「筆先三寸」日記再録 2009年8月~9月

2009年5月~7月は、日記の更新はありませんでした。

2009年8月9日(日)

 ご無沙汰しております。
 4月からこっち、ちょっと面倒な仕事を抱えておりまして、今回ばかりはちょっと気持ちを引き締めないと、ということで「更新断ち」をしておりました。
 ここ1、2年は、本気で数ヶ月さぼるってなこともしょっちゅうだったんですが、この4ヶ月はまあそういうことでした。
 で、その仕事もめどはついたので、まあぼちぼち、と。

 それにしましても、久しぶりの日記ですのでお目だるいところもあるかもしれませんが、そこはご容赦いただいて、少しだけお付き合いのほどを。

 相も変わらず文房具ネタから参りますが、今年のサファリの限定色はオレンジということで、いっかな食指は動きませんでした。サファリだけでももう3本も持ってるし。
 ところが、その一方で、パイロットの色彩雫の新色の「山栗」と「冬柿」というのを購入してしまったわけです(ここの説明と筆記見本が的確でいい感じ)。
 この「冬柿」という、濃いオレンジの色合いがもう、ちょっと和のテイストも入ってて、書き込み用訂正用に常用したくなる色なのです。そこで、ふと思い当たってしまったのが運の尽き。「これって、サファリのオレンジに入れるとピッタリじゃね?」
 というわけで、手に入れましたよ、オレンジ・サファリ。わざわざ電車乗って夙川まで行って。基本的に書き込み用途なので、ペン先は、並行輸入でしか手に入らないEFです(ラミーはEFでも太い。国産のMF並み)。
 いやはや。

 ついでに、誰もが知ってるキャップ式シャープペンシルの名品、ぺんてる・ケリーの0.7mm版てのも買ってしまいました(色はリンク先にあるのと同じブルー)。これも逆輸入品で、普通のケリーより千円以上高いんですが、大きめの字をバリバリ書ける0.7mmシャープをケリーで持つ、という魅力には抗えませんでした。これはちょっと自慢の一品です(誰に自慢していいのかわからないけれど)。

 というわけで、私のペンケースの中では、「究極のシャーペン・メニュー」というのが完成してしまいました。

0.3mm……ステッドラー925-25-03:ローレットの指どまりも抜群の、製図用シャープの雄。ちまちま書いたり、図を書いたりには最適。
0.5mm……パイロットS20:シェイプは300円のS3と同じく、細身の製図用シャープ。でも、これは木軸で、指に吸いつく感触がたまらない。指の疲れにくい適度な細さ、ロングスリーブによる先端の見切りのよさ、重量バランスも申し分なく、学生の日常使いには最強の一本かと。
0.7mm……ぺんてるケリー:上品なたたずまい、手にしっくり収まるデザイン、走り書きに最適な0.7mm。文句なしに常用の一本。
0.9mm……トンボZOOM505:これもキャップ式。高級感と重量感のある軸とデザインで、この太さとラバーグリップの完成度は、パイロットのDr.グリップ以上だと思う。柔らかい芯を入れておいて、がっとつかんでガシガシメモ取るのに、この0.9mmはいい。
(0.4mm、1.18mm、1.3mmあたりのマイナーなのはとりあえずパス。2mm芯は、シャーペンじゃないけど、ステッドラーのマルステクニコ780Cがやはり鉄板。)

 ちなみに、オレンジ・サファリのEFとか、0.7mmのケリーとかを購入したのはこちら。珍しい文房具が目白押しのリアル店舗は楽しかったよ(リアル店舗はもうないようだ。2023年9月18日註)。


2009年8月11日(火)

 日曜日の「たかじんのそこまで言って委員会」でも、侃々諤々やってたけれど、核兵器の廃絶問題は議論でどうにかなるってみんなして思ってるところがおかしかった。結局、「おれが正しいお前馬鹿」の罵りあいになっちゃってて。
 これは死刑廃止なんかと同じだと思うんだけど、「結論」のコンセンサスをなんとかして(独裁者の一喝でも、完全2択の国民投票でも)先に持ってこないとどうしようもないと思う。どっちにも一理あるんだから(それにどっちも宗教的なほどの信念に凝り固まってるし)、話し合いでどうにかなるもんじゃないよね。
 「核兵器共存上等」が結論なら、それなりに大国のエゴを抑える算段とか、NPTの抜け道をふさぐ方策とか、具体的に議論を進めればいいと思うし。
 「めざせ核廃絶」が結論なら、各国ごとに順次廃棄する手順を相談しつつ、新たな製造を監視する強固なシステムを作っていくとかすればいいし。
 どっちにせよ、「テロリストの手に渡ったらどうする」なんてのは愚の骨頂だよな。銃規制反対論者の「我々が銃を手放すと、ならず者だけが銃を持つ」と同じロジックだけど、まだまだ核兵器は密造や密輸のできるものにはなってない。北朝鮮あたりを想定してるにしても、米中で十分監視できてると思う。
 それと、「みんな持ってるから、ボクも持ちたい」みたいな論調の奴とか。お前は子どもかっちゅうねん。「そないにほしかったら、そこの子になり!」ってやつだ。
 あと、核による戦争の抑止力の話も議論が分かれて面白いね。抑止力は幻想だ、みたいなサヨクの人もいるけれど、戦後の世界を眺めてると、核兵器は明らかに強大な抑止力を持っている。核戦争に限ってだけど。じゃ、なくてもいっしょじゃん、という気がしなくもない。

 で、私の意見つか立場ですが、ヒロシマ・ナガサキの地獄のような悲惨さ(悲惨さでは東京大阪の大空襲も同様だと思うけど、こっちは放射能というクソでかい裏ドラが乗る)を思うにつけ、「核廃絶祈願派、でも現状容認ちょっとずつでも前へ進めよコラ主義者」を名乗らざるを得ません。早い話が、「米露英仏中印パイ」で、いっせーので「やめじゃ」と決断すればなんとでもなるんじゃないの、と思っています。たしかに夢のような話かもしれませんが、アメリカでの日本並みの銃刀法施行よりずっと容易な気もします。

 そうそう、冒頭の番組だけど、例の田母神さんも出演してて、「印パの停戦は核の抑止力のおかげ」とか、「核兵器のおかげで国際的な発言力が得られる」とか、ものすごい飛ばしっぷりで最高でしたよ。


2009年8月27日(木)

▼もう、1行や2行の更新とかでもいいですか? いちいち日記の結構とか考えてたらなにも書けなくなってきた。

▼そんな今の私にぴったりかも、Twitter。というわけで、最近ちょこちょこついったったりしてるわけですが、あれなにが面白いの? 有名人とか面白めの人のつぶやきにしても、ログ流し見してる間中、ずっと頭の中で、「知らんがな知らんがな知らんがな知らんがな」って台詞がリピートするんだけど。「有楽町なう」とか、「やっぱり自分はエビフライが好き」とか、「今度の選挙は、棄権も選択肢とか中二なこと言ってないで、白紙入れるためだけにでも行くべき」とか、いやもうほんまに、そんなんわし知らんがな。

▼文具ネタならいくらでも書くことあるけれど、きれいな写真入りの文具ブログもくさるほどあるしなあ。とりあえず、プラチナ・プレピーの中字はバカにしたもんじゃないですよ、とだけ。税込210円の万年筆ですが、少し手をかけてやれば1円あたりの書き味はたぶん世界一。

▼誰が期待しているわけでもない電波ソングの話もいろいろあったりします。ていうか、行きつけのゲーマーズをのぞいたら、奥のほうに同人CD専門のコーナーが新設されていて、ぷらいむまりぃの「からふるぱれっと」とかとか「おっさんに火をつけろ」とか「まきいずみのひゃくにんいっちゅ」とか、日本橋でももう売ってないクラシックが並んでてびびった。ていうか速攻で買った。いいのかそれで来月46歳。

▼サイからの情報であるが、小学5年生のともちゃんのコメント。
「ん? お父さんの電話の待ち受け画面? 知ってるよ。見たことある。うーん、どう思うって、ちょっと恥ずかしいかなあ。あ、でも、ともちゃんがそんなん言うたって、お父さんに言うたらあかんで。ぜったいやで」
 失敬な。携帯の待ち受け画面がハルヒのアップでなにが恥ずかしいというのだ。第2期の放送も佳境だというのに。それともなにか、こなたやかがみはもう古いとしても、りっちゃんやあずにゃんとかのほうがよかったのか。ホロのほうがいいのか。咲か。まさか真希波か。ん、それならいいかもな。ていうかよくないだろう来月46歳。

▼なんか、選挙も近いし、少しでもかしこそうなこと書きたかったのに。アルファブロガー(笑)めざしたいのに。


2009年8月28日(金)

▼そういえば更新休止中の7月に、このサイトの公開十周年を迎えたのだった。思えば遠くへ来たもんだ、と一瞬思ったが、十年前の日記を読み返しても、おそろしいほど進歩がない。遠くへどころか一歩も進んでない。たいしたことないね中年の十年なんて。この十年の人生の厚みなんて2ミリぐらい?

