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ワーキングホリデーを利用して、カナダに出稼ぎに来ても稼げないほうに筆子は100ドル賭ける

ワーキングホリデーヴィザというものがあります。これは、若者が海外で一定期間滞在し、旅行や観光を楽しみながら働くことを許可されるヴィザ(査証)です。

若者じゃなければ取れないヴィザで、目的はあくまで異文化体験で、滞在費を賄うために働くことが認められているのだと思います。

だから、どちらかというと「ほとんどホリデーで、たまにワークしてもいい」ヴィザだと思うんですが、「ワーキングホリデー」と、先にワークが来ているせいか、円安の昨今、お金を稼ぎたいからワーホリを検討している人が多いそうです。

どうしてそうなる? たぶん、留学斡旋業者の、特に、もうけを優先する企業が、ワーホリ検討者に無責任な幻想を抱かせているのではないでしょうか?

カナダにおけるワーホリのよくある幻想3つを打ち砕いてみましょう。

1.日本より稼げる⇒お金は残らない

ワーホリは滞在先としていろいろな国を選べますが、もし、あなたが本当にお金を稼ぎたいのであれば、つまりに海外に来る一番の理由が、お金を稼ぐことなら、カナダはおすすめしません。

物価がとても高いので、たとえ給料が多かったとしても、生活費に消えます。消えます、本当に。

そもそも、カナダに来るのに、長時間飛行機に乗る必要があります。この飛行機代だって馬鹿になりません。

日本からカナダに来る人は、資金を日本円で貯め、それをカナダ・ドルに変えて当面の生活費にするはずです。このカナダ・ドルに変える段階で大幅に資金が目減りします。

資金はほとんど持たず、「むこうで稼げばいっか~」と思ってカナダにやって来る人は、道端で凍死しても自業自得なので、私は何も言いません。

昔、英会話学校に通っていたとき、そういう「むこうに行けば何とかなるから思考」の人に、たくさん会い、実際なんとかなったみたいで、いろいろな武勇伝を聞きました。

ほかの人は、「行動力あるね~」とそういう「むこうに行けば~思考」の人を称賛の目で見ていました。

でも、これは、1990年代半ばの話で、そのとき、1カナダ・ドルは、80円~90円でした。今は、115円ぐらいです(Oh NO~~~~)。

カナダが悪い国だとは言いません。アメリカのように、あちこちの学校やショッピングモールで銃撃事件が起こることはありませんから。

でも、決してラクしてお金を稼げる国ではありません。

カナダ生まれのカナダ人だって、物価が高くて、生活するのに苦労しています。

もし、本当にお金が欲しいのなら、今は、海外などに行かず、日本でミニマルライフを送ったほうがよほどお金が貯まります。

多くの人は、買わなくていいものや、使わなくていいサービスにたくさんお金を使っているから、お金が貯まらないだけだと私は考えています。

たとえば、毎日シャンプーしたり、毎月美容院に行ったり。毎日お風呂に入るのも、私は入りすぎだと思います。すごく水とガス(電気)使いますから。

でも、日本では「これが普通」と思われており、湯シャンやセルフカットをしている筆子なんて、変人扱いです。

話を戻します。カナダにワーホリに来て、「いかに貧乏か」「いかに生活が苦しいか」をYouTubeで発信し、広告収入を得る計画なら、カナダに来るのもいいかもしれません。

カナダにワーホリで来る場合、滞在先はトロントかバンクーバーになると思います。この2つの都市は、ものすごく物価が高いんですが、一番仕事の口が多いところでもあります。

他の都市に行ってしまうと、物価は高いのに仕事がない状態に陥るかもしれません。

とはいえ、トロントやバンクーバーでも仕事を探すのは大変です(特に冬場、そしてカナダは冬が長い)。

2.英語とフランス語の両方が身につく⇒ありえない

カナダの公用語は英語とフランス語です。だから、「カナダに行けば、英語とフランス語の両方を身につけられる」と言う留学エージェントがいます。

そんな馬鹿な。

カナダ人が全員、英語とフランス語の両方をペラペラしゃべると思ったら大間違いです。英語圏の人は、基本、英語しかしゃべりません。

両方しゃべれる人は、幼いときそういう環境にあった人(片方の親がフランス語をしゃべるとか)か、仕事で必要な人です。

学校でフランス語を習うので、知識はあるかもしれませんが、実用レベルではありません。

私が住むのは英語圏の州です。

娘が中学か高校にあがったとき、保護者に向けた説明会で、「この中で、フランス語をしゃべる人いますか?」と先生が聞いたら、ほとんど手があがりませんでした。私もあげませんでしたけど。

フランス語圏の人は、一歩州の外に出れば、まわりは英語ばかりなので、英語を知っておかないと困ることが多いから、両方しゃべる人が多いかもしれません。

それでも、カナダのトルドー首相みたいに、英仏両方、達者にしゃべる人はそんなにたくさんいません。

政治家は(特に、首相や党代表みたいに、フランス語圏であるケベック州の票も必要な人)は、「英語もフランス語も話すべきである」と思われているので、英語圏の人でもフランス語をしゃべります。

でも、政治家が討論会でしゃべっているフランス語は、そんなに上手ではないです。

昔私は、ほかの学生と一軒家をシェアしていたことがあります。ある夏の終わり、その家に、ケベック州から女の子(18歳ぐらい)がやってきました。

この方は、かたことの英語をしゃべったので、近くの銀行の場所などを教えてあげたんですが、私のほうが英語がうまかったです。

彼女は、英語を身につけるために、わざわざ私の州に国内留学したんです。

ところが、何をどう間違えたのか、彼女が選んだ学校は、州立大学のフランス語のファカルティ。この学科の授業はすべてフランス語で行われるので、「英語を身につけたい」彼女が行くべき学科ではありませんでした。

