やたらとこだわる自閉症fuco:の事件簿と我が家流考察
初めましての方へ。現在23歳の知的障害がある自閉症fuco:。母の何気ない一言で16歳からマルを描き始め、アートから世界が広がればと個人で活動、その様子を母yasuco:が発信しています、
世界が広がる、といいな
fuco:は自閉症という障害があり、3歳程度の知的レベル、障害区分判定では６段階で上から２番目の５、手帳なども最重度のものを取得しています。自分から言葉で何かを伝えることはとても難しいです。
平均値から遠いことは沢山沢山ありますが、今回は彼女の強烈な「こだわり」について、皆様にご披露したいと思います。こだわりこそが彼女を形づくっているからです。
こだわり其の一 （彼女にとって）必要ないものは外したい
以前はパジャマのポケット（確かにそこに何かは入れない）や、デニムのベルト通し（彼女はベルト使用したことがない）を熱心に外していました。パジャマってシャツタイプだとポケットがあるものが多いの、なんなんですかね？いらんですって。
これを隠す場所が彼女にはあるのです。
よってすぐバレる！
そして、今は洋服のタグです。いかんせん全てオールハンドですので、周囲が多少なりと…先日は私の高級ダウンジャケットをビリッといかれ、他の家族から「よかったね、見えないところで。縫えるね！」と慰められました。そして結局まだ直してすらない私…（一層気にならなくなる雑な性格万歳）
縫おうを決めてます（笑）
本人もしてはいけないという意識はあるのですが、取りたい衝動がとても強く、止めるのはなかなか難しいです（今「取りたいです」と伝える練習をしていますが…）。
うちの家族は、傍にちょっと穴があるのは普通というか、そんな制服のシャツとか着て行っています（笑）。紙製の値札とかとるのと同じ感覚で、彼女にはどうしてそっちは良くてこれがダメなのかわかりません。難しいのですよ、確かに。
ちなみに「必要ない」ともまた違うのですが、「異素材の組み合わせ」ってやつにも反応します。オシャンティな異素材の靴下や服、かなり高確率で被害に遭ってます…
二つにしたのは見事すぎた！
とはいえ、ピンクのマカロンは何年も大事に片時も離さず持っています。彼女は超絶シンプルな人なので、自分にとって大事なものとそれ以外のギャップがとてもとても大きいです。
そういう意味でアートドレス3着がまだ全くの無傷なのは本当に奇跡だし、彼女にとって限られた価値あるモノ（マカロン、イヤーマフ、iPod）に並ぶんでしょうね。
彼女をみていると、人生で不必要なものを私たちはなんて多く持っているんだろうと思います。片手で数えられるくらいの大事なものなんだろうって、考えたくなります。
このマカロンも有名になりますねと
コメントいただいたことも…
無傷なのないかも。
そのくらい特別な洋服です！
こだわり其の二 きちんと並べたい、独特のセンス
彼女は起きている間中とにかく忙しいです。並びに強いこだわりがあって、自分好みにしたいので、常に家中あらゆるモノの場所をくまなくチェックして、並べ直しています。家にあるモノを一番把握しているのは彼女です。
冷蔵庫の中もいつもチェックしていて、備蓄の水とかも全部入れて、新しく入らないくらいギッシリ平らに置きます…そして普段はつまみ食いとかほとんどしないのですが、ラスト一枚のハムやお菓子を見つけると、空にしたいのでツマミます。以前はトイレで、トイレットペーパー使い切りたくて盛大に使用し詰まらせて、あちこちでご迷惑をおかけしました…最近は卒業しました！
ときめくものは何も入ってません
ソファの上クッションを並べて、座る場所がないとか、トイレの中の掃除用具などと一緒に、スリッパもギュッと奥に置かれていて履けないとか、飾り物がどっちかにギュッと寄せられていて全然オシャレでないとか。
とにかく機能性や目的はこれでもかと完全に無視するのです。まぁ、価値観の違いでもありますので、こっちはまた直す、向こう気づいたらまた直す、この繰り返しが我が家では延々と続いています。どっちもしつこく諦めないぞ(笑)！
こだわり其の三 モノの置き場のこだわり
我が家2階にそれぞれの部屋があるのですが、彼女はいつもあちこち勝手に入っています（笑）。高校生の弟の部屋は特別に乱雑なのですが（汚いとも言う）、簡易式のハンガーラックに彼女がありったけ洋服をかけたので（畳んで棚に入れず）、ある日みたら倒壊していました。そして、その中で普通に暮らす弟（笑）。
妹と弟は同じ高校に通っていて、体操服の色だけ学年によって違うのですが、fuco:は全て弟の部屋に投げ込みます。弟は次女にJKの服を部屋に隠し持っていると怒られていました。デニムは一見誰のかわからないので、fuco:セレクトで片付けられて全員いつも探しています。
いっとき問題になったのは、fuco:の水着の下、JKがスカートの下に重ね履くアンダーウエア、父親の下着、全部黒でしかも少し似ていて、誰かが悲劇を見るということが…自分のことでなかったらいつもかなり面白いです！
