたら、介護従事者の待遇改善に活用させていただきます。多面的な見方ができるように、異論を発信してまいります。