▼その更新休止中の大発見をひとつ。

「眠いときはマンガを読めば目が覚めるよ!」

 7月末から8月にかけては、抱えていた仕事が大詰めを迎えていて、睡眠時間も三日で十時間とか一週間でも二十数時間みたいな感じがずっと続いてました。もちろん、毎晩自宅のパソコンでワープロを叩きながらの話です。
 となるとどうしても、深夜から明け方にかけては睡魔との闘いになります。気がつくと、椅子から崩れ落ちて、フローリングに突っ伏してたりします。コーヒーを飲んでも、体操をしても、パソコンに向かうとすぐに首ががっくんがっくんしてきます。
 そんなときに、眠りこむよりはましかと、10分ばかりの息抜きのつもりで、手元のお気に入りのマンガを読んでみたのです。するとどうでしょう、どんどん目も頭もさえてくるではありませんか。このとき読んだのは、手堅く『げんしけん』、『もやしもん』、『よつばと!』あたりでした。お気に入りのマンガで、脳のどこかが刺激されるのでしょうか。テレビや音楽ではなかなか睡魔を追い払えないのに。
 というわけで、深夜の勉強でお困りの受験生の方々にもオススメしておきます。眠いときには本当に効きますよ。
 ただし、この方法にも問題がないわけではありません。睡魔から逃れてきっちり目が覚めても、そのマンガを読み続けてしまうのです。明け方までちゃんと起きてたはいいけれど、マンガをたくさん読んだだけで仕事も勉強もさっぱりはかどらなかったなんてことになります。私は何度もなりました。だめじゃん。


2009年8月29日(土)

 いよいよ久しぶりの衆院選も明日に迫ったわけで。
 選挙の趨勢を読むことには結構自信があるのだが、今回ばかりは世間の空気同様、民主圧勝で決着しそうな気がする。通常直前にこういう空気が流れる中では、やっぱり自民の肩を持つやつとか与野党逆転に不安を抱く空気とかがまざりはじめて、いくらマスコミが煽ってもゆりもどす気配が生じるんだけど。
 「といったって、いまここでもっかい“自民党”はないよなあ」というムードが強すぎる。

 ということで、大量の「でもしか民主票」のおかげで、政権交代とかしちゃうんだろう。
 そんでもって、またもや毎日毎日、国会運営の駆け引きとか閣僚発言の揚げ足の取り合いとか政治献金の粗探しとかで、政治ニュースが埋めつくされて、その陰で官僚主導の法案が通ったり高速道路無料化がうやむやになったり消費税が上がったり自衛隊の海外派遣が進んだり赤字国債は減らなかったり外交政策が迷走したりするのだろう。そんなものこれまでもそうだったしこれからもそうだろうというだけの話だ。

 でも私は明日選挙に行く。京セラドームにも行くけど。


2009年8月30日(日)

▼一家4人で出かけた「オリックス‐西武戦」は、毎回ランナーを出しながらの緊迫した前半で、小松が西川に代わったところで帰りました(どうしても抜けないといけなくなったんだよー、もー)。結局バファローズが、中継ぎが打たれて負けたらしいけど。
 人工芝のドーム球場だけど、やっぱり球場で見るプロ野球はいいね。テレビで見ているときの、カメラやアナウンサーに強要されるような緊張感がなくて。外野の応援も内野の野次もなんか牧歌的で。売店のビールもカキ氷もうまいし。それでいて、ピッチャーの速球や白い糸を引くようなライナー、鮮やかな守備の迫力はハンパない。
今度は甲子園に行きたいな。

▼大方の予想通り、民主党が大勝してしまいました。みんな自民党に見切りをつけたというか、堪忍袋の緒が切れたというか、自民党政治にNo! ということだったんでしょう。
 というようなコメントが明日の朝刊やニュースにあふれると思いますが、それちがいますから。自民党とか関係ありませんから。
 国民の本当の本音のところには、「こんなんいややー、なんか変われー!」という叫びしかありません。
 前回の小泉の郵政選挙で自民党がボロ勝ちしたのだって、自民党人気でも民主党の不人気のせいでもなく、「(旧態依然の)自民党をぶっ潰す」とほえた総理大臣にみんな期待しただけですし。
 立て続けにあった大阪府知事選と大阪市長選を思い出しても、自公の推した橋本と民主の推した平松が勝つというねじれがありました。これだって、「現状変えてくれそう」の一点で候補者の中から選ばれた結果です。現場の体感としては。
だから、これからしばらくの民主党の正しい道はただひとつ、「明るく振舞うこと」です。政策の中身は問いません。どうせなにをあわててやろうとしても、国会内の足の引っ張り合いでグダグダになるんですから。
 そこで「明るく振舞う」。空元気でも、歯を食いしばってでも、「明るく振舞う」。この不況、この経済、この世界の中で、もっとも安易でかつ困難な仕事です。
当面それだけで十分です。がんばってほしいと思います。


2009年9月2日(水)

 気の早い話だが、すでに来年の手帳をどうするかで悩んでいる。

 というのも、「でかい! いっぱい書ける! ウィークリーもついてる!」にひかれて、「ほぼ日手帳 カズン」(の本体)を買ってしまったのである。中身はこんな感じで、予想通りとても使いやすそうな仕様になっている。なんといっても、「日々の言葉」がページに入ってないところが素晴らしい。
 月間→週間→デイリーというスケジューリングの流れも、いま使っているシステム手帳での自己流のやり方をそのまま踏襲できるし。
 じゃそのままカズン使えばいいじゃん、みたいな話だが、やっぱりこれは大きい。A5で2センチ近い厚みとなると、山川の日本史教科書並みである。そのうえ紙が薄くてページ数が多いので重いし。
スケジュール中心で資料類の携帯性を優先するなら、やっぱり超整理手帳だし(ナガサワの革カバーを使いたい)。スマートさとスケジュールに特化するなら、小ぶりな綴じ手帳になるだろう。
 といいつつ、綿密なスケジュールと日誌、参考資料(の縮小コピー)、読書ノートその他の記録まで欲ばった結果が、今のアンコ型のシステム手帳なのである。
 どうだろう、今はさすがに買ったばかりなので「カズン使いてー」の気持ちが強いのだが。
 年末までにゆっくり考えるとしよう。

 ていうか、今は翌年の手帳の発売が早くなったねえ。
 ロフトには、ほかにもハイタイドやモールスキンのダイアリーが並んでたし。
 どのメーカーも、早めに売りつけてユーザを囲い込みたいとかあるのかな。
 どうせなら、「9月限定仕様(10月始まりで翌年末まで)」とか、「9月限定おまけ(西又葵イラスト入り下敷き)」とか、「9月限定早期お買い上げキャンペーン価格」とか、もっと主張すればいいのに。


2009年9月3日(木)

▼今日、少し大きな文房具屋に立ち寄ったら、9月始まりとか10月始まりの手帳(もちろん尻は来年の12月末まで)がいっぱいあってびびった。どんだけ使わすつもりやねん。さすがに西又さんのイラスト入りはなかったけど。

▼森見登美彦の著作の表紙などでおなじみの、中村祐介の画集「Blue」がよく売れているらしい(リンク先はこれでいいのかな)。中年のおっさんとしては、林静一の正当な後継者がやっと現れたと慶賀の至り。小梅ちゃーん!

▼かくいう私もご多聞にもれず、「ヱヴァンゲリヲン劇場版:破」を観て衝撃を受けたわけですが(なんという時機を失した話題!)。
 あの、なんですな、綾波さんの「ぽかぽかする」とか、シンジ君の「来い!」とか、テレビ版(とそれをなぞった「序」)しか知らない私にとっては、驚天動地&落涙必至な台詞があったりしたわけですが、それはそれとしても、真希波さんてば、メガネっ娘&ツインテール&ニーソ&豊乳の肉食系14歳って、どんだけド真ん中の剛速球。お前は藤村甲子園か。と、ネット界隈でも屈指の頭の悪そうな感想を述べてみました。にしても坂本さんっていい芝居するよねえ。歌うまいのは知ってたけど。
 ていうかさ、劇場では、定番のオタク風の連中以外に、オサレ系のカップルとか、コギャルグループとかが結構いてちょっと意外だった。隣に座ってたコギャルの人たちなんてのは、ひと言の私語もなくものすごく真剣に観ていたと思ったら、予告編まで終わって場内が明るくなったとたんに、「ヤバイ、めっちゃ面白かった。なあ、めっちゃヤバかったやんなあ。うわあ」と、のはらしんのすけさんでももうちょっとましな感想を言うのではないかと思えるような表現で、肯定的な感想を伝え合っておられました。
 私ども、SFファン上がりのオタクもどきには、親と子のドラマ以外にも、地下都市のギミックやエヴァ登場時のワンダバをはじめ、戦闘シーンのカット割りからミサトさんの携帯の着信音にまで心震える部分があるのですが、オタクの素養などもちろん毛ほどもなく、おそらくテレビシリーズもリアルタイムでは見ていない彼女たちにとって、いったいなにが「ヤバイ」のでしょう。いったいなにを期待してエヴァを観に来たのでしょう。「カヲル×シンジ」や「リョウジ×シンジ」などに妄想する腐女子のみなさんともちがうようですし。そこだけがちょっと謎です。


2009年9月4日(金)

 ゲームがしたい。どこかの、エアコンの効いた清潔な部屋に閉じこもって、食事は全部宅配のピザと缶ビールだけで、一日30時間ぐらい十日ほどぶっ通しで失神するほどやってみたい。
 もともとそんなゲーマーじゃないんだけど、このごろそんな欲望に取りつかれることがある。単なる逃避願望かもしれない。

