不倫か、夫婦か どっち?
七夕飾りの折り紙を折っていた時、学生時代の仲良しМ子ちゃんから 久しぶりの電話が入った。
「ねえ、この間 元カレと奈良に行ったんや、その時 喫茶店に入って長いことしゃべってたところ、喫茶店のママさんたちがチラチラこっちを気にしたはったらしく、私も 気づいてたんやけど、元カレがトイレに立った時 喫茶店のママさんが『どちらから 来られたんですか?』って聞かはったんで、『私たちは京都から来たんです』と答えたんやけど…、あれはきっと『あの二人、夫婦か不倫かどっちやろ?』って思たはったんと違うかなあ」と言った。
わたしはその話を聞いて、私たち夫婦の旅行した時のことを思い出した。
あれは 確か一泊二日のバス旅行だった。どこへ行った時のことか思い出せないけれど、バスツアーの中に一組の男女が目立った。
あちらもこちらが目についたのか、お互いそれとなく意識をしていたことは間違いなかった。
美男美女のカプルは まさに選別されたカプルのようだった。
しかし、二人の会話を耳にすることはなかった。
私は「あの二人は不倫ではないか?」と思った。それも、もう長いお付き合いの二人ではなかったか?
しかし、あちらもそう言う目つきで見ているように思えた。特に男性が…
つき合いが長くなると二人の会話が弾まない。夫婦も同じこと!
しかし、決定的なことが一つあった。
それは相手を呼ぶ時に どう呼ぶか?
私は バスの中で夫に向かって「お父さ~ん!」と呼んだのだ。
その時のもう一組の男女の目がピクリ!とした。そして、
男性は好奇心が失せたかのように、女性は恥るように目を伏せた。
わたしは意地悪にも それを見逃さなかった。
私はМ子ちゃんに
「そんな時 『お父さ~ん!』って呼んだら、ええやん!そしたら、夫婦やと思われるし…」と 言うと、М子ちゃんは
「そうか~、なるほどなあ! そお、呼んだらええんやんか~!」と盛んにケタケタ笑いながら、納得していた。
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