タクシー運転手

午後6時半 背広の人たちは駅前へ集まる

私は タクシーに乗って 乗客を待っている

昼間にしてる お役場での仕事では 生活を支えられないから

まあ 誰かに 何か言っても気分はあれだし 

少しして よく 手入れをされて 見立てのよい 背広を着た方が乗客として私の前に現れた

普段 こんなに見立ての良い方 見ないな

彼は 私に行き先を伝えた 

聞き覚えのある タワーマンションだった

学生の頃に 建設されたのを覚えてる よく建築の風景を見学してた

うっすら記憶が思い起こされた 

仕事中だ あとでまた記憶を探す

彼は 私に この街も変わったね と話しかけてきた

10年くらい前とは かなり変わりましたよね 私はそう返す

この 少しの世間話をしてると 彼の行き先である マンションに着いた

彼は 料金の支払いを カードですると 

暖かい空気をまとって ありがとう と私に言って 家路に向かった

彼はきっと 家族のことが好きなんだ そう思った

すると 無線から 次のお客さんがいると 連絡が来たから

そこへ向かった

機材代に使います