小説 冬の訪問者 スミレの恋人 第7話
明かりに浮かびあがった顔をみて、一郎は息をのんだ。
言葉を発しようとしたが、声がかすれてしまい、息を吐くように、その名を呼んだ。
「ユリ‥‥‥」
ユリは一郎のそばに歩み寄った。彼はユリの顔に向かって手を伸ばした。
「夢なのか‥‥‥ 君は少しも変っていない」彼はあえぎながら言った。
可憐な美しさは、あの当時のままだ。華奢で白い手が一郎の手を握った。
「一郎さん‥‥‥」
ユリの温かさが伝わってくる。
「ユリ‥‥‥ どうして今なんだ‥‥‥ここにどうして」
ユリは一