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思い出を偲ぶ御前に栗炒飯

10月10日三回忌法要をすませた後、一通の手紙を受け取った

そして、その日が来た。
彼女たちを迎えに行くバスの窓から見える空は
2年前のあの日、斎場に向かう車から見た時と同じようなすがすがしい青空が広がっていた。
私は バスの中から 
「ありがとう! あなたとお母さんは『晴れ子さん』だったもんねえ」
と、言って 空を見上げた。

 駅に着くと、まっ先にお菓子売り場に行って、3人分の粗供養の和菓子を 購入した。そして、真っすぐに 駅の中央改札口へ向かう、改札口の上に 大きなデジタル時計が10:15と出ていた。
<11時の待ち合わせにまだ45分ある>
そう思って 辺りを見回すと、改札口のすぐ横に花屋さんがあった。
私は 吸い寄せられるように 花屋さんの店に…
そして 待ち合わせの時間まで…と、花屋を覗いていた。

その花屋さんは 店先に「キッチンに!」とか「くつろぎのお部屋に!」等書いた段々の上に、その場に会うような小さな可愛いブーケが並べられ、 奥の壁には 一面真っ黒の壁紙が貼ってあり、スポットライトに照らし出された植物や花たちが まるで初めての舞台に立ったかのように 初々しく華やいで見えた。

私は 店内から一鉢一鉢ジョロで水をやりながら出てきた若者に聞いていた
「こんなお店 何時からあったの?」
黒の帽子に黒のエプロンをした若者が 若々しく見える。
「そうですねえ、1年前にはあったと思いますよ。この前は、コンビニだったでしょう?」
「そうそう、コンビニの跡が この花屋さん?」
「そうっすねえ。僕はアルバイトで入ってるんですが、『くずはモール』って ご存じですかあ?」
「あ~、知ってる知ってる!」
「あそこの1階に…」
「あ~、あったあった ねえ。変わったお花を置いたはったとこ?」
「変わった花かどうかあ…?」
「いや、私等家に飾るのには勿体ないような花!」
そこで、彼がマスクの中でニッコリした。私は続けた。
「そこの支店?」うんうんと首が動く。
「いや~、この駅が2,3年前きれいになったでしょ? きれいになって
コンビニは便利がいいけど、こんなモダンな花屋さんが出来ると、駅がもっと グレードアップされるもんねえ」
若者はうれしそうに笑った。
「私、娘の友達と待ち合わせしてるの。11時なんやけど…」と、言うと
若者は改札口の時計を見て「ああ、もう少しですねえ。あ、あそこの柱の前に立てる人 と 違いますか?」と、言ったので
「う~ん、そうかも… 行って聞いてみるね!」と店を出た。

柱のその人は
「いえ、ちがいます!」と、手を横に振る。
「ごめんなさい」と、あたりを見まわしたそのとき、
「あの~、…」と声をかけられた。見ると3人の女性
「あ~、うわ~、3人お揃いで…? 遠いところありがとうございます!」
「いえいえ、前日に 着て来られる服装をお知らせ頂いてたので…」
「あ~、それは よかった!」と、一息ついて「それじゃあ、まずは お昼にしましょうかあ?」と Tサイトビルの方へ歩き出した。
ぞろぞろ歩きながら、三々五々口々に、辺りを見回しながら
「この駅きれいですねえ」「こんな駅やったかなあ?」という。
「そうなんよ、2,3ねん前に無印が入って駅自体きれいになったでしょ?その後すぐ、ツタヤビルが出来て急に有名になったんよ」
「ツタヤって本屋さんですよね?」
「本来は… だから、壁にいっぱい本が並べられているの」
「へえ~!」
「その8階に行くからね!」
そして、台湾料理「JI RIN ROU」に入った。

 3人の内、手紙をくれた人以外 やはり どこかで見たこともあり名前も聞いたこともあったような…?感じだったのですぐに、打ち解けた。

手紙をくれた人は娘と海外旅行をしている。
もう一人は ご苦労があった時 娘が励ましの手紙と自費出版した本を贈ったらしい。
もう、一人はダンスを娘と始めたとか…

なつかしい話が 飛び交うなかで、私は娘の存在を追いかけいた。

「でも、お母さんとしゃべってたら、Mちゃん(娘)とやっぱり、よ~似たはりますねえ」
「え?そう~?」と、私は目を白黒、うんうんと3人の首が降られる。
「やさしい感じで、あんまりしゃべらへんけど、いつもニコニコしてて…」
< へ~、私は よ~、しゃべるけど… >
でも、娘とよく似ていると 言われたことは やはりうれしかった。

ウエイトレスが デザートを持って来て
「これが最後のオーダーです」と、言った。
時間を見ると、とうに90分が過ぎていた。

 それから、家に案内して
皆さんで 仏壇に手を合わせていただき、娘の写真を見ながらの話しになった。
今から、考えると ばあさんの余談雑談で あっという間に、時間は過ぎた。


 みなさん、最終的に私のnoteのアドレスを 開いてくださることになり
これからnoteを 読んでくださることになった。

ほんとうに、お忙しい中 娘のことを忘れずに拙宅いただき ありがとうございました。これに懲りず また、来てくださいね!

夕陽の沈む間際までのお集り、感謝でいっぱいです。
また、のお集り たのしみにしています。

 駅までお見送りして別れた後、なんだか 真っすぐ帰る気がせず、私は又 Tサイトビルの8階にいた。
ガーデンの少し冷たい風にあたりながら、この日のお勧めのビールを 一杯だけ飲んで、ツルべが落ちる前に家路に着いた。

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