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「バンライフ文化を日本にも根付かせたい」5,000万円調達のCarstay、宮下CEOが横浜の倉庫で描く夢

皆さんこんにちは。藤原です。今回のスタートアップ取材記事は、キャンピングカーのシェアサービスに代表されるバンライフプラットフォーム事業を展開するCarstayを取り上げます。彼らはこの夏、5,000万円の資金調達を発表したニュースが記憶に新しいところ。

今回、Carstay代表の宮下さんに新たな取り組みも含めてお話をうかがうことができましたので、ぜひご一読ください。Carstayはいいぞ。

この記事の登場人物

Carstay株式会社 代表取締役CEO 宮下晃樹氏(バナー写真)
藤原弘之(質問内容を太字で記載)

「帰国子女なのに英語しゃべれない」コンプレックス

今日はよろしくお願いします。そもそも宮下さんはどういうキャリアでスタートしたんですか?
新卒でデロイトトーマツに入社しました。学生時代は特にやりたいこともなくて(笑)、漠然と将来海外でのんびり暮らしたいなと思ってたんです。その為には資格があった方が良いだろうと思って公認会計士の勉強をして、その流れでの就職ですね。社会人としてのキャリアの初めは大企業の会計監査をやっていましたよ。そんな風には見えないってよく言われますけど(笑)

ちらっとプロフィール拝見しましたがロシアにもいらしたとか?
幼少期ですね。2歳から7歳まで両親の仕事の関係でモスクワに住んでいました。ロシアだったので帰国子女なのに英語がしゃべれないというコンプレックスに見舞われまして(笑)、何とかしたいと思って大学生の時にアメリカに行きました。人生の三分の一くらい外国人として海外で過ごしていた体験があったので、逆に日本を訪れる外国人の方にも、せっかくだから良い体験をしてもらいたいと思うようになりました。

それで訪日外国人に向けたツアコンのようなビジネスで独立を?
いえ、デロイトで会計士をやりながら好きでガイドをやってたんです。当初は1人でやっていましたね。その後、東京オリンピックが決まったこともあって市場が一気に盛り上がったんですが、当時は日本で訪日外国人をガイドする団体というのがほとんどありませんでしたので、僕がNPOを立ち上げて、ガイドサービスを本格的にやり始めました。しばらくして100名規模くらいの団体になりまして、もう会計士も辞めても良いかなと思い、2016年にデロイトを退職しました。

そこから今のキャピングカーというか、バンライフのビジネスに変遷していった過程に興味があります。
僕らのガイドも、初めは都市部だけだったのが、観光客が徐々に地方にも行くようになったんです。僕はクルマの事とかよく知らなくて、典型的なインドア派の人間だったんですが(笑)、旅行者から求められるので、自分でバンを借りて地方の観光地やキャンプ場に連れていったりしていました。そうこうしているうちに、自分が動いて全部やっていくのはかなり無理が出てきました。NPOの方も規模が大きくなってきましたし、これはちゃんとしたビジネスにしないと大変だぞと。それで2018年にCarstayを立ち上げました。

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「人がクルマで寝るわけないだろ」を覆す実績

会社立ち上げ時からメンバーはいたんですか?
いえ、登記した瞬間Facebookで「こんなスタートアップを立ち上げました。協力者求む!」みたいな投稿をして仲間集めからスタートしました。そしたら2人協力してくれまして、僕を含めて3人でやっていたんですが、すぐ資本金の270万円を食い尽くしまして(笑)、資金調達も苦労したので割と大変でした。ただ、プロトタイプが完成して、それが結構評判良かったんです。

どういうサービスだったんですか?
車中泊で旅をしたい人が、クルマを停めてもよい場所を探せるサービスです。Googleマップと連動していて、車中泊したい旅行者と、土地という遊休資産をマネタイズしたいオーナーさんとのマッチングビジネスですね。

なるほど。自分のキャンピングカーであちこち旅行したい人が主に使うサービスだったんですね。
絶景とか秘境とか、そういう所に車中泊で旅をしたいんだけど、停めて良い場所を探すのが大変という人のペインを解消するビジネスですね。キャンプ版Airbnbで、アメリカだとHipcampが似てますね。

当初はそのサービスで資金調達活動を?
はい。でも、プロトタイプができる前はやっぱり大変でした。「人がクルマで寝るわけないだろ」とかボロカスに言われて(笑)、会計士だったので数値は強い方だったんですが、その数値を見せても結構難しくて。ただ、仲間ができてプロトタイプができたら少し認められるようになり、最終的にライフタイムベンチャーズさんにシード時はリードVCになっていただけました。

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『ニワトリタマゴ問題』の解決には順番が大切

今のCastayのメインサービスってキャンピングカーのシェアリングですよね。先ほどお聞きしたビジネスとは若干ピボットされていて、こうなった経緯に興味があるのですが、このビジネスは初めから狙ってたんですか?
実はキャンピングカーのシェアリングは初めからやりたいなとは思ってはいました。でも急に始めようと思っても、キャンピングカーのオーナーさんってどうやって出会ったらよいのか全く分からなかった。だから先ずはキャンピングカーのオーナーさんによく使っていただけるようなサービスを展開することで、彼らとネットワークを獲得したり、彼らのニーズを把握したり、色々できるなと思ったんです。そして次の展開として彼らに「そのキャンピングカー貸しませんか?」という順番だったんです。

