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2月の雪跡

        (1)

陽ざしが消えて 雪が降る
ちらちらちらと 雪がふる
降ったあとから すぐ消える
2月の雪が 消えていく

つもった時も あったけど
まっ白白のその後に
乱れた靴跡 残ってた

今じゃ 雪は消えにしを
けれど 
心にのこった 靴の跡
真白白の 雪のうえ
なぜだか 
気になる 靴の跡


         (2)

朝 一番
小鳥の声を 聞きつけて
娘が 「おはよう!」といったよう
私もすぐに 返事して
「今日も 元気で 飛んどいで!
青い空の あたたかな 陽ざしをいっぱい浴びに 飛んどいで!」

黄色い春は まだ遠い
薄紅色の春は もうすぐね

けれど 2月の雲は 重たそう!
2月の内に その雲の
布団の羽根を 
すっかりと 地上に蒔いて
きっと 春はやってくる

黄色い春は まだ遠い
薄紅色の春は もうすぐよ!


          (3)

山茶花の紅色も
冬の寂れた景色には
ひとつやふたつ 咲いたとて
誰も気になぞしやしない

獅子頭の紅色も
冬の寂れた景色には
ひとつやふたつ 咲いたとて
誰の目にもとまらない

けれど 雪が降り
あたり一面が 真っ白に
景色が変わった後などは
一輪とて あざやかな色に 早変わり
雪から覗く 山茶花も
雪を被った 獅子頭の紅色も
目覚めるように 美しい

人はみな
惰性の苦労に 流されて
見失った 感性を
春の雪の中で 見つけられるのだろうか…?



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