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アニメーション演出など

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「君たちはどう生きるか」感想

自己と向き合う児童文学を映像化する事は難しい。アニメーションにおいても、原恵一や細田守、宮崎吾郎などなど過去挑んできたけど、題材が持つ臭みを抜けきれなかった。そこを宮﨑駿は絶妙に交わしながら作品にしてみせた。 ただ、他のアニメ監督が扱うような題材を宮﨑駿が作ってしまった感もあり、同じ土俵に下りてこないのが宮﨑駿の良さでもあったはず。(劇中の下の世界に降りると言うのは、そういう意味か?) 肩肘張らず、素直に作った若々しい作品と言えるかもしれない。 それ故か、作品に込められた

    • 妄想スパイダーマンNWH

      「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」を観た。アベンジャーズ本体の話以外はどうしても小物になりがちだったその他のMCU作品の中で、今回はかなり重要な位置付けの作品であり、映画としてのスケール感や完成度も高かった。 が、途中から少々"物足りなさ"も感じた。本編を観賞しながら、僕が期待した事・妄想した事を雑多に書いてゆく。 妄想① 善悪の反転映画前半で、罪を犯した者たちがどう更生するのか、社会復帰するのか、またはメンタルヘルスの話である事が、過去のスパイダーマンシリーズのヴィ

      • シン・エヴァ論:|| 『マリとは誰なのか?』

        庵野秀明と僕結びとして、もはやファンにとってマナーとも言うべきエヴァ語り、極私的な僕個人の体験でこの場を締め括りたい。(もしここまで読んで頂けた方がいるなら、本当にありがとうございます。) 「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」が公開される今から17年前。2004年春、大学3年の終わりの僕は、NHK「トップランナー」の番組観覧に来ていた。ゲストが庵野秀明であったからだ。 エヴァ直撃世代の僕は、「Air/まごごろを、君に(通称・夏エヴァ or EOE)」を境にアニメから卒業

        • シン・エヴァ論:Q 『”硬いアニメ・序破Q”からの脱却』

          ”硬いアニメ・序破Q”からの脱却新劇場版の企画およびシリーズ構成段階から、凡その流れはおぼろげながら決まっていたと思う。所謂、物語の鉄則・三幕構成に則っているからだ。 【起・一幕目】主人公が日常とは違う非日常に誘われ(序) 【承・二幕目前半】そこから破竹の勢いで成功するが(破) 〜ミッドポイント・ニアサー〜 【転・二幕目後半】自分の行いが過ちであることを責められ絶望するも(Q) 【結・三幕目】自分の殻を破り覚醒し、かつての日常とは違う日常へと帰還する(シン) ※三幕構成に

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        • 映画雑感
          2本
        • 庵野秀明
          4本

        記事

          シン・エヴァ論:破 『”シン・エヴァ”に見るこれからのアニメーションの在り方』

          京アニ事件のアンサーとしての”シン・エヴァ”2019年7月に京都アニメーションで陰惨な事件が起きる。アニメーション制作に従事する者の誰もが、大変な戦慄を覚える出来事だった。 業界でも屈指のスケジュール管理やクオリティー維持を実現していた京都アニメーションには、ただただ実直に、真面目に作画机に座って作業している方々が他の制作会社以上に多く在籍していたと思う。それだけにその方々が無慈悲で野蛮な暴力に襲われる地獄。アニメーションスタジオの光景を知る者として事件の様子が想像できるだけ

          シン・エヴァ論:破 『”シン・エヴァ”に見るこれからのアニメーションの在り方』

          シン・エヴァ論:序 『震災と庵野秀明』

          ※注意喚起※  一応アニメーションに従事する身ですが、これから記す事は庵野さんやスタジオカラーさんとは全く関係のない、単なる僕個人の妄想・妄言です。1人の観客として「シン・エヴァ」から受け取った余りにも多くの事に対する感謝と敬意を払いたい。”こういうアニメの見方もあるよ!”と言う、「シン・エヴァ」に対するマインドセットの一助になれば幸いです。 庵野秀明の”こころ”の変遷電気描写へのこだわりと見学 ーー話は前後しますが、制作に入る前に見学に行かれたということで、そのあたりも

          シン・エヴァ論:序 『震災と庵野秀明』

          佐藤伸治が触れたもの

          「映画:フィッシュマンズ」を新宿バルト9で鑑賞。 リアルタイムでは知っていたし、佐藤伸治が亡くなって数年遅れでCDも買って聴いていたが、ピンときていないぐらいのリスナー。小室哲哉の楽曲がひしめくカウントダウンTVの中で、エンディングテーマとしてタイアップされていたフィッシュマンズ。(wiki調べだと97年の夏頃) 田舎生まれの僕は「変わったバンドだな。」と初めてそこでフィッシュマンズを認識した程度であった。 彼らの音楽を聴ける"耳"になるには、昨今の北米を中心とした海外評価の

          佐藤伸治が触れたもの