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エアー・スマホ(4)

 彼女との時間は あっという間に過ぎた。
たった一日では 語りつくせない。
娘とよく似た彼女。
彼女もまだまだ娘との時間を一緒にいたかったようだ。

私は見送った翌日、彼女にメールを打った。

「昨日は楽しかったね。お疲れになったでしょう。ところで宅急便 何時の配達指定にすればいいですか?」

「わかりました。最終の指定19時から21時の指定にしますね。 今日  取りに来て明日の指定期間に配達されると思いますのでよろしくね」


「早速のお知らせありがとう♡楽しい一日でしたね。こちらこそこれからもよろしくお願いいたします。京都はご存じ?私は京都出身ですので又ご案内したいです。」

「娘の借りていたアパートの近くの下鴨神社を提案してくださって、ありがとう。下鴨神社なら娘と何回も行ったので、いいですねえ。 
『御手洗祭』なんか娘が大好きな夏の夜のお祭りで、私も知っているけど 行ったことがないんです。娘は何回も行っていたようで、ぜひ一緒にいきましょう!それまでによく調べておきますね。楽しみです」


 今回の私たちの出会いを娘は 喜んでくれているでしょうか?
きっと喜んでくれていると思います。

 下鴨神社の「御手洗祭」、そのせせらぎに火照った足を沈めた時、水の気持ちいい冷たさや その中で足を一歩一歩進めて行く時の「流れ」の感覚や沈みゆく夕暮れの中で浮かびあがるオレンジ色の幾つもの提灯の灯りのもとで浴衣を着てそぞろ歩きする人々。その中の子供たちの華やいだ笑い声が 一段と高く、その背中で結ばれた兵児帯が赤い金魚のように飛び跳ねている様子など、私には手に取るように浮かびます。

 これはみんなみんな娘が話してくれた情景だ。こんな冬に向かおうとしている季節にも、夏の京都のお祭りが我がことのように浮かんでくる。

 娘よ、あなたは ほんとうに素晴らしい感性の持ち主だった。
あなたの大好きだった下鴨神社の「御手洗祭」に大好きだったあなたのお友達と行ってきますね! そして、あなたが体験したことを二人で体験してきますね。
きっと、彼女もあなたの喜びを共にしたいと思ってくれていると思うから…

あなたは 又 私たちにもう一つの楽しみをくれましたね。

ありがとう!

来年の話をすると、鬼が笑っているでしょうに…


           (完)


 娘とそのお友だちのことを 書かせていただきました。
記事を書くにあたり、気持ちよく快諾してくださった[note]のお友だち、 ありがとう! これからもよろしくお願いします。
そして、[note]の読者の方々 読んでくださりありがとうございました。
こころから感謝いたします。



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