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さめざめ暴書「私じゃなくてもいいから」

この曲を作ったのは一年くらい前のこと。
シンプルだけど、心の隙間と隙間を抜けるような真っ直ぐな恋愛ソングを作りたかった。
この曲のタイトルが楽曲の内容そのもの。
夏が終わり、秋が始まり、季節がどんどん鈍い色に変わっていく様を言葉で音で歌で表現したかった。

イントロのメロディーは決まっていた。夕暮れがイメージできるようにオルガンの音色がいいなと。
「落下」という言葉は、昔から大好きな言葉で、ここぞという時に歌詞に使いかった。
目を閉じたら浮かんでくる景色。改札、コンビニ、よくタバコをふかしていたベランダ。

自分自身で楽曲を書いているとよくあることなんだけど、たまに予言をしてしまう。
今回は悲しい予言をこの曲で歌ってしまった。

人は絶対に「たられば」に惑わされる時がある。
私、どこで間違えたのかな? 
思い返す。まるで答えのない答え合わせを思い出す。
あの時のあの言葉か、あの時のあの行動か、あの時のあの涙か。
結局、どこで間違えても同じだったんだろうと逆に落ち込んだりもする。

いつもどこかで感じてる不安の中で、抱きしめられるとそれが一瞬だけ見えなくなる。
帳消しになっていく。もしかしたら麻薬とかも同じ感覚なのだろうか。
気持ち良くてその瞬間は忘れてしまう。
快感に溺れた後、少し経てばまたあの不安に襲われるのに。
そんな麻痺した繰り返しを続けていくと自分がどうかしてることさえも分からなくなっていくのだ。

大切な人と過ごした思い出を忘れたくなくて、何度も脳で再生をする。
それでもどんどん細かい言葉の言い回しや、表情がぼやけていく。
あんなにこの目と心のレックボタンを押しては録画してきたはずなのに。

大切なものは安堵を手に入れようとした瞬間にするりとこの手を抜けていった。
ああ、そうか。この時間、このタイミング、この場所全てが揃っていたから、私はあなたといたんだと。それすら気づけなかったけど。
全てを揃えたのは間違いなく私だった。
だから、全てが揃わなくなったら私たちは消えてしまうことが怖かったんだ。

換気扇に向かって煙を吐く背中がいつ見たって愛おしい。
灰皿に残る痕跡を一人の夜はよく眺めていた。きれいな吸殻だなって。
アメスピの空箱さえ捨てられない人間が、簡単に人を忘れられるわけがない。

この曲ができてから、楽曲とダブって「私じゃなくてもいいからそばにいてよ。」と送ったライン。
歌以外ではそんな言葉は何の効力もない。
そんなことを分かっていたのに、理性を保てなかった私はしばらく馬鹿を繰り返した。

一緒にいた頃はよく思っていた。一年後は一緒にいないだろう。
一年経ってまた、一年後は一緒にいないだろう。
それを繰り返していたら、一年後も一緒にいるだろうっていつの間にか自分を甘やかす思想に変わっていた。ちゃんと自分を甘やかした罰はくだり、一年後はなかった。

その一年後は今だ。

運命なんてないことは分かっている。でも出会えた意味はあると思いたい。
人生にはたくさんの伏線があって、いつかそれが回収されて、ドラマの最終回のように自分がハッピーエンドになることを心のどこかで願っている。

私が二十歳の頃に出会い系サイトであの女の子と出会ってなかったら・・・
そう、伏線の回収から始まれば、はるか昔の二十歳の頃からの話になってしまうのだ。
それとも別の出会い方でも出会えていたのだろうか。運命じゃあるまいし。

私はあなたが本当に良かった。
でもそれはエゴでしかなかった。
意地でも一緒にいたかった。

でもそれはもう今の私ではない。
人生はたくさんの諦めが必要なのだ。

両想いは一瞬。

この数年、幸せとは何かと考え続けた。
自分なりの正論を振りかざし続けてきた。
だって、幸せってみんな違うから。
それを知ることができたのは良かったのかもしれない。

もう出会うこともなく、交わることもなく、それでもいつか何かのスイッチで私のことを思い出してくれた時、どんな気持ちになるのだろうか。
もうどうにもならなくても、いつかはあなたの瞳に映るような人になりたい。

きっとそんなことはないでしょう。
でも私がこの楽曲を作って一年後に感じたもの。

そして一年後は一人で良かったと思っている。

万が一、この一年後一人でなければ私はもっと泣いていただろう。

自分勝手に一年苦しみ続けて、出した答え。
そろそろ自分で自分を救ってあげようという気持ち。

私のことを救えるのは私しかいない。

それはきっとこれを読んでるあなたもそうだよ。

そろそろあなたはあなた自身を救ってあげよう。

私じゃなくてもいいから https://www.uta-net.com/song/277314/

https://www.youtube.com/watch?v=FnlFi9UigqE


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