由眞 2020年11月3日 16:34 朝を待っていた。恐らく近辺で一番大きな樹にランタンを担ぎながら登って、靄が広がる一帯とその境界線を見つめていた。朝と夜の狭間。吐く息が白い。ポケットに入れた手紙。置き去りのやさしさは誰に預けたのか。飛び散ったのは硝子だけではなかった気がして、堪らず膝を抱き締めた。日は、昇らない。 #140字小説 #ss #広がれ文縁の輪 #雨だけの街 #冬靄の街 10 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート