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ワークショップ:デジタル×サステナブル社会のデザイン

2022年9月27日~30日の4日間にかけて、東北大学の学生と若手研究者を対象とするワークショップを対面及びオンラインで開催しました。このワークショップでは、デジタル技術とサスティナビリティをテーマに、いかにしてデジタル技術が人間のwellbeing(幸福、よい状態)に貢献できるかを議論し、これからの技術社会を適切に予想し、評価しながら、社会とITを協調的に発展させていく方法を獲得することを目的としています。

東北大学の文系・理系の学生と若手研究者が全日程に計13人が2つのグループに分かれ、3日間にわたって朝から夕方までグループワークや全体議論を行い、翌日に振り返りのディスカッションの機会を設けました。

ワークショップの最初に、オーガナイザーの直江 清隆教授(東北大学大学院文学研究科)による本ワークショップの趣旨説明から始まり、総合進行を務めた山内 保典准教授(東北大学高度教養教育・学生支援機構)より、3日間ワークショップの全体像のご説明がありました。参加者に現状の課題と、その課題の歴史的・社会的背景について理解を深め、その上で、デジタルとサステナブルの関係を描いていき、また、分岐点での選択によってあり得た現在を想像するさまざまなプログラムをオーガナイザーが設計しました。

授業スライドより(総合進行:山内保典)

情報提供として、オーガナイザーの山口 光行氏(東京エレクトロン)、森嶋 雅人氏(東京エレクトロン)がデジタルの立場から、松八重 一代教授(東北大学大学院環境科学研究科)、福島 康裕教授(東北大学大学院環境科学研究科)がサステナブルの立場から参加者にレクチャーがありました。その後、参加者が2つのグループに分かれ、「デジタル技術との出会い」によって、自分の生活習慣をどう変えたか、もし出会う前に戻れたら、過去の自分にどのような助言をするか?について議論されました。次に、「2050年の将来人」になって、将来世代として魅力的な社会・生活習慣の具体像を描いて、現代に対する助言のワークを行いました。

グループ議論の風景
グループ議論の風景2
オーガナイザーの先生方も熱い議論を交わした

ワークショップの最後に、各グループが将来を舞台にして、デジタル技術を駆使したサステナブルな社会を作るためのプロジェクトを合同記者会見にて発表し、プロジェクト責任者(ワークショップ参加者)やメンバーは、将来人として即興で答える発表でした。

合同記者会見にて各グループが企画したプロジェクトを発表中

グループ1のプロジェクト概要
私たちの株式会社エコチェーンのプロジェクトでは、ブロックチェーン技術で電気生産の情報を可視化することによって、再生エネルギーの付加価値を引き上げました。同時に再生可能エネルギーの技術向上に取り組み、高効率・低コスト・小型・安定化を実現し推し進めるとともに、再生エネルギーに仮想通貨を付与するシステムや仮想通貨でのエネルギー売買を用いることで小規模高効率のエネルギーを地産地消しつつ、必要な時には地域間でのエネルギー融通が可能な売電システムを構築しました。そうすることによって、エネルギー循環型のまちづくり事業を展開することができました。

 グループ1より提供

グループ2のプロジェクト概要
グループ2からは「地球くんプロジェクト」が提案されました。この案の目的は、大量生産・消費社会の問題を解決するために、生産・消費者双方にSDGs達成へ貢献するゴミ処理を意識させることです。
「地球くん」は各ゴミ捨て場に設置されるキャラクターで、ホログラムとして住民の前に姿を現します。そして「地球くん」が自身の健康状態の可視化やアドバイスなどを行うことで、出されたゴミのサステナブル度合いについて住民へフィードバックを行います。それにより、住民の消費活動が地球に及ぼす影響を直接的に認識させることができます。
質疑ではこの計画に対し、地域によって異なるゴミ捨て場の状況を考慮が必要という指摘がありました。その一方で、色んなキャラやフィードバック方法の可能性に関する期待の声も示されました。

グループ2より提供

最終日は振り返りの全体討論の機会を設けました。学生参加者もそれぞれ自分たちの議論や他のグループの発表に対してコメントを寄せ、また、サステナブル×デジタルな社会において、どのような人材(スキルや心構え)が必要になるか?について、自分がどう貢献したいかを議論しました。

(文:東北大学知の創出センター 陳怡靜)


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