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金沢キラー・須貝&新たな可変スタイル誕生!!ツエーゲン金沢戦レビュー(2022年J2第10節)

こんヴァンフォーレ!
今回は4月16日(土)に行われた
2022年J2第10節
ツエーゲン金沢vsヴァンフォーレ甲府のレビューをお届け!


1.概要

今節で10試合目、シーズンの約4分の1を消化し、対戦済みのチームと未対戦のチームもだいたい半分ずつ。

他所を見ると、無敗で突っ走っているチームもいれば、未だ未勝利のチーム、やたらと引き分けているチームが目立つ印象。

そんなわけで、多くの試合で先制点を奪われている印象のヴァンフォーレは、2試合連続のアウェー戦。
対戦相手の金沢は直近5試合を負けなしで今節を迎える。

甲府は金沢相手に昨季は2戦2勝、今季はここまで3勝しているが、いずれもアウェーでの勝点3
甲府としては昨季からの相性の良さ、ここまで金沢がホーム未勝利の流れを活かし、今季初の連勝を果たしたい。


2.選手紹介

ツエーゲン金沢

まずはホームの金沢のメンバー
柳下監督体制6年目、今節も4-4-2のフォーメーション

ツエーゲン金沢

要注意選手はCBの庄司選手の安定した守備と統率
そしてなんといっても元日本代表FW豊田選手で、圧倒的なフィジカルを活かしたポストプレーとストライカーらしい得点力はまだまだJ1でも通用するレベル

ベンチスタートの杉浦選手、大谷選手にも注意が必要

ヴァンフォーレ甲府

続いて、ヴァンフォーレのメンバー

ヴァンフォーレ甲府

前節の大宮戦と同じスターティングメンバーで今節に挑む
GKの河田選手はこの試合の出場で通算200試合出場を達成!
おめでとうございます!

リザーブには、DF登録選手はなし
石川選手が久々のメンバー入り
FWでは飯島選手に代わって、宮崎選手が復帰した


3.試合結果

ツエーゲン金沢vsヴァンフォーレ甲府 スコア表

見事、2試合連続の逆転勝利を飾り、2連勝を達成!
試合の流れを振り返っていく

前半6分 金沢、先制ゴール

CB庄司選手が自陣でボールを持つと、甲府のラインとラインの間にサイドから絞ってきた嶋田選手に縦パスを供給
嶋田選手はターンしてFW林選手にスルーパスを出すと、林選手はPA外からグラウンダーのシュートを放つ
GK河田選手が反応するも手は届かず、開始早々先制点を献上した。

前半10分 甲府、アクシデント発生

今節も先制点を許し、早くも1点を追いかける展開になる甲府にさらにアクシデント発生
左CBに入っている北谷選手が相手選手を追いかける際に太ももを負傷
公式発表はないが、おそらく筋肉系のトラブルかと思われるが、交代カードも切ることになった甲府はDF登録の控えがいないため、WB小林選手を投入
小林選手を左WB、須貝選手を右CB、野澤陸選手を北谷選手のいた左ストッパーにスライドさせて対応することとなった。
新井キャプテンやオミさんが負傷している守備陣に新たな負傷者が出てしまい、嫌な流れを感じたが、この試合においてこの出来事が勝敗を左右する大きな要因となったといえる

前半16分 甲府、同点ゴール!

鳥海選手が左サイドでボールをキープすると、味方の後方からのサポートをフェイントに生かし、サイドからPA内に侵入!
そのまま自分でシュートまで持ち込むも白井選手のセーブに遭ってしまう
が!弾かれたボールにいち早く反応したウィリアン・リラ選手がゴールに押し込み、今季10試合目にして待望の初ゴールをマークした

前半22分 甲府、逆転ゴール!!