確かに「AとBをマッチングするプラットフォームです」って感じでカジュアルに事業計画される方も多いですが「そのAとBはどうやって集めてくるのか?」という所謂『ニワトリタマゴ問題』に対する明確な解を持っていないケースって結構ありますよね。
そうですね。ゼロからマーケティングだけでニワトリもタマゴも連れてこようとしたら、それこそめちゃくちゃ手間もおカネもかかります。弊社の場合は、マッチングの片方であるキャンピングカーのオーナーの方々は、元々の車中泊可能場所検索サービスの提供先としてお付き合いがあります。あとはもう片方のキャンピングカーを借りたい人を連れてくることに注力すればよくて、とても分かりやすいです。

その流れは綺麗ですね。そりゃ出資しますわ(笑)
ありがとうございます(笑)。とは言え実際に実行するのはめちゃくちゃ大変でしたけどね。あと、その先にはこの『バンライフ』というものをライフタイムバリューとして見たときに、「キャンピングカーを買いたい」というニーズも後々に出てくると思います。その時にはまた僕らのサービスで色んなキャンピングカーを試していただいた後に、販売の仲介までできるようになっていけたらと思っています。

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横浜の倉庫で描く夢

今日はこの横浜の倉庫にお邪魔していますが、この場所について改めてお聞きできたらと。目の前にヨットハーバーがあって、高価そうなクルーザーがいっぱい停泊してありますけど(笑)
仕事終わりに海に出てみんなでビールとか、夢が広がりますよね(笑)。元々は造船所だったみたいですよ。たまたまここのオーナーさんと知り合う機会があって、この倉庫を弊社がプロデュースできることになりまして。

そもそもどうして倉庫を使おうと?
この会社を立ち上げたときから、本社をクルマにするというのは絶対にやりたいことの一つとしてありまして、大きいトレーラーハウスを買ったんですよ。12m x 3.2mくらいの。

それはデカい(笑)
かなり大きいので、その置き場所を探していたのが着想のきっかけです。色々調べて思ったんですが、何もないところに何となく置いても意味がないなと。せっかくトレーラーハウスを置くんだったら、そこでCastayとして何か別のこともやれるような場所ってどこかないなかなと思ってたときに、たまたまここのオーナーさんと知り合って、活用法を模索し始めた感じです。

ここはどういう施設になるんですか?
モビリティxモバイル5Gで未来実験をするラボラトリーということで『モビラボ』と命名しました。実は、Carstayがビジネスをやる上で、必要だなと思うことが2つありまして、ひとつは『リアルな場所』です。これは絶対あった方が良いと。次に『僕らが考える未来感をしっかり伝える事』です。それをこの場所でやっていこうと思っています。

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リアルな場所って、案外重要ですもんね。
キャンピングカーのイベントをやると絶対に人が集まるんです。皆さんやっぱり興味はあるんですよね。去年は幕張などで複数のイベントに出展したんですが、ものすごい数の人が来てくれました。理由はキャンピングカーをこの距離で見たり、中に入ってみたりできる機会って、そんなにないからだと思います。

確かに憧れはあるんですが、実際に見たり乗ってみたりできる機会がないと、どういうものかわからないですよね。
それを実感したのが医療用のバンシェルターを展開したときだったんです。お医者さんとか看護師さんとか、皆さん初めてキャンピングカーの実物を見るという方がほとんどでして、仕事の初めの方は真面目に感染対策としてのキャンピングカーの活用法の話をするんですが、後半なると「これ、買ったらいくら?」とか、「ウチの庭に置けるかな?」とか、皆さん興味津々になるんですよ(笑)

そういった現物を体験できて、さらにCastayが考えるバンライフカルチャーというものを表現できる場所としてここを活用していくと。
毎回イベントに出展したりとか、その度にキャンピングカーを運んだりとかするのは大変じゃないですか。だったら、常設のリアルの場所として確保できれば、営業活動だけでなく、未来に向けてのブランディングにも利用できますし、こういう場所は僕らには必要不可欠だと思いますね。

これから創っていくと思いますが、一般の方が来場できるようになるのはいつ頃ですか?
来年、2021年の3月頃を目指しています。その頃にはレンタカーもやろうと思っていますので、ぜひキャンピングカーを体験しに、そしてレンタルしにきてください。絶対楽しいですよ。

今日はありがとうございました。この倉庫の発展を楽しみにしています!
こちらこそありがとうございました!

Carstay株式会社について

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Carstayは『誰もが好きな時に、好きな場所で、好きな人と過ごせる世界をつくる』をミッションに掲げ、2018年6月に創業した新進気鋭のスタートアップです。

「VANLIFE(バンライフ)」という、車を通じた旅や暮らしにより、人生を豊かにすることを目的として、荷台スペースが広い車“バン”を快適空間に作り変え、車を働く・遊ぶ・暮らしの拠点とする“ライフ”スタイルのプラットフォームを創っています。

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