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困難を乗り越えたW TOKYO、国内最強のプラットフォーム『東京ガールズコレクション』と共に飛躍のステージへ

皆さんこんにちは。藤原です。今回のスタートアップ取材記事は史上最大級のファッションフェスタ『東京ガールズコレクション(TGC)』で有名なW TOKYOを取り上げます。

移転されたばかりの真新しいオフィスで、今回は同社COOの青木充さんとCFOの田嶋康弘さん、広報の礒ゆき菜さんの3名に登場いただきます。W TOKYOは僕がベンチャーキャピタリストだったときの投資先でもあります。W TOKYOはいいぞ。

この記事の登場人物

W TOKYO 取締役COO 青木充氏(バナー写真右)
W TOKYO 取締役CFO 田嶋康弘氏(バナー写真左)
W TOKYO 広報 礒ゆき菜氏(写真は記事中)
藤原弘之(質問内容を太字で記載)

TGCオーディション真っ只中

今日はよろしくお願いします。
青木・田嶋・礒「よろしくお願いします!」
青木「我々がスタートアップなのか、というとちょっと微妙ではありますけどね(笑)」

確かに、かなりレイターステージですよね(笑)そうそう、この前の9月にさいたまスーパーアリーナでの東京ガールズコレクション(以降TGC)に伺いましたよ。凄い熱量ですね。ウチの10歳児と5歳児も連れていったんですが、二人とも目をキラキラさせていて。
青木・田嶋・礒「ありがとうございます!」
礒「5歳の子でも楽しめましたか?」

お姉ちゃんが楽しんでるから一緒になってってペンライト振ってる感じですね。10歳児の方は「オーディションに出たい!」とか言い出して写真も撮らされて大変でした。この前も1分PRのやつ行ってましたよ。
青木「ご応募ありがとうございます(笑)」

所で、あのオーディションって全部で何名くらい応募されてるんですか?
礒「おかげさまで、約8,000名の方から応募がありまして、いま審査の真っ最中です。」

すごいですね。1日何名くらいの方と会われるですか?僕の勝手な予想なんですけど、かなり書類審査通してますよね?
青木「そうですね。いろんな会場で面接審査だけで約4,000名の応募者の方とお会いしています。もう面接は毎週末って感じで、時期的に担当者は休み返上でがんばっています。」
田嶋「礒さんも休みなしだった?」
礒「いえ、私は(笑)。でも同僚のオーディション担当はこの時期フル稼働ですね。私のチームからも1名ヘルプで行っています。」
田嶋「2次審査、先ほど1分PRとおっしゃったやつですが、それが先週末(注1)終わって、ようやく担当者も落ち着いてきたところです。」

注1:取材日は2019年12月19日(木)

それにしても顧客のエンゲージメントの高め方が上手ですよね。書類審査で落とされたら少しイラッとくる場合もありますけど、1分PRとは言え面接まで行けたら、自分事としてTGCに参加した感が出ますから、次もやっぱり応援したいって思いますもん。
青木「ありがとうございます。そんな大それた戦略でもないですけど、そう言っていただけるとありがたいです。」

出戻りCOOこと青木氏の異色キャリア

青木さんは結構変わったキャリアだとお聞きしたんですが、どういう経緯でW TOKYOのCOOをやられることになったんですか?
青木「元々は新卒でリクルートに入りまして、その後、孫泰三さんのところでIT系のお仕事をさせていただきました。その流れでお兄さんがVodafoneを買われたときに、みんなでSoftBank行くぞみたいな感じになったので、そこでマーケのお仕事をしていました。その後、ここの前身のF1メディア(注2)で働くようになりました。」

注2:株式会社F1メディアはかつて存在したTGCの運営企業で、後に株式会社W mediaに社名変更を行っています。その後、TGCの商標権を持つ株式会社TOKYO GIRLS COLLECTIONが2016年9月1日にW mediaの全株式を取得し完全子会社化しました。その流れで2017年1月1日に同社がW mediaを吸収合併し、同日、株式会社W TOKYOへ社名変更を行い現在に至ります。

SoftBankを辞めてF1メディアに来られたのはどういう経緯だったんですか?
青木「リクルートの先輩で永谷亜矢子さんというTGCの初代チーフプロデューサーがいまして、すごく仲が良かったので、人手が足りないから手伝ってってことで手伝うようになった感じです。」