中盤でセカンドボールを須貝選手が回収すると、右サイドの関口選手に一度預けて自身はインナーラップで飛び出す
関口選手からワンツーで浮き球のパスを受けると、そのままPA内を切り裂き冷静にシュートを沈め、逆転に成功した
須貝選手は昨年もアウェー金沢戦でプロ初ゴールを決めており、着実に金沢キラーとして成長している、ちなみに昨年決めた時のポジションは左WB

前半30分 甲府、追加点!!!

同点ゴールの流れから勢いづく甲府はセットプレーから追加点を奪う
左CKを長谷川選手がファーサイドでフリーで構えている山田選手にデザインされた形を披露
直接山田選手のシュートに至らなかったものの、ふわっとしたクロスを供給するとゴール前で浦上選手が空中戦の強さを発揮
浦上選手が競った後のボールを鳥海選手が倒れこみながら見事な反転ボレーでゴール右隅に決めた
鳥海選手も今季初ゴールをゲット!

後半4分 甲府、長谷川選手3連発ならず

PA右に侵入した須貝選手がゴール前にクロス
長谷川選手がシュートを放つもボールはクロスバーに嫌われ、とどめの4点目は奪えず

後半12分 金沢、反撃の一撃

金沢の攻撃を一度は防いだものの、ハーフライン手前で再度ボールを失うと金沢の攻撃を受ける
粘り強く対応したもののサイドに流れたボールを拾った長峰選手がふわっとしたクロスをファーサイドに送ると待ち構えていた豊田選手がマークをものともせずにヘディングシュートをたたきつけて反撃の1点を決められてしまう
さすがといえるゴールだった


1点リードとなったあとは、金沢が同点を目指して攻勢に出るも
甲府もまずは宮崎選手とパライバ選手を投入して前線を活性化
後半40分には経験豊富な石川選手とさんぺーが出場し、1点差を守りきって試合をクローズさせた。


4.今節のポイント

①右ストッパー須貝

今節の最大のポイントだったことは間違いない。
試合の勝敗を分けたポイントは前半10分の交代だった
今日のベンチメンバーにDFがいなかったのは、守備陣にアクシデントがあった場合はそもそもこのメンバーのスライドを想定していたのか、たまたまだったのか。
もし、ヴィスキ選手がメンバー入りしていたら、小林選手ではなくヴィスキ選手が出ていたのではないか、などと考えてしまう。

金沢の柳下監督は試合後に
「須貝選手が訳のわからない動きをして」
と話していたが、たしかに甲府を知る人ではなければなかなか想定し得ない形だったともいえる

私自身も北谷選手負傷の際に想定したメンバー変更は
A.石川選手をボランチで投入、林田選手を左ストッパーにスライド
B.当時既に1点ビハインド状況のため、攻撃的選手を投入し4-4-2などの4バックシステムに変更(CBに浦上選手と野澤陸選手、右SB関口選手、左SB須貝選手)
C.小林選手投入、須貝選手をストッパーにスライド
の3パターンだった

結果Cのパターンだった訳だが、想定していたのはそこまで
開幕節岡山戦の記憶を思い返せば、特別指定選手の三浦選手が投入されると須貝選手が一列下がっていた記憶があったから、当然北谷選手が抜けたところに須貝選手が入ると思っていたが、小林選手が投入された後の陣形は異なった。
わざわざ野澤陸選手を左ストッパーにスライドさせ、須貝選手を右ストッパーに起用した、その意図を理解するには十分すぎる結果を直後見せつけてくれたのは言うまでもない。

右サイドの関口選手と須貝選手の連携はどうなんだろうといったこともあったが、思い返せばこれも岡山戦で、あの時は右シャドーと右WBという関係だったが面白い形は作っていた記憶がある

なにより、今節ではシャドーの鳥海選手も含めた3人の関係がバランスよくて、昨年の長谷川選手・荒木選手・野津田選手の3人で左サイドの攻略をしていた形を思い出した

新井キャプテンとオミさん離脱中のため、浦上選手がリベロに入る形を続けているため、DFからボランチに1枚上がる可変の形は難しい状況になったが、ダブル右ウイングバックというのか、新たな可変システムが誕生したといってもいいのではないだろうか
吉田監督の中では既に練習でやっていたとのことだったが、実戦で結果が伴ったというのは大きいといえる

