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推しメンに「結婚おめでとう」を告げるタイミング

 僕が元モーニング娘。の石川梨華ちゃんにヤバいくらいガチ恋していたとき、多くの人からよく言われました。「オタクが石川梨華にガチ恋したって無駄だよ。付き合えるわけないんだから。いつまでもアイドルにガチ恋なんてしていないで、普通の女の子に恋しなよ」と。

 そのたびに僕の脳内では、「男と女は分からないわ。ロジックじゃないもの」という台詞が再生されました。『新世紀エヴァンゲリオン』の赤木リツコさんの台詞です。リツコさんは天才的な科学者であり、非常に理性的で現実的な女性ですが、それにもかかわらず破滅的な激しい恋をして身を滅ぼします。そんなリツコさんが「男と女は分からないわ。ロジックじゃないもの」と言うとすごく説得力があります。

 僕も頭では、「梨華ちゃんにガチ恋したところで叶う可能性は極めて低い。梨華ちゃんへのガチ恋なんてただちにやめて、普通の女の子に恋をするべきだ」と分かっていました。分かり過ぎるほど分かっていました。でもそういうロジックとは全く別のところで、僕は梨華ちゃんに激しく恋をしていたのです。

 そして僕はそのまま梨華ちゃんにガチ恋をしつづけて(合計15年くらいガチ恋しつづけて)、最終的には失恋をしました。2017年3月13日、梨華ちゃんがとあるプロ野球選手と結婚をしたのです。僕はその結婚をすぐには受け入れられなかったし、今でも完全には受け入れられていません。梨華ちゃんが結婚してからもう6年くらい経つけれど、いまだに心から「結婚おめでとう」と言うことは出来ていません。

 しかしながら、世の中の“ただしいオタク”たちは、「推しメンが結婚したら、悲しむのではなく『おめでとう』と祝福するべきだ。祝福できないオタクは本当のオタクではない」と主張します。僕は、べつに悲しんでもいいと思います。好きな人が他の男と結婚したら悲しみを覚えるのは、いたって普通のことです。結婚したことで「裏切られた!」と言って推しメンを攻撃するのはもちろんいけないけれど、“ただ悲しむこと”はべつに問題ないと思います。気のすむまで悲しんで、心の整理がついてから「おめでとう」と言えばいい。

 推しメンが結婚して“すぐに”祝福する必要はどこにもありません。「おめでとう」を言うタイミングはいつでもいいのです。「結婚おめでとう」を告げるのが5年や10年遅れたからって、それであなたの推しメンは「祝福するのが遅い!」と腹を立てるでしょうか。そんなことはないと思います。きっと、結婚してすぐに祝福されるのと同じくらい嬉しいはずです。あるいは、熟成された分だけもっと嬉しいかもしれない。

 僕は、「結婚してすぐに祝福できなければ本当のオタクではない」と主張する“ただしいオタク”のことは完全に無視して、あと7年くらいは悲しみに浸ろうと思います。あと7年くらい経てば、さすがの僕でも失恋の悲しみが癒えていることでしょう。7年後、僕は50歳になります。50歳になった僕は、45歳になった梨華ちゃんに対して、握手会で初めて告げるのかもしれません。「結婚おめでとう」と。梨華ちゃん、喜んでくれるといいんだけれど。

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