 そもそも仕事のせいもあったけど、あんなに楽しみだった「逆転検事」すら買ってないし。今回はあの御剣が主人公だってのに。
 それ以前に、「アイドルマスターSP ミッシングムーン」だって、開封すらしてないし。俺の嫁であるところの(関係代名詞)あずささんが待ってくれているにもかかわらず。
 「ドラクエ9」は、ともちゃんがやってるけど、さわらせてもらえないし。どうして今回は「冒険の書」がひとつしか作れないんだよ!
 PS3もXboxも値下げされるというのに。Xboxではとうとう、「ドリームクラブ」なる真の紳士にふさわしいゲームまで出たというのに。

 とりあえず、「ラブプラス」だけでも買おうかな。
 < いやいやいや、それだけはだめだろう、おっさんが買うとなるとある意味エロゲより終わってそうな気がするぞ。


2009年9月5日(土)

 8年半以上の長きにわたって放置し続けてきたうちの「リンク集」をリニューアルしました。
 最大のポイントは、徳田雨窓さんの「雨谷の庵」のアンテナを全面的に(しかも無断で)利用させていただいているところです。雑文系、ネタ系、オタク系、テキスト系と万全すぎる布陣で申し分ないです。なので、「それ聞か」や「半茶」、「エレメンタルノート」など、私にとってリンクを張らざるべからざるところも重複を理由に割愛させていただいております。恐縮です。
 そのほか、いくつか巡回先と個人用のものを追加しました。
 おかげで、ぜんぜん利用者のことを考えてない自分用のリンク集になってしまいましたとさ。


2009年9月6日(日)

 年齢のことはネタ以外にあまり書きたくないんだけど、いやあ、45歳の誕生日以前と以後で、ものすごく変化するよ。老化ってなだらかに進むもんじゃないんだね。それこそもう、メタルキングの群れに遭遇して会心の一撃連発で急にレベルが上がった感じ。ていうか下がったのか。
 自分の個人的な経験なので一般化するのはよくないけれど、この1、2年の変化はそれまでの5年分以上だと思う。
 まず肩がこるようになった。それまでは同じ姿勢で長時間細かい作業(たとえば木版画)をしていてもまったく平気だったのに。他人に肩こりの悩みとか聞かされても、ゾウに「最近鼻がこって」と言われたみたいにきょとんとしてたのに。
 そんで、老眼が進んだし、白髪も増えた。しかも急に。徐々にとかではなくて。
 腹も出てきたし。体重は変わらないのに、胸や腕が細くなって、腹回りに来た。まだまだ服着てると気づかれないレベルなんだけど、こないだ風呂入るときに鏡見て愕然となった。なんだか銭湯で見かけるおじいさん思い出したんだもん。

 というわけで、コレステロールや血糖値も気になるし、せめて体型はもう少しましにならないかとウォーキングを始めることにしました。
 今日が初挑戦ということで、少しでも負荷をかけようと両手首にウエイトを巻いて30分ばかり歩いてきました。

 今のところ、178cm、66.3kg、体脂肪率16.0%。数字だけなら理想的なんだけどなあ。体型がなあ。orz


2009年9月7日(月)

 私は昔からルーズリーフノートがうまく使えない。
 はじめて買ったのはたぶん中学生のとき、無地のリフィルを買い込んで、イラスト帳にしていた。ノートだと失敗したページは切り取るなりあきらめて持ち歩くなりしないといけないのに、ルーズリーフは何枚無駄にしてもうまく描けたのだけはさんでおけるので重宝した。
 高校では、数学の問題集専用に使っていた。これはこれで紙の消費が激しい一方、学校へは宿題で当てられそうなところだけもって行けばいいので便利だった。
 大学になると、科目ごとの見出しを用意して、6年間というものノートは一冊のルーズリーフだけですませた。
 そんなふうにして、学生時代だけで十数年使い続けてきたのに、それでも私はうまく使いこなせない。
 リフィルをちゃんと保管できないのである。すぐにばらばらになって混沌とした状態のまま、袋や箱に突っ込んで放置するはめになって、結局はろくに活用もせずにゴミにしてしまう。

 でも最近になって、高めのバインダーを2冊も買ってしまった。A5とA4の。
マルマンのジウリスというシリーズで、見た目も持った感じのしっとりした感触もなかなか高級感があっていいのである。
 そしてなにより紙がいい。ルーズリーフの紙質ではもともと定評のあったマルマンが、自信を持って出してきた高級ラインということで、デザインも万年筆での書き味も抜群にいい(そのへんはリンク先の記事参照)。
 そんなことしてると、なんとコクヨが、CYO-BOペーパーのリフィルを出してきた。3年前の日記のとおり、ノートでは私が最も愛する書き味の紙である。
 しかもしかも、今度はLIFEが、ノーブルノートの紙でリフィルを出してきた。クリーム色のこれも万年筆用では最上級の紙質である。
 すばらしい! すばらし過ぎるぞ、ルーズリーフ! 一冊で3つの最上級の紙が楽しめるのである。万年筆を常用していて、これを使わずしてどうするのだ。

 ついでに、カールのゲージパンチも買った。これは職場においてあるのだが、これさえあれば常用する資料もあっという間にルーズリーフにできるのである。2穴パンチでいいじゃないかというのは早計である。開いたり綴じたりするときの安定感がぜんぜんちがう。穴も傷まないし。それと、ルーズリーフは穴の位置が紙の端に近いので、本文や図版に穴を開けてしまうことが少ないのである。
 そして、これを使えば、いろんな紙をリフィルにできるし。

 いやあ、いいよルーズリーフ。久しぶりに使うけれど、万年筆使いにとっては至福のノートの完成である。
 ただ、いまだに何のために使うノートなのかよくわからないのが玉に瑕かもしれない。
 「ほっといたらリフィルがばらばらになってゴミにしかならない」問題も解決してないし。

 こまけぇこたぁいいんだよ!(AA略)


2009年9月8日(火)

 私は基本的に近ごろのアニメは見ないのだが(いや、ホントだよ)、「咲-saki-」は少し気になっている。もう20話こえてるらしいので、今さらっちゃ今さら過ぎるけれども、電波ソング期待でEDやキャラソンを聞いて気に入ったので。
 そもそもウィキペディアの記事を見て、ものすごい量の萌え系声優陣に驚いた。まず、主人公が植田佳奈、ついで小清水、釘宮、白石、伊藤静、みのりん、清水愛、ほっちゃん、森永、新谷、桑谷、斉藤桃子、ますみん、その他、えらいことになっている。これが全員パンチラ上等の女子高生なのだから、その筋の大きなお友だちが群がるのも無理はない。

 てなわけで、聴いてみた「熱烈歓迎わんだーらんど」や「四角い宇宙で待ってるよ」なんだけど、萌えキャラのユニゾンで合いの手満載、思わずにやける電波っぷりで、私の中では大好評でした。でも、合いの手の「ハイッ、ハイッ、ツーパイッ、ハイッ、タメンチャーン」とか、「タンピンサンシキすごーい!」とか、みなさんわかって歌ってらっしゃるんだろうか。まあ、やっぱり畑亜貴の天才もしくは同紙一重の才能には感心せざるを得ませんというのが結論なんですが。
 それと、キャラソン集の「THE 夢のヒットスクエア キャラソン対局編」では、茅原さんの高飛車お姉様キャラにびっくり。私の浅学の故かもしれないけれど、長門(ハルヒ)や千秋(みなみけ)、北条比奈(らぶドル)あたりしか知らない身にしてみれば、二ノ宮涼子さん(根谷美智子)ばりのお姉様ぶりに思わず萌えてしまいました。
 それはともかく、このアルバムはいいですよなかなか(どんな嗜好の人にとってかはともかく)。


2009年9月9日(水)

 私の世代ですら、すでに麻雀は男子学生に必須の嗜みではなくなっていたが、ひところ仲間内で雀荘に行くのが流行ったことがある。もちろん点数計算も怪しい初心者ばかりなので、一人や二人で行けるわけがない。四、五人で固まって行くのである。
 まず、みんなして夕方までサークルやゼミでうだうだと時間を潰す。そして誰かの車で、教養部のあった町まで出かけるのである。そういえば、当時は学生も車を使い放題だった。学内のどこにでも止められたし。
 なんといってもまずは大学近くの「王将」で腹ごしらえである。男子は、餃子2人前と炒飯もしくは天津飯、ならびに唐揚げもしくは酢豚、あるいは回鍋肉が定番であった。女子はもう少しおとなしかったか。夕食なので、他の定食屋に行くこともあったし、居酒屋へ行くこともあったけれど、やはり王将へ行くことが多かった(最近、東京でも王将がブームらしいが、なにを今さら。大阪人には笑止千万である)
 なので、最終目的は雀荘であるにもかかわらず、私たちはその集まりを「王将クラブ」と呼んでいた。

