カナダで母になった日:予期せぬ妊娠と出産の物語
今回は、私の出産に関する個人的な思い出を紹介します。
少し前に読者のまりこさんから、カナダにずっと住むようになった経緯を教えてほしいというリクエストをいただきました。
まりこさんのメールはこちらで紹介。
そのときは、とりあえず、ビザ(査証)に関する記事をご案内しました。
よくよく考えてみると、カナダにずっと住むようになった一番の理由は娘が生まれたことです。
そこで、まりこさんの質問にお答えする形で、娘が生まれたときのエピソードを紹介します。
この記事が役立ちそうな人:
・私と同じような状況にいる人(レアだとは思いますが、いないとも言い切れません)。
・出産を控えて不安な人
・子供を産もうかどうか迷っている人
・高齢出産が不安な人
こんな人達です。
『案ずるより産むが易し』と言いますが、私の場合も、案ずることは山のようにあったわりには、出産は比較的簡単に終わりました。むしろ大変だったのは、生んだあとでした。
私の出産に関する概略は以下です。
・1998年の9月に、39歳で娘を出産
・カナダのコミュニティ・カレッジに通学しているときに、妊娠が発覚し、学生ビザの期限内ギリギリで出産
・夫とは同居していなかったので、いろいろな準備を一人で行った(子供が生まれてから同居を始めた)
私の人生は波乱万丈ではなく、どちらかというと地味ですが、カナダに住み始めてから、失敗、苦労、トラブルがたくさんありました。
やはり、外国に住んでいると、生まれた国ならば、わりと簡単にクリアできることも、難しくなってしまう面があります。
前回書いた不動産手続きもその一例です。
出産に関しても、同じことが言えます。しかも、私は結婚していなかったので、私の人生の最大のピンチの1つだったと思います。
シングルペアレントがだめという話ではありません。
しかし、せめて子供が生まれるときは、心も財布も余裕のある親が2人いるほうが、出産準備、出産そのもの、出産直後から始まる育児がスムーズに進むと思います。
突然の妊娠発覚
私は独身の学生で、子供を持つ計画はありませんでした。
子供を欲しいとも思っていなかったので、妊娠がわかって最初に感じたのは、「え? え? え?」でした。
最初のショックが過ぎたあとは、「もしかして、研修にいけないかも」と感じました。
当時、コミュニティカレッジで、アジア太平洋地域に特化したビジネスを学んでいました。このプログラムは、practicum として、卒業前に、海外の企業で研修できることが売りでした。
期間はうろ覚えですが、6週間ぐらいだったと思います。私は香港かマレーシア、シンガポール、韓国あたりの企業で研修して、そこが気に入れば、そのまま働き、気に入らなければ日本に帰って外資系の会社に勤めようと思っていました。
しかし、妊娠したので、海外に研修に行けなくなりました。行こうと思えば行けたかもしれませんが、やはりリスキーなので、カナダ国内の、あまりおもしろくない企業で研修をしました。
生むことにした
「妊娠したかも」と思ったとき、ドラッグストアで、妊娠検査薬を買ってきてまず自分で調べました。
妊娠判定が出たので、その後、近所のウォークイン(Walk-in)クリニックに行きました。
ウォークインは、予約なしに好きなときに行くことです。カナダでは、多くの人には、ファミリードクターと呼ばれる主治医がいて、健康上のトラブルがあれば、いつも同じ医者のところに行きます。
そういう医者がいない人は、ウォークインの患者を受け付けているクリニックに行くわけです。
私はどちらかというと健康で、留学中は、歯医者以外はクリニックにはまったく行きませんでした。この傾向は今も続いています。
歯医者に行ったのは、親知らずが痛くなったからです。
ウォークインのクリニックで会ったのは中年の女医で、検査してもらった結果、やはり妊娠していました。
私の状況を話したら、女医に「産まないほうがいいかもしれないわよ。子供を育てるのは大半だから」と言われました。
そのときは、「はあ…一応、父親にも相談してみます」と答えましたが、考えてみると、この先生、ズバリ真実を話していました。
私の場合
・外国人
・独身
・お金なし
・仕事なし
・学校をまだ卒業していない、期末試験や企業研修が残っている(カナダの学校は試験の成績が悪いと落第したり、単位がとれなかったりすることは普通にあるため、支払った授業料が無駄になる)
・学生ビザがもうすぐ切れる(観光ビザだと、州の保険に入れないので、出産費用がひじょうに高額になる)
・周囲に頼れる人なし(夫は頼れません、特に金銭的には)
・当時、賃貸住まいで、赤ん坊込みで住めるかどうかわからない
・ついでに高齢出産とも言える
こんな状況でした。
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