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「選挙」といえば…

☆選挙といえば、父を思い出す。                    私が成人した年に選挙があったようで、父が「選挙の仕方を教えてやる」と珍しく父親らしい態度で私を小学校に連れて行ってくれた。 父は、どちらかというと気難しい煙たい存在だった。私の兄も姉もこうして選挙に連れて行ってもらっていたのかなあ?と、この年になっても聞き正していないことなのだが推察するに、私だけだったような気がする。父とはよく喧嘩をした。2歳下の妹も父によく反抗していた。私のすぐ上の姉とは7年離れている。と、言うことは父が戦争から帰って来て私と妹が出来たということで、父はよく「戦後の子は…」と言っていたのを思い出す。そんな中でも、選挙に連れて行ってくれたことは今から考えれば とても父親らしいことをしてもらったんだなあ。と、今になって父親の愛情の欠片があたたかく思い出される。


☆選挙といえば友人を思い出す。                   高校のクラブで一緒だった彼女は ある宗教団体に入っていた。クラブで同学年の同じグループであったけれど 彼女は少し敬遠されていた。なぜなら選挙の時だけ個人の家まで選挙活動にくるのだから。私も他の友人も嫌な気持ちを持ちながらも、聞くだけなら…とがまんしていた。結婚して私は関東に行き、何十年と離れていつの間にか忘れていたのが、夫が関西に転勤になり 同窓会の住所録を見た同級生が「あんたら住所近くやん!知らんかったん?」ということで、30分のところでお互い住んでいたのがわかった。が、子育て真っ最中のこともありそのままななっていた。        しかし、選挙が或る毎に彼女から電話が入りそのうち訪問になった。しばらくの間は「ああ、またか~」と受け流していたし講演会も聞きに行ったこともあったが、ある時「選挙の時だけ来るんやったら、友達とちがう!」と言ってしまった。それから後、彼女は団体主催の美術館などの券が手に入ると誘ってくれるようになった。それはそれで断る理由もなく何回か一緒に行くことになった。そうしている間にわだかまりも消えた。

彼女の家と私の家の丁度真ん中あたりに喫茶店がある。その喫茶店で、私の趣味の個展を3回させてもらっていたので、その喫茶店が彼女とのデート喫茶になった。あれから何十年、そこで私たちは時間をマスターとママのご配慮のもと時間を気にせずおしゃべりをした。私が体験談を話すと彼女は聞き役に回った。そしてときどき宗教的な解説をする。私が感じたことを話せば彼女も同じ考えだということがわかってきて、そこで二人の違和感が解けた今ではかけがえのないなんでも話せる友達になっている。



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