ブルーグレー
走り出す車窓 眺めるふりをして
次の電車に君がいることを祈っていた
グレーのブレザーを脱いでから
変わったものと変わらないものを
会うたび数えている
荒波に乗れないままの僕と
パズルのピースになった君
きっとこれからも交差しない道を
たまに眺めながら歩いていく
しあわせはそこに見えているのかな
僕の知らない君が近い将来
僕の知らない誰かと結ばれて、それでいい
ぬくもりは
この手を離れていって
あの冬の日のままいつまでも
動かない心の奥で眠り続けている
喉元からあと一歩出ない言葉
飲み込むたびに涙に変えた青い世界で
知ろうとした眼差しの奥は
あれから結局わからないまま
ふたり大人になった
さよならは言わなくてもいいよね
僕の知ってる君が遠い未来で
僕の知ってる笑顔じゃなくなって、それでいい
優しさよ
まだふたりを繋いでいて
あの冬の日を思い出させて
灯が消えた瞳の奥に何も見えなくても
しあわせがそこに見えているのなら
僕の知らない君が近い将来
僕の知らない誰かと結ばれて、それでいい
手放したものが美しくたって
君の知らない僕の物語を
君の知らないところで静かに紡いでいく
優しさよ
まだふたりを繋いでいて
あの冬の日をもう少しだけ
灯が消えた瞳の奥に何も見えなくても
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