 そして雀荘である。いつも行く雀荘は駅近くの路地裏にあって、若い女の子が手伝っていることもあったが、たいてい中年のおばさんが一人で店番をしていた。5卓ほどしかない小さな店で、全部の卓が埋まることはついぞなかったように思う。いつも空いてたし、客層もおとなしい静かな店だった。
 そして、私たちは全自動卓を囲んで、「ほな、5人やから2抜けで。いつもどおりイチニーヨントの3万返し、アリアリで」などと一人前の口上でゲームをはじめたのであった。でも、レートは初心者のお遊びなので点5のみ、余計なウマもワレメもヤキトリもなし。かわいいものである。
 面白いのはまわりのお客さんである。風体から近所の商店主と見えるおじさんが多かったが、雀荘に来る女子大生はさすがに珍しいのか、自分の手などそっちのけで後ろからのぞきこんで口を出す口を出す。
 「あー、ねえちゃん、それは置いとかな。つぎ、これかこれ来たら、これもあるから手が広なるやろ」とか、「向かいの兄ちゃん見てみ、サンピンのあと東、中、ときてリャンゾ、ローピンとほってるやろ、あんなんスーチーピンが一番危ないねん」とか、コーチ気取りでセオリーから説明してくれる。和ったりすれば、点数まで計算してくれたものである。「お、ねえちゃん、出たで、ロンやロン。メンタンドラ1、あー、裏はないか、ゴンニやな」てな調子である。それで、仲間のおっさんから早くしろと叱られるのである。
 たいてい半荘3回ぐらいでお開きになるのだが、男ばかりだとか女子がいても近所の下宿生だとかだと徹マンになったりした。そのときは、11時過ぎになると、おばさんが場代を集めて、私たちに鍵を預けて帰ってしまうのである。風営法の関係でもあったのだろう、「夜中に警察が来ても開けたらあかんでぇ」とか言いながら。鍵は朝方帰るときに、ドアを施錠してから郵便受けに放り込んでおけばよかった。

 ああ、昨日の「咲-saki-」つながりで懐かしい話を思い出してしまった。
 あの徹マン明けの白々とした早朝の空気、ガードレールにもたれながら「モーニングどこにするぅ」などと言っていた、眠いようなだるいような足が地につかないあの感じ、おまけにその日一日なんの用事も予定もないたよりないほどの自由。
 もうあの感覚を経験することはないんだろうな、と思うとちょっとさびしいような気がする。


2009年9月10日(木)

 近ごろ世に「草食系男子」や「スイーツ男子」などが増えつつあって、由々しき事態である、みたいな言説を目にすることが多いのだけれど。こないだも、たけしと所ジョージをメインに据えて、「伝統的日本男児の危機!」みたいな番組をやってたけれど(メインの二人とテーマが絶望的にミスマッチだった)。
 でもさ、筋骨隆々の腕自慢、黙って俺について来い的「日本男児」なんて、伝統的どころかせいぜい昭和に入ってこっちのもんでしょう。さかのぼってもせいぜい明治の尻くらい。薩長の田舎侍の名残ってやつかもしれない。
 江戸時代なんて、そりゃ源頼光だの坂田金時だのの豪傑譚くらいはあったろうけど、元禄期の近松西鶴以来、基本は上方ぶりの優男だったわけで。黄表紙の時代に下っても、吉原やら食いもんやら着物の縞のピッチやら髷の細さなどにかまけてりゃそれでよかったわけだし。
 大江戸防衛軍のはずの旗本連中にしたところで、形だけはヤットウも習うけれど、大小なんて細い方が粋てなていたらく。幕臣でも槍の三舟あたりはむしろ変わり者扱いだったに違いない。寺田宗有や白井亨、千葉周作らの幕末の剣豪にしても。まあ、ちょっと前の暴走族やヤンキーみたいに、暴力自慢の愚連隊とワナビー連中のようなのはいたけど、それが「日本男児」と持ち上げられることはなかったはずだ。
 なんにせよ「伝統的な日本男児」みたいなことを言いたいのなら、「チャラ男」こそが伝統だと思う。マジな話、元祖チャラ男の光源氏以来、一部の戦国武将を除いて、軟弱上等の公家っぷりが伝統っちゃ伝統だろう(いかつい武将連中にしても、義仲はじめ、どんだけ「京都」コンプレックスがあったことか)。
 なので、今の草食系とか甘い物好きとか自分で弁当作るとかの男子諸君、それはただの先祖返りちゅうか、それこそ日本男児らしいんだからもっと自信持っていいと思うよ。


2009年9月11日(金)

▼今もそうなんだけど、だいたいこの日記は深夜にほろ酔いで書いてるので文章が雑になる。昨日の日記にしても書きたいことはわからないでもないけれど、挙げる例の時代や階層が入り混じって無茶苦茶なことになっている。小論文なら落第である、くらいは自覚しているので細かいところは突っ込まないでください(弱気)。

▼私にしては極めて珍しい話なのだが、先週始めたウォーキングが三日坊主で終わらずにまだ続いている。手首に巻いたウエイトによる上腕の筋肉痛も収まってきた。もちろんまだまだ体重も体脂肪率も何ら変化はないけれど。ということで、せめて今年いっぱいは続けてみたいと思う。まあ、その先はわからないけど(やめる気満々)。

▼靴の中敷きって、脂足の人とか臭いのきつい人のためのものだと思っていたので何の関心もなかったのだけど、こないだ靴の中のタグがはがれかけてきてどうしようもなく気持ち悪いことになったことがあって、道端の靴屋で中敷きを買ってみたら、これがまああんた気持ちいいのなんの。足裏のフィット感は2割増し、それよりなにより靴のしっくり感が10割アップだよ。私みたいに安物の革靴はいてる人にはとくにおすすめ。ほっとけ。

▼やっぱり大人になるとクロスやティファニーのこじゃれたボールペンを使うこともある。でもちょっと線が太いし書き味も、と思っていたところ、三菱にクロス互換のリフィル(SK-8)があることを発見。ティファニーやジバンシィなんかのデザイナーズ系の細身のボールペンはクロスのリフィルを使ってることが多いんだけど、SK-8なら値段は半額以下だし、細字で書きやすいし、これもおすすめ。

▼といいつつ、私の仕事用のボールペンは、カランダッシュのエクリドール(マヤ)。少し短いけどしっくり手におさまる六角軸で、ジェットストリームが出るまでは世界一といわれていた書き味の「ゴリアテ」という純正リフィルが入っていた。
 入っていたと過去形で書いたのは、BPリフィルをデュポンのデフィのものに換えたから。これは「Easy Flow」と名付けられた最近開発されたリフィルで、油性ボールペンのくせに筆圧不要ですべるように書ける。ローラーボールかと思うくらい。滑らか過ぎてゴリアテのほうがいいという人も多いし、1本900円とかの人をなめた値段だけど、試してみる価値はあると思う。
 また、これはいわゆるパーカー互換サイズで、カランダッシュのリフィルより数ミリ長いのだが、エクリドールに入れてみたところなんの問題も不自然さもなく使えている。パーカーはもちろんのことペリカンやロットリングをはじめ、パーカー互換のリフィルを使うボールペンは多いので(国産ならOHTOや無印にもある)、興味のある人限定でオススメしておく。


2009年9月12日(土)

 一昨日の日記の傍証ってわけでもないんだけど、幕末~明治の庶民の日常っていったら古典落語だと思うのでそこからひとつ。
 上方落語の古典の一つに「色事根問」というのがある。ちなみに、「根問(ねどい)もの」というのは、喜六と清八や喜六と甚兵衛はんなど、2人の会話で進む噺一般を指す。ほかに、「浮世根問」「商売根問」「絵根問」などがある。登場人物が二人だけで、そこそこ笑いのとれるものが多いので、初心者はまずこれらから勉強するらしい。
 閑話休題。
 さて「色事根問」であるが、早い話、町内のニートが物知りのご隠居にもてる方法を聞きに行くというだけのものである。私はこれ単独で聞くより、「稽古屋」の前半部として聞くことのほうが多い気がする(「稽古屋」の本編は、婀娜なお師匠さんが出てきたり、鳴り物の入る踊りの場面があったりする上方落語らしい噺で、故桂文枝の十八番だった)。
 その中で、ご隠居は「昔の人の言葉」として、もてる要素を列挙する。

「一見栄、二男、三金、四芸、五精、六おぼこ、七科白、八力、九肝、十評判」
(いちみえ、におとこ、さんかね、しげい、ごせい、ろくおぼこ、しちぜりふ、やぢから、きゅうきも、とひょうばん)

 これは語呂がいいので覚えやすい。現代でも通じるので、モテ談義の小ネタにちょうどいい。
 で、各段の説明であるが、まあこれはほとんど説明不要だろう。でもとりあえず一応、ということで。

「見栄」は身なり。ファッションである。まずこれが第一に来るところに、当時の庶民文化の爛熟を感じる。
「男」は、いうまでもなく男前。昔からイケメンはモテるのである。
「金」は、金である。今も昔も金持ちは鉄板。とくに「モテる=プロに好かれる」の時代にあっては。
「芸」は、芸事。唄に三味線に踊りである。アーティストがモテるのと同じというより、粋な趣味が受けるってやつである。
「精」は、「精を出す」の精。真面目によく働くこと。昔はやはり、真面目で独身だとまわりがほっとかないってところかな。
「おぼこ」は、漢字なら「未通娘」だけど、転じて「世間ずれしていない、かわいらしい」の意。
「科白」は、弁が立つこと。落語では、喧嘩の仲裁ができることが挙げられているが、現代でもとっさの対応や気持ちのいいトークのできる人間はそりゃモテるだろう。
「力」は、当然力持ちである。ここで初めてマッチョが出てくる。噺の中では相撲取りが例示される。
「肝」は、肝っ玉が据わっていること。度胸である。噺では、肝だめしでも平気だとか、なんかのどかな例が出されている。
「評判」は、そのまま評判。現代でも、上にあげた条件をとくに持ってるとも見えないのに、妙に評判がよくて人気のある奴がいるね。

