Ⅱ-3.どこまで“課金”をするべきなのか~それぞれの事情
訪問ありがとうございます。フィギュアスケートを考えるnoteです。
この記事では、ファンが金銭を伴う応援をする自由について書いています。
全5000文字を越える長文になってしまいました。
“課金”は一般とオタクでは逆の意味
課金。
料金を課するという、本来ならば取り立てる側が使う用語。(税金を徴収することを「課税」と呼ぶと言えばわかりやすいですね)
しかし、ネットスラング的な…ネトゲユーザーなどのオタク間で使われている意味合いは逆です。ユーザー個々人がコンテンツの提供者に対して金を出す(※積むとも言う)ことを"課金"と呼びます。
ネトゲ界はユーザー主体と言えばまあそうなのでしょう。運営がウマくなくユーザーが離れ資金が得られずコンテンツも改悪されていくという負のスパイラルに陥った結果サ終するソシャゲはごまんと存在します。(つらい)
このオタク的“課金”という用語を、課金の本来の意味を知っていたはずの一般人…フィギュアスケートファン層にまで広めたのは、まず間違いなく宇野昌磨選手の功…罪でしょう。絶許。
金銭を伴う応援の種類
身銭を切って応援する。
金額の大小の差こそあれ、お金を出すこと自体は簡単です。
少し挙げるだけでも、
・ファンレターを送る…紙、インク、切手代がかかります。(無駄にテーマを合わせたりしませんか、好きなキャラの便箋で送ったり…)
・プレゼントを送る…プレゼント購入代、送料がかかります。送り状のインク代等もかかります。
(余談のお節介ですが、プレゼントを送るための宅配便に信書(※意思を表した文章、いわゆる手紙)を入れている人はいませんよね? 宅配便への信書同封は郵便法に違反するので、直接手渡しorプレボINするとき、定形外郵便orレターパックで発送する時だけプレ&ファンレを一緒に入れましょう)
・衛生放送を契約する…CS、BSを契約する。BSは以前に比べてだいぶ手続きが簡略化しましたね。しかし結局は有料チャンネルです。
・競技会観戦やショー鑑賞用のチケットを購入する…最もわかりやすい支出です。ショーへの追加キャスト発表で慌ててチケットを手配するパターンもありますね。(最初から全員発表してほしいです)
・ライブストリーミングを見るためにオンラインパックの契約をする…NBC Sports Goldは米国コンテンツ、OZ Sportsはフィンランドコンテンツなど、各国でパックを出している印象があります。デイリー/大会通し/マンスリー/シーズナルパスなど。(日本は一局に放送権が集中しているわけではないので今後はFODなどどうなっていくのか…民放共同企画が影響することはあるのでしょうか…)
・アーカイブを見るためにオンラインパックの契約をする…前述のNBC Goldはライスト配信だけでなく同時にアーカイブも充実している契約です。ブロック大会を含めてアーカイブが残るのがありがたすぎる。
・公式グッズを購入する…所属事務所が出すグッズ、出版社が出す写真集、スポンサーが出すグッズ、コラボ会社が出すグッズ、フィギュアスケート用品店やスケートリンクが出すモチーフグッズなど。(アイリンかわいいよアイリン。ムジカラボさんはS特強だけじゃなくて特A面子も戻してあげて下さい…)
・専門雑誌を購入する…アンケートを出すまでが雑誌への出費と言えるでしょう。強化以下にも光を当ててもらいたい人は尚更です。(版元宛の要望は直筆が"強い"です)
・関連書籍を購入する…元選手や現選手の著書、記者さん手記の単行本、面白いところだとトレーナーさん監修の付録中心雑誌などがありましたね。(これも版元に一筆したためると後の展開につながる可能性が増えるでしょう)
・スポンサーの商品を購入する…スポンサー付きの選手に使える手ですが、反響を伝える方法としては正直弱い方法なのかもしれません。社広報部に訴求効果をアピールすることがポイントでしょう。特別な選手はいないけどフィギュアスケート界の発展を願うという人はKOSE、ニチレイ、LOTTE、MIZUNO、ANA、資生堂、味の素あたりを買っておきましょう。スケ連ホームページ下部のオフィシャルパートナー、大会ホームページオフィシャルパートナー、リンク脇の企業ロゴの顔ぶれを要チェックです。地域のスケートリンクの運営/ネームライツ所持会社に定期的に感謝を伝えるのもいいことだと思います。