ほどなく、この方は、ケベック州に帰りました。

英語ネイティブがフランス語を身につけるのは、日本語ネイティブがフランス語を身につけるよりずっと簡単です。それでもそう簡単には身につかない。

なぜなら、英語圏の人は、フランス語なんてしゃべらなくても暮らしていけるから。言葉は強固な必要性がないと身につかないんです。

それなのに、ほぼ日本語しか知らない人が、カナダに来て、1年足らずのうちに英語もフランス語も身につくなんて、そんなに簡単に外国語が身につくなら、私は苦労していません。

3.勉強も仕事もバランスよくできる⇒仕事が見つからない

仕事も勉強も異文化体験もできて、バカンスも楽しめる。

これがワーキングホリデーのいいところだと思います。でも、バランスよくできるとは限りません。

なぜなら、そう簡単に仕事は見つからないから。競争が激しいのです。仕事がないと家を見つけるのも困難です。

雇用主はまず、カナダ人で、その仕事の経験者を雇います。次に、外国人(移住したばかりの人を含む)でその仕事の経験者を雇います。

外国人で、その仕事の経験が何もない場合、雇ってもらえません。よっぽど時給の低いところなら雇ってもらえるかもしれませんが、そんなことをすると生活できません。

その仕事の経験のある外国人にしても、仕事によっては、たとえ自分の国で長く働いた経験があっても、雇ってもらえません。カナダ人だけで、席が埋まってしまうからです。

私の娘は、高校生のときから7年ぐらいバルクバーンでアルバイトをしていました。バルクバーンは量り売りの食料品店です。

詳しくはブログの記事をどうぞ。

娘は、ここで働きながら何人かの外国から移住したばかりの人と出会いました。

中には、すごく学歴が高く、ステータスの高い仕事をしていた人もいました。そういう人達でも、カナダに来るとエントリーレベルから開始しなければならず、娘のような高校生と同じ給料で働くんです。

娘はわりと早くスーパーバイザーになったので、娘のほうが給料が多かったぐらいです。

カナダに移住する外国人の多くは、自国が戦争をしている、自国が貧しすぎて稼げない、自国の政府が嫌い、自国では身の危険を感じるなど、わりと切羽つまった状況にある人達なので、たいていはそんなに簡単には帰らず、なんとか食いしばってカナダで働く人が多いです。全員がそうではありませんが。

日本からカナダにワーホリで来る人達は、こういう人達と仕事を取り合うことになります。

雇用主の立場からしたら、半年やそこらでやめることがわかっている人間を雇うのはコスト高なので、避けるはず。

日本食レストランや居酒屋は、ワーホリで来ているほかの日本人と職を取り合うことになるので、この手の店で働くのも簡単ではありません。

本当に仕事を見つけるのは難しいと思います。かく言う私も、一時期、たくさんレジュメを出しましたが、どこからも採用されなかったので、ブロガーになったんです。

自国ですでに働いた経験がある場合、たとえ、最初はバルクバーンのような小売店、レストラン、アマゾンの倉庫、どこかの工場、道路工事(真冬以外)、UberやアマゾンやIKEAの配送人として働いたとしても、半年ぐらいたって、もともとやっていた仕事のエントリーレベルの仕事を得ることができれば、そこからのキャリアアップは、職歴のない一般カナダ人より早いかもしれません。

でも時間がかかります。ワーホリの1年のうちで、そんなことはできません。

すごく学歴の高いカナダ人でも、その仕事をした経験かコネがない場合、仕事を見つけることに苦労します。

カナダで仕事につけないから、外国に行くカナダ人もいます。

ついでに書くと、私の元夫は、カナダ生まれのカナダ人で、カナダの専門学校を出た人ですが、ここ3年、ずっと失業しています。まあ、彼の場合、仕事を選んでいるからそうなるんだと思いますが。

どこでもそうですが、大学生より、手に職のある人、美容師とかエスティシャンとかマッサージ師みたいな人達のほうが、仕事を見つけやすいでしょう。もちろん、フルタイムで働ける人のほうが、採用されやすいです。

ホリデーメインのワーホリがおすすめ

というわけで、ワーキングホリデーは、あくまで、ホリデーとして異文化体験をすることをメインの目的として来たほうがいいと思います。

旅行先としては、カナダは悪くありません(冬は、すごく寒いけど)。

ワーホリだからと言って、働く必要はありませんよね。ぶらぶらのんびりしてもかまわないヴィザです。

その場合、人によっては、カナダより暖かいオーストラリアのほうがいいかもしれません。

カナダは寒いし、冬は日照時間が短いし、日本と時差があるので(ほぼ昼夜が逆転している)、日本にいる家族と連絡をとるのに調整が必要なので、人によっては、ホームシックになったり、落ち込んだりするかもしれません。

オーストラリアは日本と時差がないので、好きなときに家族とビデオ通話できるから、元気でいられます。農場で働く選択肢もありますし。

もちろんスムーズに仕事が見つかるケースもあるでしょう。でも、簡単ではないし、物価が高いのは真実です。

アイスホッケーの選手になりたいとか、カナダにしか来ない渡り鳥を見たいとか、将来はカナダに移住したいとか、そういう「カナダでなければならない理由」があるときは、カナダを選んでください。

「英語ができるようになりたい」というのは、もはや外国に来る理由にはなりません。インターネットがあるから、日本でも充分マスターできます。カナダに英語の勉強に来てもいいけれど、コストパフォーマンスが悪すぎます。

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