 この順序と例示を見て(聞いて、か)思うのは、マッチョでいかついキャラより、昔から「粋でしゃれてる」方がモテるんだなあってこと。
 今で言う草食系とはちょっとちがうけれども、やっぱりこのランキングの方が文化的に洗練されている気がする(そうかあ、だから田舎になるほどヤンキーが多いんだあ、とか言うと怒られそうなのでそれは内緒)。


2009年9月13日(日)

 ウォーキングの真似事をはじめたものの、夜の田舎道をだまっててくてく歩くだけというのは、やっぱりこう手持ち無沙汰っていうか退屈っていうか。
 なので、音楽を聴きながら歩くことにしました。
 しかしここでちょっとした問題が。というのも、普段使っているイヤホンはオーディオテクニカのATH-CK10、典型的なカナル型です。なので、音楽を鳴らしているとまわりの音がさっぱり聞こえないし(これはちょっとこわい)、自分の足音が少々響いてうるさいのです。CK10はタッチノイズ(コードと服のこすれる音や風切り音)のほとんどない優秀な機種なのですが、それでもこれは静かな道を歩くには気になるレベルです。
 ほかに手持ちのオーバーヘッドは同じくオーテクのA900があるけど重いし、生産終了したらしいAKGのK24Pならいい感じだけどまだちょっと暑そうだし、と思っていたところで思い出したのがSONYのEX90-SLです。引出しの奥から引っぱり出してみました。
 これが大正解。EX90は形こそカナル型をしていますが、2chでは音漏れでさんざんけなされたことからもわかるように、半開放型の構造をしています。おかげで、音の抜けが抜群によくて中高音の広がりが気持ちいい反面、音漏れと遮音性が犠牲になっています。でも、遮音性がよくないということは外の音が聞こえるということなので、ウォーキング時の利用にはもってこいです。同じく、半開放型ということで、タッチノイズはおろかステップノイズもまったく拾いません。音漏れ云々はこの場合関係ないし。コードが短いので胸ポケのあるTシャツだとものすごく取り回しも楽だし。肝心の音質ももともとハイレベルだし、そりゃもうこんだけのメリットがあるなら文句なし。
 でもこれもすでに生産終了したらしいですね。ふんとにもう、大切に使わないとですよ。


2009年9月14日(月)

▼見てきた! めっちゃでかかった! かわいかった! これこれ!→ 痛いニュース(ノ∀`):「ありえないほどでかいアヒルが大阪に出現」

▼永ちゃんより松来さんと誕生日が同じであることを喜んでしまう俺に死角はなかった。
 でも、「帰りにお誕生日のケーキ買ってきて」って、それは本人に出すべきメールなのか?


2009年9月15日(火)

 もちろんこれは想像なんだけど、スキーマニアにスキーの楽しさについて聞いたらこんな風に答えるかもしれない。
 「本当に楽しいですよ。雄大な景色の、空気の澄んだ雪山を滑り降りる爽快さといったら、何ものにも換えられません。そして、気の合う仲間や恋人といっしょなら、競いあったり笑いあったり、アフタースキーの温泉や食事も含めて、本当に楽しい時間が過ごせると思います。ぶっちゃけた話、ぼくに言わせれば、スキーをやったことない人って人生の楽しみの何割か損してるんじゃないでしょうかね」
 ゴルフマニアだってきっと同じことを言うだろう。あれも自然の中で気持ちいいし、練習と向上の繰り返しはものすごくハマるし、仲間でワイワイやるのはそれはそれで本当に楽しい。
 テニスマニアも、サイクリングマニアも、草野球マニアも同じことを言うだろう。もちろんスポーツに限らず、将棋マニアだって、鉄道模型マニアだって、ゲームマニアだって同じことを言うはずだ。
 「本当に楽しいですよ。この楽しみを知らない人って、きっと人生の楽しみの何割かを損してますよ。どうぞやってごらんなさい」と。
 そして、そんな言葉を私たちは微笑んで聞く。「楽しいんでしょうねえ、いいですねえそんなご趣味があって。ま、私もいつか機会があれば、手ほどきしてくださいよ」ていどの相槌なら打つのにやぶさかではない。いちいち大きなお世話だとか腹を立てたりしない。

 しかしながら、本人がいくら楽しかろうと同じことを言ってはいけないジャンルが2つある。
 「仕事」? 「親の介護」? ちがうちがう、それではただの変人どまりである。
 たぶんお気づきだろうが、「結婚」と「子育て」である。この二つに限っては、「人生の楽しみの何割かを損してますよ」なんて言おうものなら、どんな目に合うかわからない。相手の性別年齢によらず、もちろんセクハラ確定である。
 なんでだろうなあ。本当に面白いんだけどなあ。どうしてこれらだけ、「面白いからいっぺんやってみ」って言っちゃいけないんだろう。まあ、失敗したときのダメージは、スポーツの怪我の比じゃないけど。社会的な規範のあれこれが言葉の裏にくっついてる(ように聞こえる)からだろうとは思うけれど。


2009年9月16日(水)

 一部に熱狂的なファンを持つ釘宮理恵さんですが、私にはどうもツンデレ属性が欠落しているらしく、三千院ナギ(「ハヤテのごとく!」)にしても、ルイズ(「ゼロの使い魔」)にしても、いまひとつピンときませんでした。どちらも1、2回見ただけですが(あ、でもこのCDはとてもよかったですよ)。
 そして、釘宮さんは「THE IDOLM@STER」においても、「水瀬伊織」というアイドルの一人を演じています。これも見事な高飛車ツンデレキャラで、キャラソン集とかではよく耳にするのですが、私の中ではアイドルランクもそう高くはありませんでした。

 ところで、アイドルマスター関連では、じつに無数ともいえるほどのCDが出ています。私もそんなに聴いているほうではありませんが、近所のツタヤではなぜか大量に並んでいるので、今度の「THE IDOLM@STER MASTER SPECIAL 06」も借りてみました。
 これは、その水瀬伊織と星井美希(cv.長谷川明子)という二人のアイドルによるトーク入りのアルバムというテイなんですが、はじめて釘宮さん(この場合は水瀬伊織か)をかわいいと思いました。収録されている歌も女の子らしくていいんですが、トークで天然攻めの星井さんに圧倒されてあたふたするところとかがとても。

 まあ、世間一般の人々には、ほんっとにどうでもいい話なんですが(ていうか、私にとってもどうでもいい)、なるほど「釘宮病」もさもありなんと気づくことができたということで記念に書いてみました。

 ああ、うちのあずさが菊地真(cv.平田宏美)と組んだCD、「THE IDOLM@STER MASTER SPECIAL 05」はもちろん購入しましたよ。とくに、あずささんに関しては新曲ももちろんいいんですが、「shiny smile (REM@STER-A)」冒頭の「いやぁ~ん」だけでご飯3杯は軽いです。


2009年9月17日(木)

プラチナのカーボンインクというものがある。くわしい性質はリンク先を参照していただくとして、やはり、「固着させるとペンが死ぬ」というリスクは常用をためらうのに十分である。
 ところが、「趣味の文具箱 vol.11」に気になる記事があった。「万年筆インクの粘度とpH測定」という記事である。これを見ると、プラチナカーボンの粘度がずば抜けて高い。「AV」(音響粘度)という単位の意味はよくわからないのだが、一般的な染料インクの数値が「5.5~7.5」あたりに収まっているのに、ひとりプラチナカーボンだけが「11.48」という数字をたたき出している。「世界一滑らか!」という噂が裏付けられた格好である。
 これはやはり試さないとなるまいというわけで、カーボンインクのカートリッジとプラチナのプレピー万年筆(の中字。キャップトップに「0.5」って書いてあるやつ)を買ってきた。
 ちょっと話はそれるけど、このプレピーはほんとにいい。1本210円という価格ではあるが、本格的な万年筆になっている。もちろん鉄ペンで固いし、ボールペンユーザーにも違和感のないように、立てて書いてちょうどいいようなペン先の研ぎ方になってるけれど、プラチナの普通のカートリッジインクやコンバーターが使えるというのは、たとえばパイロットのペチットワンなどにはないアドバンテージである。
 というわけで、プレピーの中字を、寝かせて書けるように耐水ペーパーとラッピングフィルムで少しだけ研ぎなおして、スリットを広げてフローを確保した(これが8月27日の日記で書いた、「少し手をかけてやれば」の内容)。
 で、プラチナカーボンのカートリッジを使ったら、いやもうどんだけヌルヌル。ものすごくいい感じ。これかー! これがプラチナカーボンかー!

