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高齢化していく自治会

 私が千葉からここの地区に引っ越して、もう35年になります。
当初自治会が出来たのが、私の家族が入居する2,3年前だったようで、 このことは最近知りました。
というのは、もう、かなりの家が建ち入居されていたので、私たちは新参者でした。引っ越して3年目、自治会の役がまわって来て、くじ引きでなんと会長を引いてしまったのです。
00自治会件数540軒もある大世帯でした。

 その当時は まだ 若かったので私は夫にいいました。
「わたし、40人(役員、班長合わせて)の前で 話をするのはお父さんやってね! 私は日々の細かいことをやるから…」
ということで、何もわからないまま夢中でやりました。

当初、まだ区長制度が残っていて、私たちは区長さんにとても助けていただき1年間の短き会長を務めることができました。

丁度 高度経済成長期のこと、仕事に励むご主人の代わりに妻である女性が地域の仕事をやることが当たり前の時代でしたので、夫は意気揚々と楽しく会長職を全う出来たようですし、わたしも当時はお葬式が多く 区長さんの次に会長のお焼香が来るので、お陰でお葬式の所作を身につけることが出来ました。

 あれから、何回も班長と役が回って来たけれど、若かったので楽しく又 ちょっと面倒に思いながらもやらせていただいて、分かったことは 同じ役をやるなら、くじ引きで苦手な役を引き当てるより、自分で志願してやりたい役をした方がいい!ということでした。

 私の班は17軒、その内空き家が2軒仕事の関係で準会員(会費は払うが、お役は御免)が2軒、80歳以上が3軒あって、班長と役員とを出すと、5年に一回班長か役員が回ってくることになる。
ですから、意外とあっと言う間の5年で、昨年役員が回って来た時には 私は自分から手を挙げて「福祉委員をさせてください」と申し出ました。  するとその後皆さんが其々に手を挙げ希望の役を申し出られ、準備されていた「くじ引き」は 引っ込められたまま、あっという間に全ての役員が決まったのです。

 しかし今年は、やはり「くじ引き」だったようで、私の次に役をすることになった若き隣人は とてもハツラツとした女性でした。その女性がなんと会長を引き当てたのです。その隣人も引っ越して来て5年も経っていませんでした。私の立場と同じだったのですが、彼女なら会長にぴったり!と、私を含め周りの人たちも思っていました。

すると、1か月後にアンケートが配られました。
それは、まさに彼女に期待した以上のものでした。

会員各位殿

平素より自治会運営活動にご協力いただきありがとうございます。

00自治会では、会員の高齢化、共働き世帯、単身世帯の増加などの事情により、専門委員にご協力いただける方が減少しています。

2019年に自治会の方にアンケートを取った結果、専門委員受け入れ世帯が少ない班の合併案に多数の賛成意見を頂いております。

しかしながら現在21人の専門委員(5役を含む)が必要であり、班の合併をする場合は、各専門委員の仕事を分配や統合をして専門委員数を減らす、または専門委員を兼任していただくことが必要になります。

その際には現在の専門委員の仕事の軽減化を図り再編成を行わなければなりません。

同時に、高齢世帯の増加に合わせた班長の仕事の軽減化も課題となります。

つきましては、皆さまのお考えをお聞かせいただきたく、 アンケートにご協力お願い申し上げます。
               令和4年6月13日
                  00自治会5役

                       

アンケートは3ページにも及ぶもので、長い間 居住していた者にとって気になっていた問題点が全て取り上げられていました。

数日後の今日、私の家に次々とかかってくる電話で、ついに私は彼女に手紙をしたためることにしたのです。

会長様以下5役様
この度の会長並びに5役をお引き受けくださり、誠にありがとうございます

また、さっそくのアンケートを皆様にお配りくださいましたこと、感無量でございます。
この案件は 自治会が高齢化してくる頃から持ち上がっておりましたが、役勤めが1年ということもあり、長年先送りされてきたものでした。
 この度の5役の方々の年齢もお若く一致団結して早々に取り組んでいただきましたこと、こころから感謝いたします。
私だけでなく、この数日の間 何人かの方たちから「会長以下5役様に感謝の意を伝えてください」との電話をいただきました。
会長様とは同じ班ということで、私のところに電話が入ったものとおもわれます。
 年寄りは年寄りなりに、精いっぱい協力させていただきたいと思っておりますが、今の自分が「気持ちはあるけれど…」という年齢になったことを 実感せざるおえないことに気づきました。
 このアンケートに長年居住された方々の悲願がすべてとりあげられておりますことに、感銘をもっております。
ここに、皆さまからの感謝感激を まとめてお伝えさせていただけますことを、私もうれしく思っております。
どうか、くれぐれも各自御身ご自愛のほどお過ごしくださいますように
                            敬具
                    高齢者有志代表
                         00 0子
 2022年6月15日


その日の夜、会長さんから電話があり

「こんなお手紙をいただきありがとうございます。
5役のみなさんにも読んで頂き、うれしい気持ちを共感できました」

私は照れながら
「いや~、会って話したらよかったんやけど~、変にかたい文になってしまって…」と、恐縮するばかり…でした。

ある84歳の殿方が
「もう5年くらいしたら、私ら年寄りはみ~んないなくなって、問題解決すると思うんやがなあ」と、おっしゃった。

そうかも知れない。

わたしもそのころには…?

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