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Twitterで「こいつは事前に逮捕するべきだ」と言われた悲しい思い出

 もう何年か経つけど、未だにふと思い出してはつらい気持ちになる出来事があります。Twitterでプチ炎上したときのことです。数年前、ある女性シンガーソングライターが、ガチ恋をこじらせたオタクに刺されて負傷するという痛ましい事件が起こりました。当初、その女性はシンガーソングライターではなく地下アイドルとして報じられたため、「アイドルのガチ恋オタクはヤバい」という空気がインターネット中に充満しました。

 そのとき、日本で最も有名なガチ恋オタクであった僕は、Twitterにおいて理不尽にも批判の矢面やおもてに立たされました。当時まだ独身であった石川梨華ちゃんにヤバいくらいガチ恋しているという理由で。まだ何もしてないのに。女性シンガーソングライターを刺したオタクよりも、まだ何もしてない僕のほうが怒られるのは納得いきませんでした。ある人間からは「事前に釘を刺しておこうと思ってね」と言われ、またある人間からは「こいつはそのうちアイドルを刺しそうだから、事前に逮捕するべきだ」ということまで言われました。

 ひどくないですか? 事前逮捕なんて聞いたことないよ。罪刑法定主義は一体どこに行ったんですか? 僕のアイコンがクラゲちゃんで弱そうだからそういう強気なことが言えるんじゃないの? もし僕のアイコンが吉田豪よしだごうのアー写みたいに、凶暴な顔でパイプ椅子を振りかざしていたら、そんなこと言ってこないんじゃないの? まだ何にもしてない善良な人間を、まるで犯罪者であるかのように非難しているわけだから、もはやこれは侮辱罪だと思います。そういえば最近、侮辱罪を定める刑法231条が改正されましたね。

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

刑法 第231条

 という風に。「公然と人を侮辱」には、インターネット上での侮辱も含まれるみたいです。「こいつはそのうちアイドルを刺しそうだから、事前に逮捕するべきだ」は完全にアウトでしょう。いかんよ、こういうことをTwitterで書いたら。逮捕されて1年以下の懲役刑を受けてしまうよ。あるいは30万円以下の罰金刑を。ちなみに、侮辱罪は親告罪だから、侮辱された本人が告訴しないと罪にはならないみたいです。

 僕がTwitterでプチ炎上するきっかけになったのは、フォロワーが何万人もいるインフルエンサーが僕のガチ恋ツイートをリツイートしたことです。そのインフルエンサーはかなりの数の暗黒な人たちをフォロワーとして抱えていたようで、暗黒な人たちが執拗しつように非難のリプライを送ってきました。僕はただ石川梨華ちゃんにガチ恋をしているだけであって、彼女に危害を加えるつもりは毛頭なかったから、自分にそこまで言われるほどの非はないと思っていました。だからそれらのリプライにいちいち丁寧に返信していました。なんで向こうはタメ口で言ってくるのに、僕が敬語を使ってるんだろうと思いながら。それにしても、フォロー・フォロワー外からリプを送ってくる人って、どうしてあんなにタメ口率が高いんだろう。敬語を使うのはそんなに難しいことじゃないと思うんだけど。

 僕はこういう人間です、ていうことをどれだけ相手に説明しても、非難のリプライが止まらないから、だんだん精神的にしんどくなってきました。執拗に非難リプを送ってくる人のホームを見に行ったら、仲間の人たちに僕を攻撃するよう呼び掛けている様子が確認できました。それらの人たちは、僕の想像を絶するほどの暗黒を心のなかに抱えているようでした。僕は半ば本能的に、この連中とは関わり合いにならないほうがいい、と感じました。彼らとやり合っていたら、その心の暗黒のなかに、僕も引きずり込まれてしまうかもしれない、そして二度と普通の世界には帰って来られないかもしれないと。

 僕は暗黒すぎる彼らと議論するのはやめることに決めました。彼らの非難リプに対して冷静に返信したのち、全員ミュートしました。そのあときっと彼らはまた更なる非難を返してきたことだろうが、僕がそれを目にすることはなかった。僕は未だに、あのプチ炎上のときのことを思い出すとつらい気持ちになります。この心の傷はこのさき数十年は消えることはないと思います。

 しかし正直なところ、そのつらい気持ちよりも、彼らの心の暗黒に対する恐ろしさのほうが大きいです。この世の中には、そういう底知れない暗黒を心のなかに抱いている人たちが少なからずおり、その暗黒をきずなとして繋がっているのだということ。ひとたび何かことが起きれば、社会の底のほうから浮き上がってきて、暗黒な人びと同士で連帯し、普通の世界で生きる人びとを暗黒の世界に引きずり込もうとすること。そのことが本当に心から不気味だし恐ろしいです。

 理想を言うなら、そういう底知れない暗黒にも一人の人間としてきちんと向き合うべきなのかもしれない。だけれども、今の僕にはまだその黒すぎる暗黒と向き合う力はありません。もし向き合えば、その暗黒に引きずり込まれるのは間違いなさそうです。そして二度と元の世界には戻れない。今の僕にできるのは、不本意ながら、とりあえずそういう暗黒から逃げて、自分の身体と心を守ることだけです。

 Twitterを鍵かけずにやっていると、このような炎上の危険がつねに付きまといます。それにもかかわらず、僕が一度も鍵をかけたことがないのは何故か? 鍵をかけてコソコソツイートするなんて男らしくないと思うからです。ジェンダーフリーの世の中なのに、男らしくないなんて言ってしまってすみません。そんな雄々おおしい僕なんですけれども、実を言うと鍵アカみたいなものが出来てしまいました。noteメンバーシップって言うんですけど。名前は「ふちりんファンクラブ」です。

 ここでは、ファンクラブ限定記事を毎週1回公開しています。また、掲示板では鍵アカツイートみたいな書き込みをしたりしています。のんびりとした平和な空間がそこには広がっています。もしよかったら、加入してみてください。一緒に「ふみゅう…」とつぶやきましょう。大の大人が「ふみゅう…」と言っていても怒られない優しい世界を、ともに作っていきましょう。よろしくお願いします。

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