 そうなると、本格的な太字で使いたくなるのが人情というものである。しかしながら、高価なペンで使うのはこわいのでいろいろ探すのだが、舶来のB以上、国産の極太以上となると、なかなか安いペンでは見あたらない。サファリとかのBは並行輸入しかないし。
 そんなこんなであちこち見て回って見つけたのが、セーラーのヤングプロフィットのズーム。5千円なら万一オシャカになっても我慢できる値段である。早速コンバーターと、カーボンのボトルインクも買って使うことにした。
 インク自体のフローはいいし、ものすごくヌルヌル滑らかだし、もうほんと、最近太字はこればかり使っている。極楽のような書き味である。
 なので、だんだんと高価な金ペン(たとえばM800)に入れたくなってきているのだが、そこはちょっと必死に自制中。

 ただ、プラチナカーボンは、セーラーの極黒と正反対で、にじみと裏抜けのパワーが最強なのである。粘度のせいかもしれないが(じゃなくてこれは表面張力か)、それだけはちょっと残念である。


2009年9月18日(金)

 地下鉄でふた駅くらいなら歩くことは苦にならない。時間がある時だと、梅田から難波まで、通りの店を冷やかしながらのんびり歩いちゃったりもする。
 また、空腹にも比較的強い方である。胃腸は健康な方なので、お昼前とか夕方とかには本当にお腹がすくのだけれど、なにかを口に入れて空腹を紛らわそうとかはめったに思わない。
 そんなときに必ず頭の中に浮かぶのが、「晩食をもって肉に当て 安歩をもって車に当つ」という言葉である。
 「戦国策」にある言葉なのだが(斉の宣王が顔ショクという隠者にコケにされる話。以下、「無罪以当貴、清浄貞正以自虞」と続く)、故事来歴はともかく読んでの通り、「遅い時間の食事にすると(お腹をすかせるとなんでもおいしいので)、肉でも食った気になれるし、ゆっくり歩いたら、車に乗ったくらいの楽ちんでいけるよ」ってことである。
 この科白は、清貧だとかの言葉を引き合いに出して、なんだか貧乏の負け惜しみみたいな使われ方をすることが多いけれど、私は懐中の金の多寡ではなくて、この言葉に感じる気持ちのゆとりのような雰囲気が好きだ。
 とりあえずダイエット中の方には、気を紛らわせる役に立つような感じがなくもないので、よろしければ参考にどうぞ。


2009年9月19(土)

「とてもかわいかった女子大生の話」 第1回

 この夏、もちろん仕事の上での話なのだが、何人かの女子大生と親しく話す機会があった。
 そのうちの一人で――関西の有名私大の4年生で――、ずば抜けてかわいい娘がいた。小柄でさらさらのロングヘア、ミニスカートにニーソックスが嫌味なくよく似合う、ゴテゴテしたマスカラを落とした夏川純のような感じの女の子である。
 もちろん大変真面目で礼儀正しく、よく話を聞くと、大学では発達心理学を勉強していて、来春から国立大学の大学院に進むらしい。感心したのは、今も地域の小学校の特別支援学級(いわゆる養護学級)にボランティアで関わっていて、将来も特別支援学校の先生か障害児の支援施設で働きたいということだった。
 そこまでだと、ただの「かわいくて、真面目で、立派な夢のある女子大生」の話で終わってしまう。しかし、彼女がある日、私の職場のパソコンのデスクトップ――ハルヒや長門のアイコンがある。スクリーンセーバーはエヴァやけいおん!の壁紙が切り替わる。それでいいのか46歳――を見て、wktk丸出しの表情でこう言った。

「アニメとかごらんになるんですか?」

(この項続く。次回はWエンジン的なネタになる予定だが、今日はここまで。眠いので)


2009年9月20日(日)

「とてもかわいかった女子大生の話」 第2回

「アニメとかごらんになるんですか?」

 これはアタリが来たといっていいのか? それともハリスに背びれが触れただけか?
 どう見てもルックスは非オタ・リア充のそれである。下手に読みを誤って迂闊な言葉を口走ろうものなら、「なにこのおっさんきめぇ」で一刀両断、職場の真ん中で悶死するはめになる。今後の社会人生活を全うするためにも、それだけはなんとしても避けなければならない。(その前の誤解を解いておくが、私のスクリーンセーバーは、ネットで集めた「かっこいい画像」を中心に300枚くらいぐるぐる回るようになっている。アニメ関係もデザイン優先のやつで、1割もないのでギリセーフだと思う)。
 とりあえずここは慎重に対応するにしくはない。
「実際のとこ、見るほうはぜんぜんやねんけど。アニメ見るの?」
 逆にカマをかけてみた。すると彼女はちょっと照れた感じで微笑んで、
「んーと、見ますねえ。けいおん!とかハルヒとかも」
 ええー。きたきたきたきたんじゃないのこれ。ブリーチとかガンダムじゃなくて、最初にあげるのが深夜の萌えアニメて。
 こりゃ十分アタリが来てるだろう。てことでちょっと踏み込んでみた。
「え、そんなん見るんや。おれもハルヒは1期の流れで見てるけど、けいおん!は一回見てあきらめたなあ。こんなんおっさんの見るもんちゃうわ、と思て」
「大丈夫ですよぜんぜん」
 なにが大丈夫なのかよくわからないが、にっこり笑ってフォローしてくれた。※

(今日はここまで。いつもは深夜に更新するところ、昼間の更新になったのは、これから子どもたちを連れて泊りがけで実家に帰るから。ちなみに、「※」は、心の中で「ほれてまうやろー」と叫んだタイミング。)


2009年9月21日(月)

「とてもかわいかった女子大生の話」 第3回

(よく考えたら、この話べつにオチとかないのに、なんでこんなに引っ張ってるんだろう。小説のノリで書くのは楽しいけど。)

 ま、フォローしてくれたとはいえ、彼女が私のなにを知っているわけではない。私も彼女の趣味を知るわけではない。ここはやはり、両手のひらを合わせてにっこり微笑んでいる目の前の女の子が無駄にかわいいことを喜んでおくだけにすべきである。彼女もおそらくは、最近増えつつある「アニメや萌え趣味にアレルギーのない、たんにかわいいもの好きの女子」のひとりなのだろう。中年社会人の威厳を維持するためにもそう見ておくほうが、そしてこの地点で引き返すほうが無難である。
 そんなことは百も承知二百も合点であるにもかかわらず、にもかかわらず、私は前へ出ようとしていた。この池に張った氷はどのへんまでなら大丈夫なのだろうと、岸辺からそろりそろりと踏み出す子どもの心境である。割れた瞬間にはすでに手遅れなのに。無傷で引き返すなんて無理なのに。

 私は窓の外を指差した。
「あっちのビル、地下にゲーマーズあるの知ってる?」
 われながら肉弾三勇士みたいな攻撃である。彼女が知らなければセーフ、知ってれば「ええ年してあんなとこ出入りしてんのかー」とドン引きされて玉砕である。どっちにせよ、私の得になることは何ひとつない。
 すると、あにはからんや、彼女はほほ染めてこっくりうなずいたではないか。
「ええ、よく行くんですよ。昨日も予約してたねんどろいどを買いに……」
 ええー、カミングアウトキター! ていうかなにそのはにかんだ表情!※
 でもなんで、ここまでの会話で「ねんどろいど」なんて単語が出てきたのだろう。ひょっとして向こうも瀬踏みのつもりがあったのかもしれない。しかし、私でさえゲーマーズで予約してなにかを買ったことなんてないのに(ホントだよ)、萌えキャラのフィギュアを予約購入て。こりゃもうガチだ。
 こうなったらもう遠慮する必要はない。私は一気に突撃することにした。多少口を滑らせても引かれることはあるまい。
「ね、ねんどろいどて。そんなん買うの? で、だれのフィギュア?」
 彼女はふとためらう様子を見せた。ねんどろいどという単語が通じたことの驚きと、この質問に答えてわかるのだろうかという迷いが見て取れた。
「えと、千秋です。『みなみけ』の」
 私は破顔した。
「ああ、千秋かー、みのりんのやってた。面白かったよね」
 彼女もほっとしたように笑った。
「はい、みのりんの」※
 彼女の方も遠慮がなくなってきた。
「でも、『おかえり』になってから見てないんです。制作が変わったし」
 この小娘はなんでそんな話に私がついていけると思うのか。
 このとき横にもう一人、これはノンケの同僚がいたのだが、置き去りにされつつあるのがわかったのかだんだんと目が点になってきていた。
「『咲-saki-』とかは?」
 これは自分も知らないので、単に聞いてみたかった(もう半可通の雑談モードである)。
「うーんと、ルールがわからないんですけど、見てますねえ」
「ものすごいメンバーだよね、声優が」
「ですよねえ、釘宮理恵なんて今期どれだけ出てるんだみたいな感じで」
 あれー、押されてるよ俺。「今期」なんて言葉、普通に使う人間に出会うの久しぶりだよ。そもそも釘宮が今期なにに出てるのか知らないよ。
「だよねえ。『銀魂』はともかく、シャナやルイズでドーンときたもんなあ」
 とりあえず押し返したものの、私の付け焼刃ではもちそうにない手ごたえを感じていた。スカウターの数字がどんどん上がっていく。こいつの戦闘力はどこまでいくんだ?
 ていうかさ、読者モデルみたいなルックスで、国立の大学院で心理学勉強するって娘が、ガチオタってなんかまちがってる気がするぞ。

(この話まだ続く。たぶん次回の「ごめんなさい。私が悪かったでござるの巻」で最終回。)


2009年9月22日(火)

「とてもかわいかった女子大生の話」 第4回

(もうすでに日記でもなんでもないし。読まされるほうもいい迷惑だろうけど、もう少しお付き合いを。)

 こうなってくるともう、腹の探りあいなどしている場合ではない。彼女のオタクっぷりはどれくらいなんだろうと、そっちの方に興味が移ってきた。18禁のネタにさえ抵触しなければ、たいていの話に反応してくれるにちがいない。
「ほんで、アニメやけど、テニプリやハガレンは見るほう?」
 ちょっと仕込んでみた質問だが、即座に打てば響く答えが返ってきた。
「うーん、あんまり。『フ』の方へは行かないようにしてるんで」
 「フ」? 「フ」て? あー、「腐」か!
「そうか、それは健全でよかった。いきなり『攻め』とか『受け』とかの話されたらどうしょうかと思ててん」
 そこで互いに顔を見合わせて笑った。※

