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オナニーみたいな恋だった

あの人と一緒にいるとき私はいつもそうだった。
言葉を選んで、表情も選んで、まるであの人が望む私を作ろうとしていた。
あの時はそれが当たり前で麻痺していたんだ。

2月29日から始まった呪いの四年間
その呪いってやつは時に天国の景色に化ける。
色とりどりのお花菜畑で私は幸せそうにあの人と笑っていたつもりいたけど、他人から見たら血の色の刺々しいコンクリートの地獄であの人さえもいない場所で一人で泣きながら笑ってるように見えていたかのかもしれない。

あの人のことがずっとずっと忘れられなくて、そんな自分が疎ましくて
検索した「記憶を消す方法」

雑な恋すらする気になれなくて、身を任せてどうでもいい奴に抱かれることすら拒んでいた。

忘れられないと嘆くことよりも、そんな自分を認めることで少しでも心の痛みを受け入れようと決意したことで言葉を綴った。

綴れば綴るほど、言いたいことなんてガラクタみたいなものだと気づき
一緒に見た景色も感じたものも私だけのオナニー。

二人の思い出ではなくて、私だけの思い出
だってあの人にとっては私という人物すらもう昔の登場人物で死んだキャラなはずだから。

そうやってどんどんどんどん言葉にすることで去ったものは滑稽だという言葉で片付けた方が自分が楽になれるんだよと自分に教えてあげる。

全てを晒したことで呪いは解かれていく。

好きだった、辛かった、苦しかった、泣き叫びたかった

なんてチープな言葉たち


あの頃、毎晩、私がどんな夢を見ていたか知らないでしょう?言わなかったけど、悪夢ばかり見ていて魘されていたよ。
あの時、あの人の前で一度だけ泣いた時だって私は嘘をついたんだよ。


だって、嫌われたくなかったから。
馬鹿だからね。

昔の自分を否定はしない、だって過去は消せないし事実だから。
だけどそれにすがるほどもう人生は長くない。
思春期じゃないんだから、もういい大人なんだから。

言葉はとても真っ直ぐでとても冷たい。
感情を全てパッケージングなんてできない。
でもそれがいい。どんだけ愛したことも呆気ないものにしようよ。

あの人が私を死んだキャラにしたように
私もあの人を死んだキャラにするね。

この日をずっとずっと私は待っていた。

「私を捨ててくれてありがとう。」

あの人へ

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