見出し画像

韓国市場崩壊で大打撃!VRライブへ大きく舵を切ったVARKが更なる資金調達で攻めの経営へ

皆さんこんにちは。藤原です。今回のスタートアップ取材記事はVRライブプラットフォーム「VARK」を開発しているActEvolveを取り上げます。

代表の加藤CEOと初めてお会いしたのは2017年の秋で、実は当時まったく違うことをやっていました。その辺も含めて詳しいお話しをうかがうことができましたのでぜひご一読ください。ActEvolveは良いぞ。
(取材日:2020年2月14日)

この記事の登場人物

画像2

株式会社ActEvolve 代表取締役社長 加藤卓也氏(上写真)
藤原弘之(質問内容を太字で記載)

当初可能性を感じたロケーションVR市場

今日はよろしくお願いします。
加藤「よろしくお願いします。昨日、電車でiPhoneを盗られたのか紛失したのか、ちょっと分からないんですが、今テンションが低いです。」

えっ、そんなことがあるんですか?
加藤「ちゃんとポッケに入れたはずなんですけどね・・・」

凹んでいるところ申し訳ないですが、インタビューしてもよいでしょうか。2017年の秋に僕と初めて会ったときは、今とはまったく違うことやってましたよね。VR対戦ゲームの中継システムでしたか。
加藤「はい。当時はVRのeスポーツを作ろうと思っていました。ターゲットは『ロケーションベース』と言ってゲームセンターのようなVR遊戯施設で、それがすごい盛り上がりを見せていたんです。」

お台場とか新宿とかにあるやつ。
加藤「そうです。日本でもポツポツとありますが、僕たちがターゲットにしていたのは韓国でした。韓国はVR関連の助成金がいっぱい下りてきていて、VRに対する投資の熱がすごかったんですね。VRの施設を作ったらドカンとおカネが出るみたいな。だからカフェとかにVRのゲームを併設するのが流行ったんです。」

助成金狙いで?
加藤「はい。家賃がその助成金で実質タダになったりするのでお得ですよね。お客さんはVRで遊ぶと何かご飯が食べたくなりますよね。あとはお酒も飲みたくなりますよね。要するに、カラオケをVRで置き換えたようなモデルで、それが韓国ではかなり出てきていました。」

シダックスのVR版みたいな。
加藤「まさにそんな感じです。そうするとコンテンツが足らないよね、という話になります。特に友達と遊びに行ったら対戦型のコンテンツは絶対やりたいですよね。当時そういうコンテンツがなかったんですよ。だからまず対戦型ゲームを提供していました。」

それをなぜ中継しようと思ったんですか?
加藤「カラオケって2人で行くというより、4人とかもっと大人数で行きますよね。実はVRもそうで、そうするとVR対戦を2人やっている間、他の人はその2人を見てるだけになっちゃうんです。だから外で見ている人にもVRの中身を分かりやすく表示してあげる必要がある。それで、対戦フィールド内に擬似的にカメラを置いて、そこで撮った映像が外に流れるようにしたんです。そういうシステムとゲームとをセットで提供していました。」

なるほど。それなら戦況が分かりますから、周りも応援もできますね。
加藤「応援だけじゃなくて、外から介入もできるようにしていました。」

介入ってどんな風に?
加藤「見ていてヒマだったら『爆弾でも落とすか』ってポチっとすると爆弾が落ちてくる。」

いや、めっちゃ邪魔(笑)
加藤「ゲームバランスは確実に崩壊するんですけど(笑)、崩壊するからダメというよりは、みんなでワイワイやって楽しいよね、という感じです。」

じゃぁ当時は結構イケイケで。
加藤「実際に売れていましたしね。僕らみたいな最近できたばかりの日本のスタートアップが、いきなり韓国のロケーションベースの施設にゲームを持っていても普通に置いてくれていましたし。それで資金調達もして。」

どういう方が投資家だったんですか?
加藤「アカツキの塩田さんとか、UFJキャピタルさんとか、クルーズさんとかですね。」

韓国市場崩壊でピボットを決意

それで急にピボットする訳ですが何があったんですか?
加藤「理由はシンプルで、韓国でVRへの助成金が止まったんですよ。そうしたらババババッと全部閉鎖になってしまって。中にはトンズラの方もいらっしゃって・・・。こっちは韓国で鬼ごっこする訳にはいかないから泣き寝入りですよね。」

それは韓国側に代理店みたいなのがいたわけではなく、直契約で?
加藤「いえ、代理店がいて、その代理店が飛んだんです。」

いや〜、それは結構なHard Thingsですね。
加藤「ロケーションベースのVR自体が徐々に駆逐されていったんですね。結局、カラオケに比べて価格がやや高いですし、VRコンテンツも開発に時間がかかりますからカラオケの曲みたいにポンポン増えていく訳ではない。お客さんは徐々に飽きてしまいます。とは言え、お店は補助金で儲かっていたのでどんどん出店は加速するみたいな、歪な市場環境でした。だから補助金が止まった瞬間に、バタバタと倒れていきましたね。」

それはいつ頃ですか?
加藤「2018年の2月頃だったと思います。僕らも『韓国市場撤退!』って決めて日本に戻ってきたのが2018年の4月頃ですね。」

画像3

VRライブ空間「VARK」に至るまで

そこから今のサービス「VARK」に至るわけですが、どうやってたどり着いたんですか?
加藤「日本に帰ってきて、儲かるからといってアフィリエイトメディアとかに何の脈略もなくピボットするのはおかしいですよね(笑)。VRは絶対やりたいと思っていたので、その方向で色々考えました。韓国から帰ってきた当時、日本ではVTuberブームが来てたんです。周りのVRゲーム会社さんがみんなVTuber事業やっていて。カバーさんとかmikaiさんとかですね。」

