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遺族的マイノリティ

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遺族的マイノリティ 2018/11 110枚   前編

遺族的マイノリティ 2018/11 110枚   前編

 夜中に、釜の肌を子細にながめるのが慰めのひとつになった。「子細にながめる」とは、また、なんとも矛盾した表現だが。一ヶ月ほど前に手に入れた、「宝暦年時代」の阿弥陀堂釜だ。とても複雑、繊細、豊かな肌をしていた。堂々としているが、口から肩への明瞭でふっくらとしたライン、繊細で優美な羽おちは女性的で、松園の「楊貴妃」を思わせるところがあった。光の加減や見る位置や角度でこれほど印象ばかりか、まるで違うもの

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遺族的マイノリティ 後編

遺族的マイノリティ 後編

 ページを丸めて菊水の菊花のようになっていた文庫本は、生前の妹の愛読書なのだった。
 「何度もおなじ本を読んでるので、五回くらいは読んだんか、ってきくと、『五回くらいやあらへんよ』って……」
 「あの本は?」と聞くと、ケーちゃんがこたえた。
 
 妹が好きだった食べ物。
 子どものころは、トマトと鶏肉。トマトは、ことにあのトロンとしたゼリーのところ。鶏肉は、皮。私は、両方苦手だった。まさに、妹が好

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