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スタートアップあるあるな誘われ方ですね。その後にF1メディアを一度離れて、吉本興業に行かれるんですよね。吉本ではタレントさんのマネジメントをされてたんですか?
青木「いえ、マネジメントは全然やっていなくて、新規事業をやったり、タレントさんのIPをマネジメントするというか、ライセンスの管理をしたりですね。分かりやすいところで言えば、渡辺直美ちゃんのPUNYUSというアパレルブランドを立ち上げて、WEGOさんと商品をプロダクトアウトするとかですね。あとは海外、特に台湾なんかでTGCみたいなB2Cのファッションイベントをやったり。僕自身も国内でしか仕事したことがなかったので、海外で働くのも良いかなと思ってフラッと行った感じです(笑)」

吉本には何年くらいいらっしゃったんですか?
青木「8年くらいですね。」

結構いらっしゃいましたね。ということはもう幹部クラスじゃないですか。
青木「そうですね。最終的には吉本クリエイティブエージェンシーの取締役をやったりとか、グッズを作って売る子会社の社長をやったりですね。」

それでまたW TOKYOに戻ってこられたのはなぜなんですか?
青木「今の代表の村上君が、またさっきのくだりと同じなんですけど、人手が足りないから手伝ってって(笑)」

青木さん、「手伝って」と言われると弱いですね(笑)
青木「弱いですね。ついつい手伝わないといけないのかなって思ってしまいますので。それに、この会社もこれからどんどん大きくなっていくステージで、みんな若いんですね。20代とか30代とか、代表の村上君だって、36くらい?」
礒「38歳です。」
青木「で、僕がおそらくこの会社の最年長で47歳なんですけど、そういうオジサンも必要かなと思って。」

確かに、これから上場目指して頑張って行く、というステージだと若いパワーだけだと厳しくなってきますもんね。
田嶋「なので、村上は割とライトに『青木さん手伝ってください』て感じで行くんですけど、裏では私が抱きついて絶対離さないようにしてました。」
青木「いつの間にか、何か重いな〜って(笑)最初もっと軽く手伝ってって感じだったはずなのに、いつの間にか責任が重くなって。ただ、今も大変ですけど、初めにJoinしたときの方がもっと大変でしたから。」

F1メディアの時ですね。どんなHard Thingsがありました?
青木「いや、もうあの大変さは、これから一生ないんじゃないかっていう感じでしたね。」

え〜、それは具体的には何があったんですか?例えばスタートアップのHard Thingsあるあるって、おカネがなくなる・組織が崩壊する・キーマンが急にいなくなる、だったりしますが。
青木「今おっしゃった事、全部含めてって感じですね(笑)」

それはすごい。その局面で青木さんの舵取りって、どういう経験を元にやられたんですか?リクルートの時に揉まれてたから、とかでしょうか?
青木「いや、もう他にやる人がいなかったですし、普通あんな経験したことある人って、そもそもいないじゃないですか。だから、ただ自分がやるしかなかったですね。そんな経験があったおかげで、今はちょっとやそっとのことでは大変だって思わなくなりましたね。」

難易度の高い広報戦略

そう言えば広報ってどうされてるんですか?
田嶋「ウチの広報はかなり戦略的で、これまでTGCの広報で培ってきたノウハウがあるので、それを活かしながらコーポレート広報も力を入れていくところですね。」

礒さんて今で何年くらいいらっしゃるんでしたっけ?
礒「6年です。元々ブランドチームでファッションショーを作っていたチームにいて、去年くらいから広報配属になりました。」

W TOKYOさんの広報って、スタートアップ広報の中でもかなり難易度が高い部類だと思うんですよ。単純にどっかに何かしら掲載されたら嬉しいみたいな感じでもないですよね。タイミングとか出方とか、いろいろ考えなければならないことも多いのでは?
礒「やはり商材が特殊なんですね。ファッション、エンタメ、社会性をどういうバランスで発信していけばよいのか、かなり難しいですね。ただ1つのイベントで600〜800名くらいのメディアの方に来ていただいているので、そういうイベントは他にはそうないですから、良い経験はさせていただいているなって思いますね。」

