「自閉症fuco:と仲良くなる」マニュアルにも似たモノ
「街でfuco:さんと会った時にして欲しいこと、して欲しくないことは何ですか?」今回はフォロワーさんからの質問を深掘りしてみたいと思います(ステキなクエスチョン、ありがとうございました!)。
ちなみに彼女はそのただならない雰囲気からすぐ障害がありそうだと気づかれる、知的障害がある重度自閉症です(笑)。どう接したらいいのだろうかと、思われるのすごくわかります!そして、さらに関わりたいと思ってくださって、とても嬉しいです。
では最初に逆質問です。「あなただったら、どんな風に接して欲しいですか?」
これは人の数ほど回答があるのではないでしょうか。話しかけられたくない人も、初対面で誰とでも仲良くなる人、それぞれですよね。障がいがある人、自閉症の人も同じく人それぞれだと思います。
fuco:は人といるのが好きな自閉症です!
自閉症の人はコミュニケーションが苦手で、一人でいることが好きと思われがちですが、それとこれは別で、fuco:は人が大好きです。だから彼女にとって「あなたのことが好きだよ、仲良くなりたいよ」の好意はいつだって大歓迎。それは初対面だとしてもです。
話しかけても言葉で返事がない、一生懸命こちらは話しているのに顔さえみていない、そんな時も実はしっかり聞いているかもしれません。顔さえみないのはみることより、聞くということに集中している可能性さえあります。
あなたは仲良くなりたいし、彼女も仲良くなりたい、お互いに出会った時、準備はすでにできているというわけです(恋愛か笑)!というわけで、アンサーは「仲良くなるには」にステップアップさせたいと思います。
まずは彼女がしていることを見る
もしばったりとどこかで彼女に会ったとしたら、彼女が何をしているか観察してほしいです。週3通っているジムですが、「車から降りる~車に戻って乗車する」までが彼女にとってのノンストップなアクション。
その間の行動をご説明いたしますと、靴を脱ぎ靴箱に入れる、母からお金を受け取りチケットを購入する(お釣りはとらない)、靴箱の鍵とカードと一緒に受付する(早く受付したいので並ぶのは苦手)、着替える、靴を履く、ランニングマシンを母がセットし、歩く(35分)、マッサージマシンをする、荷物をとって受付で鍵を返す(帰りは着替えず冬でも半袖)、車へゴー。
このノンストップ具合は、はるかにみなさんの想像以上。こういう時に声をかけていただいても、なかなか止まることができませんので、ゴール地点でお待ちいただけましたら幸いです(笑)。
エスカレーターやスケルトンのエレベーターなんかも、ときめいた目で見ているかもしれません。高いところも好きです。
そばに座って、どんな音がするだろう(BGMの重なり合い、人々の話し声、信号の音、交通機関の音、空調音)、何が見えるだろう(動くもの、明るさの変化、照明の細かな点滅)、全てを吸い込むかのように感じている彼女の耳や目に(勿論鼻も)なってみる、その共有自体が黙っていてもコミュニケーションなんだと思います。
他にも彼女は音楽が何より好きなので、これぞの笑顔で横揺れでノっていたら、中断させずに一緒に横揺れてくださいね。照れたりしないで!いつどこでもしたいことを全力で愉しむことは彼女から学ぶ人生訓の一つになるでしょう。
彼女に話しかける時のコツ
返事はあまりしないと思いますが、話しかけてもらって大丈夫です。見ためより言っていることはよくわかっています。その時のコツは…
①年齢相応に接する
知的障害があると特に、幼児言葉で話しかける方がいらっしゃいますが(親切で)、その必要は全くありません。幼児言葉で話すからわかるわけではなく、いつも使っている言葉の方がわかります。そして、彼女は現在23歳で、自分がもう子供ではないと理解してます。
②言葉は短く標準語で
話し言葉は彼女にとって聞き取りにくいことが多く、長すぎると頭に残らないです。
例えば彼女の日課の洗濯干しで「お父さんが8時に会社に出かけた後に、都合が良かったら干しといてくれない?」でなく、「お父さんが出かけたら洗濯干しといて」と、彼女に必要な情報を短いセンテンスで伝えます。
あるいはわかりやすく分解するのです。「後でふうちゃん洗濯干してくれる?」「お父さんが仕事行った後でね」内容によってはメモで文字で書き、誤解がないようにもします。
私たちにとって習いたての外国語のヒアリングみたいな感じかもしれません。だから、長々と話しかけられると困ってしまうと思います。「fuco:さん、こんにちは」「fuco:さん、お腹空いてる?」最初に名前を呼んで、話し始めると更に自分に話しかけているんだなともわかります。