②.課題を上回る「何か」

またしてもと言っていいと思うが、先制点を奪われるという形は課題として残っている
リスク管理の意識という点では、離脱中の選手も多く、合流したばかりの外国籍選手は急ぎ順応中、出場している選手は若手主体
これからも実践で成長していきながら課題の克服に向かうしかないとも思う

伊藤監督時代、開始10分はかなりセーフティーに敵の裏にロングボールを蹴り込んで相手の出方を伺う戦術だったように思うが、今季は昨年以上にビルドアップに重点を置いている印象なので、これも今後さらに深く戦術として浸透させていく必要はある。

それでも、大宮戦も今節も課題を残しつつもそれを跳ね返す結果は見せている
正直、今節も先制を許したあとは(逆転勝利はたった一度のみの)昨年ような「この試合は勝つの厳しいか・・・」というネガティブな意識は全く生まれず、「早い時間で追いつけばあっさり逆転まであるんじゃないか」などど思うようになっている
そんな気持ちを持ってしまっていることは、果たして良いことなのか悪いことなのかはさておき、きっと選手たちもメンタル的な部分ではここまで逆転勝ちのみで勝利を掴んでいるのはある意味自信になっていると思う。

失点した試合は10試合中9試合、先制点を許した試合は10試合中7試合と決して褒められるものではないが、得点した試合は10試合中8試合、3試合連続複数得点中、課題を修正するまでは勝ち点3を手にするために、ネガティブ要素を跳ね返すほどのポジティブ要素を生み出せばいいと、大宮戦と今節ではっきりした
勝つためにちょっと余分なパワーが必要な気もするが、若いチームが課題の克服と経験を手にするために必要な授業料として。
課題が克服できたときに、そのパワーが昇格に必要な大きな要因となるはずだから。

③.試合を決定づける一撃

ポイントの①と②が長くなったので、ここは手短に。
2点リードで迎えた後半開始時にきっと多くの人が思ったことは
「次の1点どちらに入るかで展開が大きく変わる」
ということではないだろうか。

甲府が4点目を決めれば3点リード、ほぼ試合が決まる
逆に金沢が1点返せば、ゲームは1点差となり、まだわからない

そしてその1点を奪ったのは金沢の豊田選手だった
J1で数多くの試合を決めるゴールを奪い、代表でのキャリアもある豊田選手はきっとこの1点を決め切ることの大きさを両チームの中で1番理解していたのではないかと思う

結果、その後は金沢は交代出場などで勢いを掴んで攻勢を強めた
だが、それでもゴールを割らせなかったのはここまでの9試合を経験が今の甲府の選手たちにあったからではないだろうか。
②のポイントにもつながるが、これも課題を上回る精神力をチーム全員が持っていたからだと思う。


5.まとめ

なにはともあれ、2連勝できたことはとても大きい。
第8節で仙台に敗れた後、第10節までの2試合が今後の戦いに大きく影響するという考えを以前動画で話したが、残留争いからは一旦距離を置けたと思われる。
そうはいっても、この後の試合次第ではなんとも言えないが、少なくとも数試合でまずはプレーオフ圏内の6位以内も狙える勝ち点にはなっていると思う。

波に乗り切れない時もチームの雰囲気は良かったと思うし、結果が出てきてからはさらに勢いを上乗せしてほしいところ。
今節、須貝選手がゴールした時の小林選手
前節、パライバ選手がゴールした時のリラ選手
同じポジションで競争がある選手同士が自分がゴールしたかのように喜んでいる姿を見て、チームの一体感を感じることも、これからの32試合でまだまだ上を目指せると思えた。

2連勝中だが、まだまだ気の抜けない戦いは続く。
選手や監督だけでなく、引き続き甲府に関わる全ての人たちで一体感をを持って戦っていきたい。

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