3.SNSの特性、使い分け①

 活動の戦略をマーケティングファネルに当てはめたとき、この施策はどの段階の施策なのかがわかってくると思います。
 その際に、重要なことは「どの施策をどのSNSで行うか」です。私がバンドをやっていた頃はSNSはまだ成長途中でしたし、ショート動画も無く、YouTubeが全盛期だったので、だいたいどのアーティストもYouTubeで公開したMVのURLをTwitterその他SNSに投稿していました。それは今も行われていて、間違ったやり方ではないと思います。
 しかし、Twitterに投稿したくらいではそれがどんなにいいものだとしても再生数は伸びません。YouTubeの再生を稼ぐ方法はいくつかあるので、認知獲得のためなら手段を選ばないという気概がある方でしたら実践すべきだと思いますが、正直アーティスト活動とSNSウケの相性は私はあまり良くないと思っています。アーティストのブランドに傷が付くからです。ここではブランディングの話はしませんが、戦略的に自身の見せ方を考えてYouTubeをやる場合を除いて、アーティストのYouTuber的な動画はお勧めしません。

 ではYouTubeの再生数はどうするのかというと、気にするのをやめましょう。まず、YouTubeは基本的に検索媒体ということを押さえて下さい。それはつまり、既に認知を獲得した顧客が興味を持って自ら検索することで辿りつくということです。今でこそ、ユーザーの興味に従って画面にいくつかの関連動画がレコメンドされるようになっていますが、基本的には検索媒体という構造は変わっていません。つまり、YouTubeは「認知」の施策には向いていません。
 だからこそカバー曲を投稿したり、動画や曲のタイトルを検索されやすいワードにする等の方法がありますが、それが自身の活動コンセプトとずれてしまう場合はお勧めしません。なぜなら、せっかく興味を持って検索したアーティストがよくわからない動画を投稿していたら顧客は戸惑ってしまうからです。
 大切なことは10000回の再生数よりも1人がMVを見てライブに足を運んでくれることです。再生が100回でもそのMVで10人ライブにきたいと思ってもらえる方が価値があります。このように、YouTubeは興味を持ってくれた顕在顧客をよりコアなファンにしていくための施策として考えましょう。

 次にInstagramですが、こちらもYouTube同様検索媒体となります。通常のアカウントが発見タブに載ることはまずありません。リールも同様で、エンゲージメントを集めた評価の高いショート動画は外部から流れてきますが、まずそのレベルまでアカウントを育成する必要があります。ストーリーズのみシェア可能ですが24時間で消えてしまいます。
 今Instagramで流行っているものは「生活・スキルお役立ち系」や「ランキング形式の飲食店紹介」等で、こちらもアーティスト活動と相性がいいとは思えません。しかし、それはつまりSNSをやらなくていいというわけではありません。それぞれのSNSにそれぞれのユーザー層があり、どれかが欠けた分顧客を逃がしていると考えて下さい。
 ではInstagramの活用はどうすべきかですが、ブランディングとしての利用です。ブランディングについてはここでは軽くしか説明しませんが、(というか、ブランディングの方法について検索すれば有名なクリエイティブディレクター達の話が聞けたりするのでまずそれを見て下さい。)避けたいことは顧客がアカウントを訪れた際にイメージが壊れる画像が投稿されていることです。ブランディングでは時間をかけて客観的なイメージを構築していきますが、そのイメージはかけた時間に対して簡単に崩れてしまいます。Instagramに投稿する画像は、できるだけビジュアルを意識し、自身の表現したい世界観を写したもので統一しましょう。
 検索媒体である以上こちらもYouTube同様、興味を持ってくれた顕在顧客をよりコアなファンにしていくための施策となります。


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