プリントなど紙類の仕分けも、いつも大問題。彼女は文字からは限られたものしか情報を得ないので（自分のカレンダーやスケジュール）、その他のプリントはただの紙、文字も絵が描いてあるのと同じです。そういう時はまず推理！ゴミ認定されていたらゴミ箱に、サイズや形によって、似たようなものとまとめて置かれています。
誰にとっても心地いいので、頑張りたい！
けど頑張れない（笑）
本は読みかけをすぐ取りやすいところに置いておくと、親切な彼女に本棚に片付けられます…「本は本棚に」はとても正しいです。
私が読みかけを最後まで読みきるのは難しいし、もしスムーズに読み切れたら、それは当たり前でなく幸せなことです、ブラボー！
こだわり其の四 モノのほつれを見逃せない
他にもあらゆることが目につくし、気になって仕方がない人です。何でも使っているとちょっと痛んでほつれたりするじゃないですか、それを見逃せない！ビリッとしてしまいます…
最近やらかした大きなものは父親の部屋にあった座椅子。何年も前から使っていたので、少しほつれがあったのだと思います。
やり出したら夢中になったけど、ゴミを片付けさせられ、そのままそこに置いておくように言われ、テンションダダ下がり、スピードはかなり鈍ってました（笑）。
ウレタンを散らかしたので
片付けさせられているところ。後悔してるはず
自らストップしています(笑)
モノを購入する時、安価なものを買うとほつれが早く出やすい、かといって高価な服などをビリッとされたら腹がたつ。悩みますね…でも、破られる前提で購入せず、壊さないで使って欲しいと伝え、勿論攻めの姿勢です。
こだわりから事件が起こった時にどうするか？
まず当たり前ですが、その理由を考えます。少しずつこだわりプラス理由がありますから。いっとき家で着ている服の洋服破りが続いたのですが、よくよく見ていると彼女なりの（自分で選んでいる）服ルーティンがあるということがわかりました。
即着用（笑）
それなら、彼女が自分で出した後で、その日の天気などを話し、必要なら納得してもらって変えれ
ばいいわけです。本人に聞かず押し付けた親が悪い。
暇だったというのもよくあります。エネルギー量がとても高い彼女なので、していることがつまらない、熱中できることがなくてイライラしているということも。
その時々でこだわっている行動も、できれば問題にならない別の行動に置き換えられないか考えます。タグ取りが続いた時は、古着物の解体？を教えてもらって始めて、とても楽しそうにしています。
誰かに迷惑をかける行動は、まず理由を考え対応し、勿論ダメと禁止しますが、これはいいよというものも同時に提示できたらいいなと思います。誰だって禁止ばかり言われたら嫌ですもんね！
こだわりはこだわりとして
彼女のこだわりで一番実害を被っているのは家族だと思うのですが、妹にそのことについてどう思うか聞いてみました。「個性的だなと思うけど、特になんとも思わない」そうです（笑）。百点満点の解答、うまいこと育っています！
勿論ものを壊したり、譲れなかったり、誰かに迷惑はかけないようには一番教えたいこと。だけど、彼女のこだわりが全てなくなるというのは想像できないし、もしそうなったらだいぶ寂しいなと思っています。
そう、価値観は値段だけではないから！
アートをするようになって、こだわりが形を変えて、ちょっとチャーミングにもなってみえ、余計に好きになりました。描くことは全てfuco:の自由。彼女の好きなように、思いっきり並べばいいし、塗ればいいし、遊べばいいのです。彼女のこだわり全開で！
その人を思い出した時に、頭に浮かぶのがそんなこんなの何かこだわりで、ちょっとクスッと笑える関係だったらお互いに余裕があって素敵だなと思います。
最近やっと障害は社会がつくるっていう言葉に少し共感しています(今までは迷惑をかけないようにが強く)。ちなみに弟はfuco:から実害があると「お前の教育が悪いせいだろ、弁償しろ！」と騒ぎます。それもまた真実なんですけどね（笑）。
それでは彼女のこだわりとアートを存分にお楽しみくださいませ！！
独特のセンス
乾かすなんて目的があるなんて知りません
かけやすくはありますが、傷は必須…
ベッドメイキングは大好き
彼女のこだわりも日々変化しているからこその、描くものも変化していきます。いつもこだわりイコール彼女。
あなたのこだわりはなんですか？自分で思うより、誰かからみるとそれはきっと個性的な魅力。というわけで、あなたの私の彼の彼女のこだわり、万歳！！！丸くなるな！ですね。
ではまた次の更新は4/1です。今回も長文ファンの皆さま、お付き合いいただきありがとうございました！
#自閉症#知的障害#アート
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