・スケートリンクに入場しに行く…週末/季節性スケーターは国内にたくさん居ます。見るだけのスポーツから、行う・親しむスポーツになるための素地は十分あるでしょう(生涯スポーツとしてスケートは優れている点が多いと思います)。しかし、スケートリンクの施設数はスケーター人口に対して圧倒的に少ない。別記事(Ⅰ-3など)で後日ソースを出しますが、とにかく練習場所が少ないのです。これではスケーターが増えません。特に選手の練習場所としては…海外に出るという選択肢が有力になってしまうのも仕方ありません。ちょっと涼みに、週末の余暇として。スケートリンクに行く、というのも粋ではありませんか。
フィギュアスケートファンは、これだけ色々な場面でお金を出して応援することが可能です。
『課金は手段』~ゲオタ的に身に染みているファン間の分断
『課金は負けではない。強くなるための手段です』 by宇野昌磨氏
件の迷言。オタクカルチャーを出すんじゃない。
この言葉を言っていたシーン、宇野選手はスマートフォンを触っていました。ネットゲームでのことに言及していたわけですね。
ネトゲの有料コンテンツはとにかくシビアに売上に直結します。デイリー、ウィークリー、マンスリーでどんどん『人気順(※お察しください)』に反映されます。毎日ランキングが地を這っていたら…後は考えないようにしましょう(とてもつらい)。
課金にも色々と種類があります。強力なスキルを持つ新規キャラクターを、運任せではなく確実に入手するために課金が必要なパターン。既存キャラクターのスキン(デザイン)追加など、プラスアルファに課金をするパターン。戦闘系であるなら、より強力な武器に課金をするパターン。箱庭系なら、施設を作る時間を短縮したり、はたまた備蓄数を増やすために課金が必要だったり……。
総じてゲーム界では、課金というのは"強い"ユーザーであるために行う行為です。ゲーム内、他ユーザーを見かければ、"重課金か、無(理のない)課金か、無課金か"を一瞬で理解できてしまいます。きびしいせかい。
更に、ゲーム課金では特徴的なことがあります。キャラクターの扱いです。
ある一キャラクターが居たとして、攻略に必須なスキルを持っていたり、人気が高く公式グッズが爆売れするなどして、ファンの総課金額が多くなればなるほど、再登場…すなわち新規イベント・新規スチル化の可能性が高まるのです。
その人気キャラクターを好きな人はそれで満足でしょう。提供者としても売上が上がるのでWin-Winです。それならば…と、人気キャラにはいつも出番が多くなる。グッズ化するキャラ面子も、訴求力のある一部のキャラ達に固定されていく。そういうパターンを長い間見てきました。
しかし、その人気キャラ達以外の別キャラクターを好きなユーザーはどう思うでしょう。そのキャラ達が何度も何度も再登場できるくらいなら、別のキャラを活躍させる場も作れと、そう思うことはないでしょうか。そうやって人気キャラに悪い感情を抱いてしまい、提供者のこと自体も嫌いになってしまう…いわゆる闇堕ちをしてしまうパターン。これも、長い間見てきました。
当然といえば当然の、課金力でファンが分断されてしまうオタクカルチャー。
2020年現在、フィギュアスケートファンの中でも同じような現象が起こりはじめているように感じます。
これは普通のことだと、当然の流れだと思いますか?
自分は、課金の大小で新しい企画が決まる今はとても怖い時代だと思います。
なぜなら、フィギュアスケート選手はあくまでも生身の人間であり、プログラムを組みコントロールできるゲーム内キャラクターではないと思うからです。
ファン=楽しむこと に、お金は必要なのか?
話は変わりますが、子供の頃に遊ぶ時、何をして遊んでいましたか?