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今はおひとりでやられてるんですか?
礒「繁忙期にはスポットで来ていただいたりしていますが、基本的には3人でやっています。」
田嶋「どこのスタートアップでも社長ってめちゃくちゃな人間が多いじゃないですか。自分ではまともだと思ってるんですけど。そういうのをうまく汲み取れる広報というのは結構大事ですよね。うまくいくように経営陣をコントロールしながら振る舞うというか。」
礒「それはみんな勝手に身に付いていると思いますね(笑)」

社長とか経営陣が破天荒だと広報が勝手に成長していく(笑)
青木「まったくその通りですね(笑)」

TGCを新たなプラットフォームとして位置付け

これからW TOKYOがさらに飛躍していくためのプランをお聞きしたいのですが、大人気のTGCというのがまずあって、そこから拡大ということだと、やはり海外ということになりますか?
青木「もちろん海外も良い縁があればやりたいですし、やっていくべきだとは思っています。ただ、ウチは良くも悪くもTGCの会社なので、それを軸に、TGCを『事業が生まれるプラットフォーム』と位置づけて成長していきたいと考えています。先ほどHard Thingsの話もありましたけど、そんな悲喜交々も、色んな人々がTGCに吸い寄せられて起こっているとも言えると思います。ただ、悪いことばかりではなくて、良い事もすごくあって、TGCを認めてくれて評価してくれて声をかけてくださる沢山の方々と、新しい事業を一緒に創るきっかけになり得るプラットフォームなので、それを活かしていきたい。その部分に、僕が戻ってきた意味というか、オジサンの知見が必要なんだろうなと思っていますね。」
田嶋(プレゼン資料を見せながら)「我々よく"TGC x 100"と言ってるんですけど、若者のライフスタイル全般を当然扱える、そこにリーチできるはずなんですね。『ファッション』はもちろんですが、『旅行』であったり『仕事』であったりですね。まだ手が付けられていないですけど『暮らし』であったり『学び』であったりも、できることのひとつです。」

この絵にある『BODY ARCHI』というのは?
田嶋「これも青木が立ち上げた事業なんですけど、ネクシィーズグループさんと一緒にやっているセルフエステ事業です。他と違ってTGCの名前が付いてないですが、実はTGCを使ってバリューアップさせながら、さらに先の展開を考えている事業ですね。」

オジサンとか言いながらセルフエステとか、青木さん発想が若いですね。
青木「吉本で鍛えられたんだと思います(笑)」

例えばバリューアップのためにTGCをどのように使われるんですか?
青木「『BODY ARCHI』の場合は、実際にTGCのステージ上でモデルさんと一緒にセルフエステのデモをやってるんです。そこで皆さんに知ってもらうことができました。僕らにはTGCという巨大なオウンドメディアがすでにあるというイメージです。」

なるほど!スタートアップで言えば、自社製品やサービスの認知拡大のためにオウンドメディアを立ち上げて、頑張って少しずつ成長させていく、という一般的なマーケティングプロセスは、TGCがあるからもう必要ない。
青木「その通りです。それは、やはりTGCがある僕らならではのことだと思いますし、そこが他社にはない強みだと思いますね。」

今日は色々と勉強になりました。ありがとうございました。
青木・田嶋・礒「こちらこそありがとうございました。」

W TOKYOについて

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株式会社W TOKYOは、東京ガールズコレクションで培ったノウハウを武器にしながら、「女性」を軸として、自社オリジナルコンテンツとソリューションを掛け合わせることで、世の中に新たな価値を提供している会社です。スタートアップとしてはもうかなりレイターステージまで進んでいますが、代表の村上さんを、最近戻ってこられたCOOの青木さんや、優秀なるCFOの田嶋さんが支えるという体制で、今後さらなる飛躍を遂げようしています。

次の東京ガールズコレクションは2020年2月29日(土)に代々木第一体育館で開催されます。僕も前回初めて観覧させていただきましたが、若い人たちの熱量を肌で感じることができますし、あの巨大イベントを操るW TOKYOの高い運営能力も見ることができます。まだ体験していない方はぜひ参加してみてください。

なお、男だけのグループでの参加は禁止されているので、僕のようなオジサンの方は、奥さんか娘さんをそそのかして連れて行くと良いと思います。


さて、時間のキリがちょうど良いので今回はこれくらいにして、また次のnoteにつなげていきましょう。良かったらコメント・高評価・チャンネル登録・あとTweetをしてくださると嬉しいです。では次回、スタートアップ取材記事でお会いいたしましょう。今回はこの辺で。

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