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2023年10月の記事一覧
essay #5 涙腺
一番泣きたい時に泣けないほうだ。
今すごく悲しいなとか、今すごく嬉しいな、と思った時ほど、出てきてほしい涙が出てこなくて、ただ心臓に来る重みみたいなものを、噛み締めている。
泣けば許されると思うなと言われて育ってきたからかもしれない。
リーダーが人前で泣くのは無しだよと先輩に言われたことがあるからかもしれない。
相手に気を遣わせる行為だから、技として使っていると思われたくないというのもあるかも
essay #4 凡庸
人は人をカテゴライズすることで安心するけれど、自分のことをカテゴライズされるのは喜ばしくないものだ、と本に書いてあった。
多くの人が「30代男性、独身、サッカー好きなどとカテゴライズは出来るけど、そうはいっても自分には人と違うこんなところがある」と思いたいものだそうだ。
確かにそうだな、と納得した。
高校生の頃は自分が凄く醜く、碌でもない人間だと頭の片隅で常に考えていて、きっと自分はうまくい
essay #3 友情
異性との友情は成立すると思っている派だ。
なぜなら、グラデーションで存在する感情に友情という概念をつくったのは人間である上に、人間は自分の選択によって人生の舵を切ることができるから。
つまり本人の意思次第じゃない?え?違う?みたいな感じだ。
男女の友情は成立しないと言っている人のしたり顔を見ていると、なに自分の意思ではどうしようもない大いなる力によって漏れなく恋しちゃうみたいなこと言っちゃってる
essay #2 出自
気づいたら産まれていた。
産んで欲しいと思ったことはない。
女性に産んでほしいとも、母子家庭に産んでほしいとも、姉が欲しいとも思ったことはない。
気づいたら23区の、古い日本家屋で、祖母を含む女4人暮らしが始まっていた。
幼い頃から「育ててやっているのだからこの家では母親の言うことを聞きなさい」と言われてきた。
「従うのが嫌なら出ていきなさい」
「お前みたいな奴は役立たずだから野垂れ死ね」
essay #1 エゴ
起きている事象に名前をつけたり、意味付けをしたり、自我を持たないものに意志を感じようとすることが日に日に嫌いになっていることを感じる。
緑が風にそよいだり、ふと見上げたら星が流れたり、波に乗って足下に貝殻が運ばれてきたりしたとき、私は「風も味方をしてくれているようだ」とか「星が私を待っていたみたいだ」とか「これはなにかの前兆だ」とか言いたくないのだ。
人間は言語を使ってものごとを考えることがで