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ventusが新サービスローンチ!PMFで学んだプラットフォーム化してはいけないビジネスとは?

皆さんこんにちは。藤原です。今回のスタートアップ取材記事は、東大発の電子トレカを扱うスタートアップventusを取り上げます。ventusは6月18日、新たに「ORICAL」をローンチし、その第1号カスタマーとしてプロ野球チームが「ORICAL」を採用したというニュースが記憶に新しいところです。(下記 PR TIMESへのリンク参照)

今回はventus代表の梅澤さんにここに至るまでの紆余曲折をお伺いすることができましたので、ぜひご一読ください。ventusはいいぞ。

この記事の登場人物

株式会社ventus Founder CEO 梅澤優太氏
藤原弘之(質問内容を太字で記載)

whooop!からORICALへのピボット

お久しぶりです。2年ぶりくらいでしょうか?ventusがまだ一戸建てを間借りしてやられていたとき、僕が出資させてくれって突撃していったとき以来ですね(笑)
梅澤優太氏(以下梅澤)「はい(笑)、2018年の5月頃だったと思うので、そうですね。それで前のサービスを出したのが2018年の11月くらいです。」

そうそう。元々は別のプロダクトでしたよね。
梅澤「whooop!というプロダクトで、電子トレカを作って販売するためのプラットフォーム事業でした。今はあまり動かしていませんが、当時はミクロな数値は悪くなかったんですよ。」

確かに、売切れとかも結構ありましたよね。
梅澤「単発だとうまくいったんです。ファンに何かリターンを返す仕組みもなくただ電子トレカだけの販売で1パック40〜50万円売り上げたりとか。ただ、今はORICALにピボットしましたので、新規の販売はほとんどしていません。」

なるほど。その決断に至った理由は何です?
梅澤「ひとつはビジネスモデルの設計ミスで、なかなか収益が立たないという状況でした。」

確かにパッと聞いた感じ、ventusの取り分が安いなとは思いました(笑)
梅澤「ですよね。そしてもうひとつは、このサービスはプラットフォームにしちゃいけなかったんです。これは僕らだけの気付きなんですけど、エンタメ・スポーツ系でプラットフォームにしちゃいけないものと、プラットフォームにしてOKなものが結構ハッキリ分かれていまして。」

そうなんですね。
梅澤「藤原さんもFC東京のファンだから分かると思うんですけど、例えば色ってめちゃくちゃ重要じゃないですか。」

はい。FC東京の何かを販売するところですって言われて訪れてみて緑色とかだったら絶対そこでは買い物しないですもん(笑)
梅澤「そうですよね。緑色以外にも水色と黒の縞模様とかも入ってちゃいけないですよね(笑)。プラットフォーム化してしまうってことは、そういうことを強要してしまうってことなんです。色はひとつの例ですが、スポーツチームとして、あるいはスポーツに限りませんが、ブランディングに気を遣っているところ程、プラットフォームに乗るということは難しくなるということです。それにようやく気付きました。」

ORICALは利用者のブランドを守れる。
梅澤「はい。電子トレカをベースとしたファンシステム全般を扱うITシステム的な裏の仕組みが共通なだけで、表現の部分や各チームのファン施策の部分は共通ではなく個別に設計できるようになっています。」

確かにそれは重要ですね。
梅澤「プラットフォーム化してしまうと、あるプロスポーツチームが『電子トレカサービスwhooop!に参戦します!』ってリリースしたとしても、まず『それは何?』ってなるんですよ。ファンにとっては電子トレカ販売プラットフォームとういものを初めに理解しなければいけなくて、その上で、それに乗っかるチームのことを応援してくださいね、というようなメッセージになってしまうんです。ファンから見たら、これがよく分からんと。なんだか怪しいventusとかいう聞いたこともない会社のサービスに乗っかっているこれって何なの?って普通のファンなら思いますよね。」

