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何処までもやせたくて

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2019年9月の記事一覧

何処までもやせたくて(62)続・シュークリームの誘惑

「あ、もしもし、恵梨だよ。
今、お姉ちゃんのウチについたとこ。
えっ!? お姉ちゃん?
・・・元気・・・みたいだよ」

つとめて平静を装うようにしたその言葉に、ようやくひと息ついた。

少し余裕が出て、妹を見ると、なんかキレイになったみたいだ。
半年で、こんなに変わるものなのかな。
太ったって言ってたけど、全然そうは見えない。
恋のおかげだとしたら、ちょっとシャクだけど、
口裏を合わせてくれたこと

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何処までもやせたくて(63)お姉ちゃんなんだから!

カスタードクリームの甘い香りと、とろ~りとした食感。
シューのふんわりとして、それでいてサクッとした噛み応え。
そのふたつが、口の中で溶け合う、なんともいえない心地よさ。

数年ぶりのシュークリームは、私を数秒でノックアウトした。

満足感というマットに沈み込んだまま、見た夢は、子供の頃の思い出。
お父さんの買ってくる、この店のシュークリームを、
いつも妹と奪い合うようにして、食べた。
ダイエット

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何処までもやせたくて(64)サプライズなヌード

朝、目が覚めると、すぐに体重を測った。

27.4キロ。
最低体重より、1.5キロも重い。

それ以上につらいのは、鏡に映ったお腹。
過食直後と、ほとんど変わってないじゃない!

出かけるまでの3時間、家のまわりを歩いたり、半身浴をしてみたものの、
体重は、0.3キロ減っただけ。
お腹も、たいしてへこんでない。
鏡を見ながら、肋骨を数え、二の腕をつかんだりして、
必死に言い聞かせてみる。

私は、

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何処までもやせたくて(65)悲鳴が聞こえる

Gさんが、指差した方向に目をやると、あの人もこっちを見てる。

もしかして・・・?
でも、まさか・・・

「ユミちゃん、ちょっといい?」
Gさんの声に反応して、そのユミちゃんという人が、こっちに近づいてきた。
さっきと同じ、穏やかな微笑みを浮かべながら。

「この写真、ビックリしたでしょ」
「えっ、はい。・・・いえ、そんなことは・・・」
「彼女、この人がもう生きてないんじゃないか、って思ったみたい

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何処までもやせたくて(66)希望のち失望

「あなたは今、服を着てるけど、私には、悲鳴が聞こえるよ」

その言葉の意味がわからなくて、私は相川さんを見つめ返した。
すると、彼女は例によって、穏やかな笑顔と口調で、
「だって、今のあなたのやせ方、この写真の頃の私と同じくらいだもの。
体重、20キロ台後半でしょ」
「はい。あ、いえ・・・」

ズバリと当てられ、つい認めてしまってから、取り繕うとしたものの、あとの祭り。
それに、この人には嘘をつけ

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何処までもやせたくて(67)人生の両輪

カウンセラーなのに、私のことを担当できない理由。
それを聞くべく、言葉を探していると・・・

「じつはね、私、まだ治ってないの」
淋しそうに、それでいて、どこか投げやりな感じで、相川さんが言った。

どうして? こんなに、素敵で、輝いてるのに?

「またひとつ、質問していいかな。
私の今の体型見て、どう思う?」
「えっ!?
すっごくうらやましいです。
背も高いし、手も足も細くて、顔もちっちゃくて。

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何処までもやせたくて(68)病気を認める勇気

「私、病気なんでしょうか?」

自分でした質問に私が驚いたほど、相川さんは驚いた様子ではない。

「うーん、私の意見を言う前に、またひとつ、聞いていいかしら。
あなた自身は、自分のこと、どう思ってるの?」
「自分のこと・・・ですか?
そうですね、病気、とまではいかなくても、
調子がよくないのは、認めざるをえないかな、って。
疲れやすいし、体のあちこちが痛いし、それに・・・」

一瞬、言おうかどうか

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何処までもやせたくて(69)体の元気と心の元気

Gさんが手に持つコンビニの袋には、いろいろな飲み物が入ってた。

「お客さん用の飲み物が減ってたから、買ってきたんだけどさ。
しゃべると、のど渇くでしょ。
よかったら、どうぞ」

私が選んだのは、缶のウーロン茶。
ノンカロリーだから、安心。
昨日の夜、過食しちゃったから、
今日はカロリー摂らないようにして、調節しなきゃ。

何か言われるんじゃないかと、ドキドキしたけど、
Gさんも相川さんも、無言。

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何処までもやせたくて(70)嘘つきと呼ばれて

「あれ? うちに来るの、8時じゃなかったっけ。
それに、Eクンまで一緒なんだ。
あ、お久しぶり・・・」

動揺しているのを隠すため、つとめて軽い感じで話しかけたのに、
恵梨も、Eクンも、愕然としたまま。

それでも、少し間を置いて、Eクンは、
「そうだよね、卒業式以来、かな」
と、言葉を返してくれたけど、恵梨は困ったような顔をして、
何も答えようとしない。

「どうしたの? 私の質問に、答えてよ!

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何処までもやせたくて(71)心配とおせっかい

「本当に、病院、行ってるの?」

妹に問い詰められ、答に窮した私。
パニックになりながらも、心当たりの病院を探すけど・・・
ダメだ、思いつかない。
そりゃそうだよね、東京来てから、病院なんて行ってないもん。
医者の知り合いも、全然いないし・・・

そのとき、あの人のことが頭に浮かんだ。
そうだ、相川さんがいる。
しかも今、名刺だって持ってるじゃない。

定期入れから、名刺を取り出すと、
「ほら、見

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何処までもやせたくて(72)母からの逃走

妹が帰って、3日が過ぎた。

どういうわけか、実家からの音沙汰がない。
すぐにでも、母親から何らかの連絡が来ることを、覚悟していたのに。
これから起きるかもしれないことを考え出すと、
他に何も手がつかないほど、苦しんでるのに。

彩華ちゃんのカテキョは、なんとかこなせたけど、
「先生、大丈夫? 今日は特に、元気ないみたい」
なんて、心配されてしまった。

現時点で予想されるのは、母親の上京。
早け

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