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「頭の良さ」の本質

フルスタックマーケティング株式会社の代表取締役CEO・清水優志です。
企業のマーケティング活動を支援しています。

「頭が良い」って言葉は無邪気にいろんな場面で登場しますが、結局のところどういう意味なんでしょうね。
ということを長年考え続けて、なんとなく結論にたどり着いたので、忘れないようにまとめておきます。

「頭の良さ」は、4つの資質の総合力で決まる

「頭の良さ」には4つの資質が関わっています。

  • 脳に情報を取り込む(インプット)

  • 脳の中で情報を整理しておく(ラベリング)

  • 脳の中で情報を読み込む・処理する(プロセシング)

  • 脳から情報を書き出す(アウトプット)

そして、この4つの資質の総合力こそが「頭の良さ」の正体です。

脳に情報を取り込む(インプット)

インプットは、見たり聞いたりしたものを情報として取り込む能力です。

人は誰しも「見たり」「聞いたり」できるので、このインプットの能力自体は人によって大きな差がないように思われますが、実際はそうではないようで。

最近読んだBooks&Appsの記事にも、長く難解な文章でも考えながら読み解けるような「読めばわかる人」の割合は7人に1人程度ではないか、という話がありました。

そもそも、視覚情報はただの光ですし、聴覚情報は空気の震えです。
インプットというのは、こういった刺激に対して過去の経験からそこに規則性を見出し、意味付けをすることで情報を取り出しているに過ぎません。

つまり、同じものを見たり聞いたりしても、人によって得られる情報量はまったく異なるということになります。
そして、「頭の良い」人は、より少ない刺激からより多くの情報を得られるのです。

脳の中で情報を整理しておく(ラベリング)

ラベリングは、取り込んだ情報を脳内の適切な場所に格納する能力です。

先ほどのインプットが、PCでいう「ファイルを保存する」スキルだとしたら、ラベリングは「フォルダに分ける」「タグを付ける」スキルだと言えるでしょう。

人間は「短期記憶」と「長期記憶」という2種類の記憶を持ちます。
「短期記憶」は一夜漬けして得るような単純な記憶です。一方で「長期記憶」はエピソードや体験、高度な技能、経験的に理解するような概念など、時間をかけて習得するような複雑な記憶です。
そして、ラベリングは「長期記憶」の保存と分類に使われます。

どれだけインプットしても、上手くラベリングできずに記憶がこぼれ落ちていってしまっては意味がありません。
逆に言えば、「頭が良い」人は、単純な記号や知識も他のものと関連付けて「長期記憶」として保持することができる、ということです。

脳の中で情報を読み込む・処理する(プロセシング)

プロセシングは、脳内の情報を必要に応じて読み込み、処理する能力です。

インプットが「点」を手に入れる行為で、ラベリングが「点」の場所を決める行為だとすると、プロセシングは「点」と「点」をつないで「線」にする行為とも言えるかもしれません。
単なる「知識」はそれ単体では何の役にも立ちませんが、どう使えばいいのかがわかった瞬間に価値が生まれます。これが「発想」や「理解」と呼ばれるものの正体です

「ぶっ飛んだ発想」という言葉がありますが、これは他の人には「点」と「点」をつなぐ「線」がまったく見えないような「発想」のことです。

スティーブ・ジョブズがマッキントッシュのコンピューターを設計するときに、過去に受けたカリグラフィの授業で得た知識や経験をフォントに落とし込んだ話は有名ですね。
他の誰にも見えていなかった「線」が見えた人は「発明家」と呼ばれます

脳から情報を書き出す(アウトプット)

ここまでの話はすべて本人の頭の中で完結していましたが、アウトプットは、処理した結果を話したり書いたりして人に伝える能力で、他者とのコミュニケーションの中で発揮されます。

アウトプットの目的が「表現それ自体」の場合は「アート」、「課題解決」の場合は「ビジネス」と呼ばれます

喋るのが得意なら落語家に、書くのが得意なら文筆家に、描くのが得意なら画家に、演奏するのが得意なら音楽家になります。
アウトプットの形式によって職業が決まるということですね。

ビジネスマンにも「話したほうが早い」「なるべくテキストでコミュニケーションを取りたい」「文章よりも絵で伝えたほうがしっくりくる」などいろんなタイプがいますよね。
これも「どのアウトプットが得意か」ということに関係しています。

どの資質が優れているかで「どう褒められるか」が分かれる

人によって、どの資質が優れているかは千差万別です。
そして、どの資質が優れているかで「どう褒められるか」が分かれるのが面白いところです。

物知りだね」と言われる人は、インプットの量が人よりも多く、かつ、それを積極的にアウトプットします。

記憶力が良い」と言われる人は、ラベリングとプロセシングが得意です。情報をきれいに保管し、瞬時に引き出すことができる能力を持っています。

発想力がある」と言われる人は、人とは違ったプロセシングの仕組みを備えています。そもそも、インプットするものが人と違うこともあります。

論理的だね」と言われる人は、ラベリングをするときに自然と情報を構造化するクセがついています。また、アウトプットするときもきれいな筋道を立てて説明するのが得意です。

頭の回転が早い」と言われる人は、プロセシングの効率が良いです。何か情報を受け取ったときに、それに基づいて「発想」「理解」するのが早いということです。

内省力がある」と言われる人は、定期的に自分の考えを自分に向けてアウトプットすることで、脳内のラベリングをアップデートしています。

自分の資質について知っておこう

自分がどの資質に秀でているのかを知っておくことや、一緒に働く人がどの資質に強みを持っているのかを知っておくことは、チームの生産性を高めるうえでとても重要です。

「頭が良い」「頭が悪い」で立ち止まらず、もう一歩踏み込んで、どんな頭の良さがあるのかを考えてみると、新しい気づきがあるかもしれません。

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