2020年3月_アレルギーと間質性膀胱炎__1_

間質性膀胱炎とアレルギーの関係とは!治療薬IPDの作用

「トシル酸スプラタスト(薬品名:IPD)」は間質性膀胱炎の治療薬の1つで、アレルギー反応の原因である免疫グロブリンE(IgE)という抗体の産生を抑制します。間質性膀胱炎にアレルギー反応が関与している可能性から、IPDが治療に用いられてきました。2018年に発表されたレビュー論文「間質性膀胱炎と膀胱痛症候群における免疫と神経経路のクロストーク」では、IgE抗体によって活性化する細胞と間質性膀胱炎の苦痛の関係について考察されています。

間質性膀胱炎とアレルギー反応

「トシル酸スプラタスト(薬品名:IPD)」は間質性膀胱炎の治療薬の1つですが、喘息・アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎などのアレルギー反応の緩和にも使われています。IPDには、アレルギーの原因である免疫グロブリンE(IgE)という抗体の産生を抑制する働きがあります。

間質性膀胱炎にアレルギー反応が関与している可能性が報告されており(※1)、IPDによる治療が発展してきました。近年では「シクロスポリンA」という免疫抑制剤による間質性膀胱炎の治療も検討されており(※2)、アレルギー反応に着目した間質性膀胱炎の研究が進められています。

アレルギー反応が間質性膀胱炎の苦痛をもたらしている可能性

2018年に発表されたレビュー論文「間質性膀胱炎と膀胱痛症候群における免疫と神経経路のクロストーク」では、間質性膀胱炎にアレルギーが関与しているエビデンスがまとめられています(※3)。著者は、ホフストラ大学ズッカー医学校(米国、ニューヨーク州)の神経学の研究者たちです。

論文では、間質性膀胱炎の苦痛が、マスト細胞という免疫の一端を担う細胞が放出する炎症性物質で説明できることが指摘されています。

間質性膀胱炎を患っている膀胱では、マスト細胞の増加が見られます。マスト細胞はIgE抗体によって活性化することがわかっています。つまり、IgE抗体の産生を抑制すれば、間質性膀胱炎の苦痛が改善される可能性があるということです。

不二バイオファームは乳酸菌がIgE抗体の産生を抑制する作用に注目

2020年2月から不二バイオファームは、発芽そば発酵エキス摂取によりIgE抗体の産生が抑制される可能性を動物実験で検証しています。

不二バイオファームの学術顧問の望月英典は「発芽そば発酵エキス摂取による間質性膀胱炎の症状改善は報告されているが(※4)、一方でアレルギー疾患の改善例も数多く聞いている。乳酸菌にもIgE抗体の産生を抑制する作用の報告がある(※5)。発芽そば発酵エキスは乳酸菌発酵で製造されているため、IPDと同様のメカニズムでアレルギー反応を抑制している可能性がある」と、仮説を説明します。

そばの芽

発芽そば発酵エキスの原料「そばの新芽」

発芽そば発酵エキスは医薬品ではなくサプリメント原料ですが、間質性膀胱炎の症状改善のメカニズム解明に、不二バイオファームはエビデンスにもとづいて取り組んでいます。

参考文献

※1 学会誌『アレルギー』 1984年 「間質性膀胱炎のアレルギー学的研究:(1)イカとエビアレルギーによる間質性膀胱炎の1例」 山田哲夫、田口裕功、西村浩、三田晴久、信太隆夫

※2 学会誌『日本間質性膀胱炎研究会誌』 2020年1月 「会長挨拶より」 関口由紀

※3 ジャーナル誌『Discovery Medicine』 2018年 「原題:Crosstalk Between the Immune System and Neural Pathways in Interstitial Cystitis/Bladder Pain Syndrome」 K Duh, MG Funaro, W DeGouveia, S Bahalani, D Pappas, S Najjar, I Tabansky, R Moldwin, JNH Stern,

※4 学会誌『日本間質性膀胱炎研究会誌』 2019年 「発酵そば発酵エキス配合食品の間質性膀胱炎に対する効果」 酒本貞昭、影山慎二、伊藤由彦、春野明弘、山田静雄、前島靖勲

※5 ジャーナル誌『Journal of Daily Science』 2005年 「Clinical Effects of Lactobacillus acidophilus Strain L-92 on Perennial Allergic Rhinitis: A Double-Blind, Placebo-Controlled Study」 Y Ishida, F Nakamura, H Kanzato, D Sawada, H Hirata, A Nishimura, O Kajimoto, S Fuj

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