 そのあと、ハルヒの「エンドレスエイト」の話題で盛り上がったりした(すでにまわりの人間は完全に置き去りである)。ほかに梅田の「まんだらけ」の話とか(彼女は日本橋がテリトリーなので行ったことがないらしい。それはあかんで、といちおう注意しておいた)。
 私が心おきなくそんな話ができる相手に出会ったのは、大学のSF研時代以来二十余年ぶりでものすごく楽しかったのだが、向こうはどうだったんだろう。引きもせずたじろぎもせず、よくこんなおっさんに話を合わせてくれたものである。
 で、雑談ついでに聞いてみた。
「コスプレとかはせえへんの?」
 もちろん、「まさかー」とか「好きな人いますよねえ」とか、そういう会話の展開を期待していたのだが。彼女の頬に急に朱がさした。
「コスですか?」
 表情が引き締まった。「コス」という略し方がすでに素人ではないことを告白していることにも気がついてないらしい。
「うーんと、しますねー。します」
 真っ赤になっている。ええー、ほんまかいなー。さすがにそこまでは予想してなかったので、私の方がうろたえた。
「いや、あの、そんなん、べつにぜんぜんしてくれてかめへんねんけど、ていうかすごいなあ。ほんまもんやな、きみ」
 彼女は真っ赤になった頬を両手でおさえた。
「ああん、言ってしまいましたー」
 次に左手で胸元を押さえて、右手でパタパタと自分の顔をあおいだ。
「なんか恥ずかしいですぅ。ふう」※※※

 その様子には萌え死にました。即死でした。

 さあここでこっちがドン引きしては、せっかく打ち明けてくれた彼女を傷つけることになる。私は急いでザオリクを唱えて、質問を重ねた。
「んじゃ、今までの一番の自信作は?」
「コスですか……うーんと、ルイズ、ですね」
「くぎゅかー。似合いそうやなあ。まあでも、ピンクのウィッグとマントを取ったら町を歩いて歩けんこともないか、あれは」
 彼女はうなずいた。頬の赤味も戻っている。落ち着いてきたらしい。
「今は、『星間』のランカを作ってます」
 セイカン? ランカ? 私は一瞬目を泳がせて、思い当たった。あ、あーね。
「マイク持って、キラッ、とかやるんや」
 彼女は笑って小さくランカ・リーの手つきをしてくれた。※
 ていうか、いつの間にかこっちが圧倒されている。そこはせめて「マクロス」、百歩譲って「星間飛行」って言ってくれないと。
 このへんで白旗かなあと、私はいわくいいがたい敗北感にとらわれていた。こっちの趣味を隠すとかいう以前に、スカウターが吹っ飛ぶほどの戦闘力を見せつけられてしまった。こっちも仕切りなおしてオタ話を続けてもよかったが、それでは職場の雑談の域を超えてしまう。

 とりあえず、話題をがらりと変えることにした。大学の話に心理学の話である。これなら私もそっち系の学部出身なので、話が合うのも不自然ではない。
 ひとしきり学生生活に話が及んだあと、バイトの話になった。
「で、アルバイトは何かしてる? 塾とか?」
 彼女は微笑んでうなずいた。
「今はしてないんですけど、最近まで日本橋のメイド喫茶で」

 ちゅどーん!
 ええー、こんな娘がメイド服で、「お帰りなさいませ、ご主人さま」とか言うてたんかー!※※※
 (だからこんなおっさんにもうまく話を合わせてくれたのかな。)

 そのあとはちょっともうなに話したのかまったく覚えてません。完全に萌え死んでました。
 で結局、彼女と話すのもその日が最後になりました。
 連絡先ぐらい聞いとけばよかったなあ。

(というところで、このお話はこれでおしまい。お粗末さまでした。)


2009年9月23日(水)

▼秋の連休も今日で最終。明日から仕事。考えるだけで凹む。二日行けばまた土日なんだけど、休日出勤もあるし。月曜までに家でまとめないといけない仕事もあるし。と、「サザエさん症候群」を思わせる陰気な書き出しで始めてみましたが、それどころではない危険な事態が家庭内で! なんと今の日本で(以下内緒)。

▼昨日の「キングオブコント2009」ですが、昨年の――そう感じたのは私だけかもしれませんが――なんともいえないもやもやとした印象を残した結果とはちがって、そこそこ順当な結果だったんじゃないでしょうか。私は、有無を言わせぬ実力で関西勢を押さえてアンタッチャブルが優勝した2004年のM-1グランプリを思い出しました。
 個人的には一番好きだったジャルジャルが、ものすごいネタの練りこみを感じさせながらも空気をつかみきれなかったのが残念だったかなと思います。いつもはもっと笑えるのに、みたいな。
 本当に笑ったのは、ロッチの1本目とモンスターエンジンの2本目かな。緻密なネタといい、絶妙の間といい、この2組の引き出しの数には感心します。
 インパルスは別格の印象。なにをやっても板倉ワールドになるし、あのシュールさはなにものにも代えがたいですね。
 サンドウィッチマンも笑わせてもらったけど、あれは漫才でよかったのでは、みたいな印象でした。
 あと、採点方法ですが、東京03が人力舎であることを考えあわせると、芸人間で何らかの力学が働いたとも思えないので、公正だったんだろうなと思います。ダウンタウンもそこはものすごくナーバスになってたような印象を受けたましたし。なのに、最後の953点ってなんだったんでしょうね。それまでは平均8点少々の得点を入れていた芸人たちが、あのときだけ最低でも53人が満点の10点をつけたことになります。思うに、あれって裏方で853と953を入力を間違えたんじゃないでしょうか。さすがにそれは下種の勘繰りですけど。

▼このページの上の方、9月2日の日記で「ほぼ日手帳カズン」の本体だけ買った話を書いたけど、本体だけだとあれなのでやっぱりカバーがほしくなった。とはいえ、ナイロンカバーは安っぽいし、純正の革カバーは一万円近くする。ロフトで実物を見たけれど、ナイロンも革も純正のわりに無駄に大きくてぶかぶかしてるし、遠目にも「あ、ほぼ日持ってる」と丸わかりのあのバタフライストッパーはやっぱり気に入らない。
 そこで入るかどうかはバクチだったけど、ユナイテッド・ビーズの革カバーを買ってみた。すると、これがピッチピチのパッツンパッツンでぴったり入るではあーりませんか。特別にあつらえてもこうはキツキツにならないだろうという感じで、微妙に短い感もあるものの(1mm2mmの話なので使ううちに革も伸びてくるだろう)、ほんとにぴったりなのである。ちょっと値は張ったがいい買い物をしたと思う。
 だからといって、来年の手帳がこれになるかどうかはいまだ微妙なんだけど。どないやねん。


2009年9月24日(木)

 「笑っていいとも!」における「百分の1アンケート」について考える(そうだよ、連休中はテレビばっかり見てたんだよ)。
 いわゆる「いくらなんでも『1』出すぎなんじゃないの」問題である。以下長文注意。

 さて、あらかじめ与えられている条件は3つ。

(1) 客は全員正直であること(事前に徹底されるのだろうが、あの異様な「そうですね」の反復を見ていると、これはそう困難でもないだろう)。
(2) スタッフは何人がイエスと答えたかを事前に知ることができる。そのうえで電光掲示板にいかような数字でも表示できる。
(3) 数字が操作されている可能性を客に気づかれてはならない。

 このゲームを始めた当初は非常に簡単だったはずである。
 「実際にイエスのボタンが押された数」(以下「イエス」と表記)が「0」の場合にも、ときおり「1」を表示すればよいのである。極端な質問をするゲストが多いので、「イエス」が「0」のときも多いと思われる。すなわちいくらでも「1」を出せる道理である。この場合、客は全員、「自分以外の誰かが押した」と考えるので、決してばれる気づかいはない(当然ながら、「イエス」が複数の場合は決して「1」を出せない。隣合った友人が押した場合などにすぐばれる)。
 この推測の裏付けになるのかどうか、このころは、ゲストが「だれですか?」と聞きかけるのを、タモリが何度か制止していたのが記憶に残っている。「誰が押したかは聞いちゃダメ。ダメってことになってんの!」のような感じで。

 しかしいつの頃からか、ときたま客に聞き返すようになった。「この1ってだれですかー」と。ひょっとすると、上のような疑念が広まってきたのかもしれない。すると、聞いたら聞いたで、ちゃんと一人の客が恥ずかしげに手を上げるのである。「1」の表示に対して誰もいないことはないし、複数の人間が手を上げることも決してない。
 それでも、「1」の出るペースは落ちるどころか、まったく変わらない。
 これは、サクラを1人仕込むことで簡単に解決できる。そのサクラに対して言い含めておけばよい。
 「お前は絶対にボタンを押すな。けれども、電光掲示板に『1』が出れば、それはお前だ」と。
 ところが、これでも一つの問題が生じる。サクラには「真の1」(本当に客の一人が押した場合)と「偽の1」(本来は「0」なのに、スタッフが「1」を出した場合)の区別ができないのである(他の客の手前、インカムをつけたり、スタッフが横から指示を出すわけにはいかない)。「真の1」なのにサクラまで反応すれば、「だれですかー」に対して2本の手が上がってしまう。
 この問題の解決には、「1」が出ても必ず客に聞くわけではないという事実がヒントになる。頻度が高いと思われる「偽の1」の場合にのみ、フロアADが「逆質OK」のカンペを出せばいいのである。大事をとるなら、「真の1」のときには「逆質NG」というのを出すようにする。すると、サクラは安心して「客への質問があれば、自分が手を上げる」という反応だけを覚えておけばよい。