それは良い学びですね。言われてみたら確かにそうだって思います。
梅澤「はい、この部分は重要な気付きでした。」

今後の展開

今後の展開というのは対応チームを増やしていくようなイメージですか?
梅澤「そうですね。プロ野球とは別の競技ですが毎回何万人とお客さんが入るようなプロスポーツチームが導入予定ですし、また別の競技では協会ごと入っていただけるような交渉が進んでいるところです。」

それは楽しみですね。早く僕が好きなFC東京も増えないかなと思っています。出たら絶対買いますもん(笑)
梅澤「頑張ります(笑)。ただ、チームを増やしていくということも、もちろん大事ではありますが、まずは今のプロ野球チームとの取り組みの中で、もっとファンの方々を満足させていきたいと思っています。『称号』という機能もリリースする予定で、ファンの方がこのトレカを集めながら満足度も高められるようにしていきたいです。カードパックもこれからどんどん出していきます。例えば劇的な展開で勝った試合の歓喜の瞬間のトレカなども、すぐに出していきます。記念グッズだと数ヶ月かかったりしてもう熱が冷めた頃にリリース、となりがちですが、電子トレカならファンの方がまだ熱いうちにすぐリリースできるので、その差は大きいと思います。」

今後が楽しみですね。PMFに時間がかかったというのはスタートアップあるあるですが、お話を聞くと結構順調ですね。
梅澤「まだ自分で『PMFした!』って大声で言えるほどではないですが、今のARPPUとか継続率とかユーザーの獲得率とかの数値を見ていると、今回のプロ野球チームに限って言えば、PMFしたって言えるのかなと思います。」

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資金調達の方はどうです?
梅澤「それもこれから本格的にやっていきます。今はエンジニア集団と営業担当の僕とオペレーション担当数名だけで何とか回しているような状況で、マーケターとかもいないので、調達ができたらそういった点もアクセルを踏んでいこうと思っています。」

大学4年生で既にものすごい経験値

というかよく考えたら梅澤さんってまだ大学4年生なんですよね。それがもう信じられないというか。資金調達もやって人材も採用して、日本のプロ野球チームという所謂オトナな企業と取引もしてキャッシュを稼いでる。
梅澤「最近23歳になったんですけど、ありがたいことに、僕自身いろんな経験をさせていただいています。とは言え経営者として胃が痛いことも多いですが(笑)」

例えばどんなことですか?
梅澤「いや、リアルに今年の3月に資金がなくなりかける経験をしたり、毎月25日が怖いとかですね(笑)。アルバイトの学生だったら毎月25日は『やった!給料日だ!』みたいな感じでしょうけど、僕にとってはキャッシュが減っていく恐怖でしかないっていう。」

その感覚を既に持っていることが普通はあり得なくて、僕なんか新卒1年目の駆け出しエンジニアの頃でさえ、ビジネスの仕組みなんてまったく理解していなくて、給料は降ってわいてくるものだと思っていましたから、もうクソですよね(笑)。もはや普通の学生とはマインドが全然違う。
梅澤「ありがとうございます。いろいろと大変な事もありますが、とにかく今はファンの方々がどうやったら楽しんでいただけるか、という一点にフォーカスして事業を展開していきたいと思っています。」

もちろん大学を卒業してもそのまま代表として専念するんですよね。
梅澤「卒業はもうほぼ確定しているので、つぶれない限りは(笑)これからも継続して頑張っていこうと思っています。」

今日はどうもありがとうございました。
梅澤「こちらこそ、ありがとうございました!」

株式会社ventusについて

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ventusは電子トレカを用いた新しいファンシステム「ORICAL」を開発する気鋭のスタートアップです。記事中にもありましたが、代表の梅澤さんはまだ東京大学4年生ですが、スタートアップ経営者として既に資金調達からプロ野球チームとの提携まで、数々の経験をされていて、会社としても今後の急成長が益々楽しみなスタートアップです。

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