③本人に確認する
話していく中で「これはどっちがいいんだろう」という時は、是非本人に聞いて欲しいです(そばにでしゃばりおばさんがいたとしても)。
ただ「何がいいですか?」という聞き方は答えにくいので、例えば「ジュースはオレンジとりんごどっち?」という風に答えは絞ってください。指で示して選んでもらうというのも効果的です。
もしそれでも選ばないときは、彼女の答えがそれ以外にあるか、今は欲しくないという時です。選ぶ時にはそれが今欲しいというだけでなく、こだわりでパターン化している時もあるので、それは周りにいる人に聞いてもらってもいいですね。
ちなみに質問には納得できたらしっかりうなづきますし、嫌な時は「しない、嫌だ」と言葉で言ったり、首を振ったりします。ほら、あなたも段々彼女に話しかけたくなってきましたね(笑)。
そして彼女の好みのタイプ
私たちと同じく、彼女にもわかりやすい好みはあります。以前は少し男性が苦手でしたが、素敵な男性にたくさん出会ったおかげで(笑)徐々にそんなこともなくなりました。
ぐいっと距離を近づけて大きな声で話す人より、穏やかでそっとそばにいてくれる人は好きです。そしてその後自分がグイグイいって相手を戸惑わせるのが得意技です(笑)。仲良くなったと向こうが思った途端に塩対応、男性には特にツンデレです。
年齢は自分と近いか少し上の方が好きですが、それはあまり上になると向こうがこうしろああしろと言ってくるからではと思っています(笑)。小さな子供は急に大きい声出したり泣いたりするので苦手です。昔はおもちゃ売り場で泣いたりしている子を見つけたら、走っていってどついたりしていました…昔ね…
相手をとてもよく見ていて、その人に合わせるところがあるので、一緒にいると優しさも感じると思います。歩いていて相手がゆっくりだったら自分もゆっくり歩いたり、絵を描くときもスピードを合わせたり。とはいえ、また油断しているとものっすごい置いていかれます!
注意することとしては、前を見ずに下を見て歩いていて人にぶつかりそうになる、タグとかちょっとはみ出したものを引きちぎりたくなる(剥がれかけのシールとか)、行列にじっと並んで待つのが難しい(トイレとか)、落ちているものをなんでも拾う、ちょっとしたゴミを口に入れる、落ちているものを投げる(ペットボトルを車道へは危険)、自分のもの以外を自分の好きな配置に動かす、割とヘビー案件もありです。
見かけた時に、彼女が危険でないように、誰かに迷惑をかけないように、守ってくださったら本当に助かります。
でも、たいしたことがないことは、もし多少奇妙でもそっとしておいてもらっていいです。彼女が全てこちらに合わせる必要はないですから。
アートがコミュニケーションに大いに役立ったところ
アートを始めるまで、人が好きだけどどう関わっていいかわからず、fuco:も相手も困っていたと思います。アートを始めてから、誰かに会う時にその場で描く、名刺を渡す、写真を撮るなどの共通のパターンができました。
これは本人にとってとても安心できること。この人に会って、こんなことをしたとよく覚えていて、それ以降も楽しみにしていると思います!
これからの彼女の長い人生は出逢いで決まる!
アートを通じた「一緒に描く」は勿論、「一緒にご飯を食べる」「一緒に歩く」「一緒にどこかに行く」いつでも何でも大歓迎!
支援だけでない、友達としても関係性が広まるような声かけはとても嬉しいです。人生はこれからも出会っていく人たちとの関係性で、いつだってお互い豊かに広がっていくのだと思います。
好きなことは音楽を聴く(流行りのポップなもの全般からクラシック)、ピアノを弾く、パズル、プール、温泉、遊園地で絶叫マシンに乗る、乗り物全般。好きな食べ物はいくら、刺身、寿司、生ハム、チョコレート、チーズ。高級志向でコース料理も大好きです(初孫なのでじいちゃんたちがいいもの食べさせすぎた…)。
是非機会があればご一緒しましょう!結構気持ちも通じるし、笑い合えるし、穏やかだし、優しいです。油断は禁物ですけどそれがまた楽し(笑)
それでは、最近のfuco:の様子をご覧いただきながら、また次回5/15お会いいたしましょう!今回も長文ファンの皆様ありがとうございました!
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