 現実的にはこれだけで十分だと思われるが、番組の信頼性を守るためにはあらゆるリスクをヘッジしておかなければならない。
 まあそれでも、考えられるリスクはあと一つしかない。「約束事を知らないゲストが、カンペを無視して聞いてしまう」というリスクである。
 この場合、タモリの「聞いちゃダメ」は使えない。もうその時代は過ぎてしまったからである。
 このリスクに対しては、タモリ側に保険を掛けておけばよい。
 「真の1」の場合には、タモリにこう言ってもらうのである。
 「ええー、ホントにそんな奴いるんだねえ。じゃあ聞きましょう。○○で○○したことがある人って、このなかの誰? 手ぇ上げてみて」
 「偽の1」の場合にはこう。
 「じゃあ、聞いてみましょうか。○○で○○したことがある人って、このなかの誰? 手ぇ上げてみて」
 そして、サクラにはこう言っておく。
 「タモリさんが客に聞く前に、『ホントにそんな奴いるんだねえ』とつけたら、たとえ『1』でもお前は手を上げるな」
 実際のキーワードがどうなっているのか知らないが、タモリ側にキーワードを設定しておけば最後のリスクも簡単に回避できる。

 これらの手順は複雑なようだが、全員が全体の条件分岐を理解している必要はないので、整理してみればだれにとってもほとんど負担はない。
≪スタッフ≫
・「真の1」の場合、フロアADに「逆質NG」のカンペを指示する。
・「偽の1」の場合、フロアADに「逆質OK」のカンペを指示する。
≪サクラ≫
・(1が出たあと)客席に質問されたら、自分が手を上げる。
・ただし、タモリが「ホントにそんな奴いるんだねえ」と言いながら質問した場合は手を上げない。
≪タモリ≫
・(1が出たあと)「逆質OK」のカンペが出たら、客に聞いてもいい。ゲストが勝手に聞いてもいい。もちろん聞かなくてもいい。
・「逆質NG」のカンペが出てるにもかかわらず、ゲストが聞いてしまったら、「ホントにそんな奴いるんだねえ」と言いながら客に聞く。
 これだけのことである。
 まあ、上のような一連の手順の設定は、メンタル・マジックを少しでもかじったことのある人間なら誰でも思いつくと思う。

 なので、番組の名誉のためにもお断りしておきますが、「笑っていいとも!」のあのアンケートは絶対にガチだと思います。
 電光掲示板も、客の「イエス」が機械的に表示されているだけにちがいありません。
 ゲストのみなさんは素晴らしい推理と確率で、多くの客のうちの1人にしか該当しない質問をするのです。
 サクラなんているわけないじゃないですか。なにいってんすか。

 私は、「笑っていいとも!」を応援しています。<ちゆ12歳か。


2009年9月25日(金)

 そうそう、こないだ書くの忘れてたんだけど、ほぼ日カズン用に買った革カバーには、当然のことながらカードポケットやスピン(しおりひも)がない。
 フィット感と身軽さが第一なので、カードポケットはほしいと思わないが、スピンはやはりほしい。しおりだと落とすことがあるし、落とさないまでもそのページに書くときにじゃまになる。
 スピンばかりはさすがに代用になりそうなものがない。化繊でよいにせよ、細くて薄くて強いあの独特の風合いの紐は、リボンや凧糸で間に合わせるわけにも行かない。仕方ない、手芸屋でスピンに使えそうな紐を探すかと思っていたら、無印良品にありましたよ、「しおりシール 5本」ってのが。いやほんと、なんでもあるなあ無印。そんでこれが210円なのだから、無印マンセーである。
 ちなみにこれは「5本」となっているが、それぞれ2本ずつになってるので実質十本である。商品紹介ページでは、手帳のページに貼った写真があるが(これはないだろう)、カズンは背表紙の束が17mmほどもあるので、余裕で背に貼って、もともとついてたスピンのように扱える(ミドリのMDノートのような感じ)。

 革のカバーも、カズンを入れたまま本棚に押し込んでおいたらいい感じに伸びて絶妙にフィットしてきたし、そこへこのスピンをつけたらまさにもう本家をしのぐ完全無欠の高級感と使い勝手。
 でも10月に入ったら、やっぱりフランクリンのリフィルも買ってしまうと思う。バーティカルのスケジュールシートがあることを知った「超整理手帳」もまだまだ捨てがたいし(でも、超整理の「エレファント」だけは、そんなあほなーと思う)。綴じ手帳もひとつ買ってしまったし(うあ)。
 もういっそのこと全部持って歩こうか。手帳屋かおれは。


2009年9月26日(土)

 行ってきました、丸善なんばOCAT店の閉店セール。文房具が全店半額というのを掲示板で教えていただいたので、そりゃもうダッシュで。
 9月30日閉店ということで、売れ筋商品の棚の方はかなりさびしくなっていましたが、高級品はまだ結構残っているようでした。
 そのうちで私がほしいなあと思ったのは、万年筆でいうとペリカンのM320限定グリーンとパーカーのデュオフォールドなんですが、いくら半額とはいえ前者で倍満、後者なんて役満ですからなんともかんとも。
 ほかにも、ブレイリオのシステム手帳バインダー(もちろん本革)やツールナイフの類なんかも喉から手が出たのですが、当面使うあてもないのでそこは我慢しました(あー、でも2万とかするのが半額だもんなあ。今度ほしいと思ったときは定価だもんなあ。うーん)。
 ということで迷いに迷ったのですが、結局前からほしかったボールペンを1本と懐中電灯をひとつ買うだけにしました。
 ボールペンは、「USUS」というメーカーのプラスティック製のシンプルなやつ。これ、写真では伝わりにくいんですが、シャープで涼しげなデザインが最高なのです。本体の長さ太さとカーブのバランスが絶妙で。手に持った感じの収まり具合も抜群だし、ペン先を出し入れするときのカチッカチッという操作感も気持ちいいです。それでもちろんリフィルはパーカー互換。色も素材もいろいろあるし、ちょっとしたプレゼントにいいですよ。
 懐中電灯(フラッシュライト)は、念願の「SUREFIRE」から「E2 Exective」。丸善はシュアファイアの取り扱いから撤退したと思ってたのですが、在庫が残っていたようです。なので、リンク先は売ってたやつの後継モデルです。買ったのは全長120mmなので少し大きいのですが、MN03というキセノンバルブ、60ルーメンで連続点灯75分と説明書にあるので、スペック的には変わりないようです(スイッチまわりがちがうのかな)。ホームセンターで売ってる懐中電灯とは値段がひと桁ちがいますが、バルブの性能と各国の警察が「護身用に」採用しているという信頼性の高さを誇っています。もちろん上には上があるのですが、60ルーメンはとにかくものすごく明るいです。原付のライトもびっくりです。間近で直視なんてことをしたらえらいことになります(だから上級モデルは護身用にもなる)。それが手のひらに収まるのですからありがたい話です。
 レジのお姉さんとも少し言葉を交わしたのですが、これでとうとう大阪の丸善は八尾と関空の2軒だけになるそうです。老舗だった心斎橋店は、南船場から心斎橋そごうに移ったと思ったらすぐに撤退してなくなったし。京都では梶井基次郎が黄色い爆弾を置いて逃げた麩屋町店直系の河原町店もなくなって久しい。
 大阪には昔から紀伊国屋や旭屋があるし、最近は神戸発のジュンク堂の躍進もめざましく、大きな書店には困らないのですが、丸善は他の書店とは違って文具雑貨の品揃えもよかったのでなんだかさびしいですね。


2009年9月29日(火)

▼こうなったら9月末までは意地でも毎日更新するつもりだったのに、仕事持って帰らないといけなくなって挫折。おかげで、日曜の晩も月曜の晩も3時間くらいしか寝てない。

▼といってもずっと仕事だったわけでもなく、日曜日の明るいうちは子どもたちと散髪に行ったり、ともちゃん連れてを梅田のヨドバシまで「すれちがい通信」だけのために出かけたりと、それなりに忙しく過ごしたりしていた。月曜日は歯医者も行ったし(歯石取りの続きと、見つかった虫歯の前駆症状の治療)。

▼そうそう、じつをいうと私は「歯が痛い」というのもよくわからない。ぜんぜん経験がないのである。学校や職場の歯科検診でみつかった虫歯の治療経験なら何度かあるが、いずれも早期発見だったので、チチッと削ってキュッと埋めておしまいみたいな感じだった。なので、そもそも他人に「虫歯が痛い」と言われても、半魚人に「今日はエラとウロコがこすれて痛い」と言われたの同じで(©村上春樹)、ぜんぜんピンとこない。

▼それで結局仕事ははどったのかと聞かれるとむにゃむにゃなんだけど、いやあやっぱり、「OpenOffice」ってすごいねえ。パワポを持ってないのに、プレゼン資料を持って帰ったおかげではじめて世話になった。パワポもエクセルも2003ライクなインターフェイスでむしろ使いやすいような。じゃ、次のMyPCは適当なボードにHDDつないだ自作でOSはWin7、そんでOpenOfficeとFirefoxがあれば私くらいならこと足りるってこと? メーラはgmailで必要十分だし。なんか、すっげ安上がりじゃね?

よろしければサポートをお願いいたします。いただいたサポートは、創作活動の大きな励みになります。大切に使わせていただきます。