世代や地域によっても違うでしょうが、自分は、寺の池でザリガニを釣ったり、近所の水田でおたまじゃくしを捕まえたり、公園に生えた桜の木登りをしたりしていました。
ザリガニを釣るには割り箸とたこ糸があれば事足ります。おたまじゃくしを子供の手の平で捕まえるのは効率が悪そうに思えますが、これが意外と泥に擬態できるせいか成功率が高い。木登りなどは言わずもがな身一つでできる遊びです。
外遊びができない雨の日は残念ではありましたが、雨粒を受けてきらきら光る草木を眺めるのは雨の日にしかできないことでした。
お金をかけなくても、器具がなくても。運に恵まれなくても、情報が少なくても。遊び、楽しむことは意外とできてしまうものでした。
スポーツを見ることも同じことのように思います。
"課金"しなくても、地上波でテレビ中継してくれた競技会は見る。ニュース番組に選手が映ったら嬉しいと感じる。ショーが放送されていたら万々歳。
フィギュアスケートを見ることで満たされた気持ちになる。
そういったプラスの感情を持っていられるのなら、Fun…楽しむ人と言えるのではないでしょうか。
お金をかけないで楽しむこと。お金をかけて楽しむこと。
どちらもすてきなことだと思うのです。
自分の限度額を知る~自分のムリは他人のムリではない
所持金には限りがあります。
自分のお金をすべて自分に使えない場合もあるでしょう。家族に内緒で、あるいは反対されながら、フィギュアスケートファンをしている場合もあるでしょう。
逆に、バリバリ働きしっかり対価を得て、趣味であるフィギュアスケートに、応援したい選手のコンテンツ目がけてここぞとばかりにお金を注ぎ込める人もいるでしょう。
自分には自分の、他人には他人の事情があります。
自分が"課金"できない金額・状況だと思ったら、"課金"から身を引く勇気も必要です。
自分ではない他人に対して「こんな高いもの買えないよ!ね!?」と同調を求めて騒ぎ立てることは、お金の使い所を用意してくれている提供者に対して大変失礼な行為です。
"課金"することはサービスに賛同することです。しかし、"課金"しないことはサービスに賛同しないこと、にはなりません。
お金がない、フィギュアスケートコンテンツ用の余力がない、フィギュアスケーターに払いたくない、サービスが悪いから距離を置く、中間手配者やシステムに不安があるから避ける、たまたま企画を見落としていた…いったいどの理由で"課金"していないのか、提供者にはわかりません。
これが、無課金はサービスに賛同しないことにはならないという理由です。
いいじゃないですか。
内心では賛同したいのなら、企画にそっと『♡like』を押せばいい。
お金がなくて賛同できず悔しいというのなら、次回までにお金を工面すればいい。
サービスが、システムが悪いと感じたら、意見を送れば次回は直してくれるかもしれない。
ですが、これらは、とくに意見を送る際は、品を意識して行う方が良いと思うのです。
意外と他人は見ています。
問い合わせ窓口からの意見ではなく、インターネットのオープンスペースで、不満を述べ散らした思いやりのない言葉。
公式アカウントに読まれていないとお思いですか?
他のファンに読まれていないとお思いですか?
感情のまま話す人が、普段は誰を応援しているのか、わからないとお思いですか?
意外と他人は見ているものです。
自分の個人的な事情・感情をひけらかして我がを通すファン。そんな品のないファンが居たとして、ファン同士で良い感情になる場合は極稀です。
ひいては、ファンだけでなく、ファンを理由に、選手のこと自体を真っ直ぐな目で見られなくなる場合もあります。
自分だったら応援している選手には迷惑を掛けたくはありません。
"推しに課金"をする、しない。
その選択・行動の一つを取っても、選手を応援することもできますし、また逆に、選手を貶めることもできるのではないでしょうか。
締め・オタクのつぶやき
自分はサ終で泣きに泣いた結果今お金が出せる相手には突っ込みたいタイプのオタクなので、好きなもの、応援したいものには可能な限り"課金"します。でもフィギュアスケートに対してはすごくお金を掛けているわけではないです、FSだけに注ぎ込んでいるわけではないので。正直FS公式アイテムの中には額面として高すぎると感じているアイテムもあります。
ですが、それはあくまで自分の感じ方です。
額面が自分にとっては高くても、それを企画し・世に出してくれる人がいて、良いと感じ・購入する人がいる。ビジネスは成立しているのです。
自分の意識では高いと感じるアイテムはつまり、自分が対象になっているアイテムではないのでしょう。
構いません。自分には自分の応援の仕方があります。
誰もが持っているようなアイテムを持っていないからといって疎外感を感じることはありませんしね。まあ、持っていて優越感を感じるグッズはありますけれど(笑)このあたりは個人差があるでしょう。
結局、自分がやっていることは趣味です。このnoteも含めすべて趣味です。
趣味で不快になることほどもったいないことはないと思うので、快い感情でいつもいられるよう、背筋をしゃんと伸ばしていたいものです。
最後までご覧いただきありがとうございました。 YC