夜職サミット2024 困難女性支援法の施行前夜に考える「歌舞伎町の路上売春」開催レポート
2024年1月14日(日)、新宿の歌舞伎町にて、夜職サミット2024 困難女性支援法の施行前夜に考える「歌舞伎町の路上売春」を開催いたしました
1.今回のテーマ
コロナ禍の最中に注目を集め、今なおメディアによる報道や警察による摘発が続く歌舞伎町の路上売春。
路上に立つ女性たち、声をかける男性たち、女性たちに支援を届けたいNPO、売掛を回収したいホスト、当事者の声を聞きたがる国内外でのメディア、この問題に絡むことで注目を集めたいインフルエンサーやYouTuber、そして女性の性被害を止めたい政治家や活動家など、それぞれの思惑や欲望が複雑に絡み合い、「貧困」「家出少女」「ホス狂」などのワンフレーズのみでは語れない、複雑怪奇な世界になっています。
2024年4月には、様々な困難を抱えて社会の中で孤立・困窮している女性を支援するための法律=困難女性支援法が施行されます。
路上売春の世界は、まさに「困難女性」が集まる空間になっていますが、当事者や支援者の声、及びこの世界を取り巻く様々な社会課題については、まだ十分に可視化・言語化されているとは言えない状況です。
今回の夜職サミットでは、歌舞伎町の路上売春の現場で日々女性たちの支援を行っているNPO法人レスキュー・ハブ理事長の坂本新さん、そして夜の世界を「生き場所」とする女性たちの蠱惑と渇望を描いた小説『トラディション』を上梓された鈴木涼美さんをお招きして、巨大歓楽街の路上に立つ女性たちの現状と背景にある課題について、約120分、トークと質疑応答を行いました。
2.今回のゲスト
◆坂本新(さかもと・あらた)さん
NPO法人レスキュー・ハブ理事長。
大学卒業後、民間警備会社に就職。中南米、ロシア等の日本大使館にて警備・防諜業務に10年間従事。
2013年に国際NGOに転職、2020年4月より現職。繁華街でのアウトリーチを通し、困難を抱える夜職従事者に直接支援を提供している。
2023年11月に刊行された『ルポ 歌舞伎町の路上売春 それでも「立ちんぼ」を続ける彼女たち』(春増翔太・ちくま新書)で活動が取り上げられている。
◆鈴木涼美(すずき・すずみ)さん
1983年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学卒。東京大学大学院修士課程修了。
小説『ギフテッド』が第167回芥川賞候補、『グレイスレス』が第168回芥川賞候補。
著書に『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』『往復書簡 限界から始まる』(共著)『娼婦の本棚』『「AV女優」の社会学 増補新版』『浮き身』などがある。
ホストクラブの受付で働く「私」、ホストにハマる幼なじみなど、夜の世界を「生き場所」とする彼女らの蠱惑と渇望を描く小説『トラディション』を2023年12月8日刊行。
★聞き手 坂爪真吾(NPO法人風テラス理事長)
3.開催風景
会場はほぼ満員御礼!全国から60名近い方がご参加くださりました。会社員、学生、研究者、行政、士業、NPO関係者、夜業界の関係者などなど、幅広い職種・世代の方が集まる場になりました。このテーマに対する関心の高さが伺えます。
第1部:ゲストの座談会「新宿歌舞伎町・路上売春の現在」では、坂本さんからは、支援者の立場から見た「新宿歌舞伎町・路上売春の現在」、「歌舞伎町の路上売春」の背景にある社会課題などについてお話頂きました。
鈴木さんからは、作家の立場からみた「夜の世界を生き場所とする女性たちの蠱惑と渇望」、ホストクラブ、そして歌舞伎町という場に依存する彼女たちの抱える課題などについてお話し頂きました。
お二人の掛け合いも、とても面白かったです!
最後に、2024年4月の困難女性支援法の施行を控えて、私たちにできることについて話し合いました。
第2部:会場との質疑応答では、会場から、ゲストのお二人に様々なご質問が寄せられました。
座談会と質疑応答の内容は、以下の有料記事でお読み頂けます。
終了後のサイン会~交流会でも、多くのご縁や交流が生まれました。
夜職サミット、今年で12周年=干支が一周する期間続いているイベントになっております。今後も、「夜の世界と社会に橋を架ける」場として、企画・運営してまいりたいと思います。
ゲストの坂本新さん、鈴木涼美さん、全国からご参加くださった皆様、ありがとうございました!
4.参加者の感想(紙)
5.参加者の感想(X)
◆2022年~2023年の夜職サミットの開催レポート
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