確かに続々と生まれていましたよね。何体できるだろう?って感じで。
加藤「それで色んな方々とお話しをする中で、気付いたことがあったんですよ。VTuberってやっぱり人間のYouTuberに勝つのは難しい。やれることと言えば歌を歌うかゲーム実況をするしかない。それはVTuberというバーチャルな存在なのに、露出する先がYouTubeというリアルな人間を相手にしているメディアに出てるからで、そこに限界があるんです。」

露出先に問題があると。
加藤「僕はVTuberの方にはもっと稼いで成功してもらいたいと思っているので、まずVTuberの課題感を確認するために、めちゃくちゃ色んな所に連絡しまくって、実際のVTuberの方にもコンタクトを取って電話インタビューしたりしました。VTuberをやる方って、リアルなYouTuberにならなかった理由があるはずなんです。」

VTuberにはそもそも面白い人が多いので、YouTuberもできそうですね。
加藤「はい。そんな彼らがリアルなYouTuberにならなかった理由は色々あります。若すぎるのも理由のひとつです。あるVTuberの中の人が15歳というケースもあって、そもそも露出ができない。あるいは、めちゃくちゃ田舎に住んでいるとか。周りに人がいないから、東京のYouTuberがやっているような色んな企画が全然できないんですよ。」

それぞれに理由があるんですね。
加藤「皆さんバーチャルに強い思い入れがあるんですが、じゃぁ彼らがおカネを稼げる場所があるのか?と考えたときに、結局YouTubeのギフティングだけっていう状況なんで、これを何とかしたいと思うようになりました。」

それでVTuber用のライブ配信システムなんですね。
加藤「彼らが活躍できて、ちゃんとおカネが稼げて、なおかつ目立てる場所というのは何かと考えて、そこに行き着きました。市場環境としてはそんな感じです。競合環境としても、一部先行していた他社のシステムは、元々がVR会議システムから発展したものを流用していて、VTuberのライブ配信という環境にはあまり特化されていなかったんですね。しっかりここに特化して良いUIと良い演出を作り込んでいけば、もっと沢山のVTuberが使ってくれるようになるのではないか、そう思って開発を始めました。」

ビジネスモデルとしてはVRライブの入場料ですか?
加藤「はい、入場料がだいたい1人5,000円で、あとはこれにギフティングが加わる感じです。VTuberファンは熱い方が多いので、実は結構ギフティングされます。それらを演者さんと弊社で分け合うかたちですね。」

ユーザー数ってどれくらいなんですか?
加藤「正確な数値は非公開なんですが、数万ユーザーはいらっしゃいます。VRで数万ユーザーって実は結構な数値なんですよ。」

「VARK」の成長戦略

そんな「VARK」ですが、開発資金は日本に戻ってきてから改めて資金調達されたんですか?
加藤「資金は結構ギリギリでした。だってこっちは韓国でトンズラされてますからね(笑)。2018年の夏頃に個人投資家や複数のVC/CVCさんから資金調達しましたが、資金ショート2日前になんとか着金していただいたりで、なかなかヒヤヒヤしました。それから開発を加速させて2018年の12月にサービスローンチしました。」

では、これからの「VARK」はどう発展・成長していくんでしょうか?
加藤「やれることは2つの方向性があって、1つめは『配信先を増やす』ということです。2つめが『もっと手軽に誰でも配信できるようにする』ということです。」

1つめの『配信先』というのは?
加藤「冒頭話した対戦ゲームの中継システムじゃないんですけど、VRライブであってもVRを持っていない人も楽しめた方が良いと思って、今はニコニコ動画とビリビリに配信できるようになっているんです。VR空間の中に仮想的なカメラを置いて外部に投影する技術が生きています。この配信先がもっと増えた方が、演者さんとしては収益化のチャンスが増しますから、それを増やしていくということですね。」

なるほど。2つめの『誰でも手軽に』と言う部分は?
加藤「現状の配信って、やはりスタジオみたいな設備が必要なんです。だからVTuberさんがいつもやっているスタジオに僕らの機材をセッティングして配信してもらっているんですが、今後はOculus Questで配信できるようにしたいと考えています。」

そういうシステムって、Facebookの審査があるんですよね。
加藤「その審査に僕らはもう通っているので、あとは開発を加速するだけなんですよ。」

お話をうかがっていると、もう1回資金調達してアクセル踏む感じでしょうか?。
加藤「おっしゃる通りです。今まさに資金調達中で、数億円を目標に動いているところです。良い発表ができるように頑張ります!」

そうなんですね。ぜひ頑張ってください。今回はありがとうございました。
加藤「こちらこそ、ありがとうございました!」

ActEvolveについて

画像3

株式会社ActEvolveはVRライブプラットフォーム「VARK」を開発・運営する気鋭のVRスタートアップです。「VARK」はバーチャルアーティストのパフォーマンスをあたかも自分がライブ会場にいるかのように体感できるサービスで、「バーチャルアーティストが目の前に来て歌ってくれる」、「観客がアクションでライブを盛り上げることができる」など、現実のライブでは困難な多種多様な演出で「VRならではのライブ体験」を存分に味わうことができるように開発されています。

彼らは今、いっしょにVRライブを創り上げてくれる方を募集しているようです。VRライブというまだ新しい分野で挑戦をしたいという方はぜひコンタクトを取ってみてください。


さて、時間のキリがちょうど良いので今回はこれくらいにして、また次のnoteにつなげていきましょう。良かったらコメント・高評価・チャンネル登録・あとTwitterのフォローをしてくださると嬉しいです。

https://twitter.com/fuddy

では次回、スタートアップ取材記事でお会いいたしましょう。今回はこの辺で。

サポート代は大好きなスタートアップへの取材費に充てさせていただきます