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株価とは(ファイナンス理論の基礎の基礎)

Twitterで「株価が安くなったから買う」というツイートを見たので、「すごいなぁ、無理」という気持ちで見守っていました
なんで無理かと思う理由を、株価の決まり方から話したいと思います


株価を予測して買うなんて無理

将来の株価を予測するということは、その会社が、将来どれだけのお金を稼ぐかを予測するということと、理論的には同じです
当てるのは難しいでしょう

※なおテクニカル方面の話はしないので、そっち方面の反論は全部無視します
悪しからず

株価とは

ファイナンス理論によると、
「株価とはその会社が将来生み出すお金(=時価総額)を、発行した株式数で割ったもの」です

例えば

発行株式数は、公表されています
私が少し持っている丸善CHIホールディングス(ジュンク堂、hontoなどを展開。私は本が好きです)は、四季報によると「92,554千株 時価総額 335億円(2022/7/31現在)」だそうです

335億円(時価総額) ÷ 9255万4千株 = 362円 がこの時点の株価です

難しい理由

日々変わるのはこの「335億円(将来稼ぐお金)」です
なにぶん将来の予測です。ビジネスの状況は毎日変わるので、将来予測も毎日動きます。株価を予測するということは、将来その会社がいくら稼ぐかを予測することになります。
結構大変じゃないですか?私には無理かな

予測の方法

だいたいの将来予測は、経営者が
「私たちは、こういう作戦で、これくらい稼ぐわ!」と目標を立て、
アナリストと呼ばれるえらい人たちが
「おっけー理解!じゃその前提で投資するね!」とか「いや、もっといけるんじゃね?」とか「そりゃ無理筋の目標やん」とか言いながら検証し、彼らの考えるモデルで計算して「収益の予測=時価総額」を決めたりします(例えば、ですが)
この時価総額を発行株式数で割ると「理論株価」を導けることになります

もちろん、アナリストではなくても予測はできますので、いろんな人の予測で市場は動いています

買うべき株

では、どんな株を買ったら幸せになれるんでしょうか?

アナリストは割安株を買えるか?

理論株価より安くなっていれば、割安なので買い、ということになります

が、アナリスト予測が必ず当たるなら、アナリストは必ず割安で株を買って高めで売り抜けることですごいお金持ちになるはずですが、残念ながら(それなりに高い給与だと思いますが)多くの人はフツーのサラリーマンです。
もちろん、アナリスト予測は仮説やデータがあってのことですし、一定の信頼性はあると思いますが

万人が買うべき株はない

私が前述の丸善CHIホールディングスを持っているのは、単に本屋さんの株が欲しかっただけです。本屋さん業界を応援したかっただけです。ジュンク堂の株主優待券がもらえて、丸善Cafeのハヤシライスが株主総会のお土産でもらえ、さらに株主総会では経営に対して質疑もできたからです(お土産は廃止になりました)

正直(というか理論上)利益だけをねらった株式投資というのは難しいと思います
資産形成なら、個人的にはインデックスファンドをおすすめしますが、その話はまた別の機会に

断り書き

  • 時価総額は正確には将来キャッシュフローの現在割引価値(PV)ですが、割引率に触れていないためそこは無視しました

  • 株価を観察する視点で書いていますが、経営者視点では違った景色が見えてきます。彼らは投資家(本文中ではアナリスト)に対し、CEOやCOOは事業戦略を、CFOは財務戦略を前提に「ウチはこのくらい儲かる」と表明し、対話をしていくのが仕事です。そういう意味では彼らには「あるべき株価」というものが存在します。
    自社株買いはその「あるべき株価」を下回った時、「うちらが考える株価はもっと高いでぇ」という表明のためやることです

  • 株価は直接的には投資家の市場の買い手と売り手の合意で作られるものなので、投資家の心理や癖、パターンで決まるんだといういわゆるテクニカル分析という手法もありますが、本稿ではその議論は割愛しています

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