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魚の王国七尾で 鰤をたっぷり堪能!

「Fのさかな」をテキストに魚の知識や雑学を「学んで・釣って・採って・捌いて・料理して・食べる」を自由気ままに体験。そんな魚づくしの体験旅を「のと島クラシカタ研究所」さんと編集部がコラボ開催している『魚道を極める』ツアー。釣りの聖地としても名高い七尾・能登島を舞台に「鰤編」が開催。その模様をレポートします。

鰤について学びつくす

今回も特別講師として、東京で完全紹介制の寿司屋「酢飯屋」を営み、海と魚をこよなく愛する「すし作家」、岡田大介氏をお迎えして開催。初めに座学で鰤の生態、鰤とヒラマサの見分け方、そして鰤に因んだ文化など、昔から日本人の生活と関わりの深い鰤について学びました。

東京で完全紹介制の寿司屋「酢飯屋」を営み、海と魚をこよなく愛する「すし作家」、岡田大介氏
まずは「Fのさかな」をテキストに座学で学びます

8㎏の鰤を体感してみる

座学の後は、調理場で鰤に触れながら学びます。今回は8㎏もある鰤を岡田氏が解体しながら説明していきます。こんな機会は中々ないので、解体の前に8㎏の鰤を実際に持ってみて重さを感じてみることに。ズッシリどころではない重量を感じながら、改めて自然の凄さと恵みに一同感動。ここからは、岡田氏が各部位を説明しながらトレーに並べていきます。


8kgの鰤を体感する貴重な体験。ズッシリどころではない重量感。漁場ではこの大きさが次から次へと揚がると考えると、自然の凄さに改めて感動します。

鰤を解体しながら学ぶ

鰤の皮引きから始まり手際良く解体していく講師岡田氏。「魚を捌くときは滑って危険な為、包丁の手は何があっても濡らさない」「腹を開くときは背を下にすると内臓が落ちるので、傷を付けにくい」など、要所でワンポイントアドバイスを交え、魚の部位の役割、部位に適した料理の説明も加えながら解体講義が終了。

皮引きは修行時代に学んだ技術。刺身や寿司だけでなく、熟成、保存する際にも行う技術。金束子で引く場合もあるが、より大切に扱うときは包丁で行うらしい。
魚を立てると中骨に沿っておろしやすい。
岡田氏よりコツを伝授。体験しながら職人の技を学ぶ。
見事に各部位に解体された鰤。美しく整理整頓され、日常ではなかなかお目にかかれない光景。一同マジマジと希少部位に目を向けていました。

いよいよお待ちかねの調理に入りますが、今回は特別ゲストとして料理研究家で作家でもある樋口直哉氏も参加し、岡田氏が捌いた鰤を樋口氏も調理するという豪華共演となりました。鰤は捨てる部位が少ないとも言われていますが、はてさてどんな料理が出てきたのでしょうか。

普段味わえない鰤料理の数々

その場の発想で料理を仕上げていく岡田氏と樋口氏。藁を見つけて藁焼き寿司に仕上げたり、福岡の郷土料理「ごまさば」を鰤にアレンジしたり。その他、一匹の鰤から驚くほどのバリエーションが出てきます。鰤から出汁をとった旨味たっぷりの白湯スープや香ばしいケイジャンスパイス焼き、巻鰤サラダ、鰤の胃袋の和物、鰤の心臓の刺身、鰤の骨髄ゼリー、幽門垂の甘辛煮など、書き切れないほどの品数と普段味わうことの出来ない食材、料理を地酒とともに味わう贅沢なひと時を過ごしました。

鰤の藁焼き寿司。大根おろしと一味を添えて。藁の香ばしさと鰤の旨味を感じる一品。
樋口氏が手掛けた鰤料理の数々。鰤の骨から出汁をとった旨味たっぷり白湯スープ。味しみしみ鰤大根。中島菜と巻鰤のサラダ、ケイジャンスパイス焼き。
鰤の幽門垂の甘辛煮。深い旨味と独特な食感が相まったクセになりそうな逸品。
ビタミン・ミネラルの宝庫と言われる鰤の心臓を刺身で。右が「心室」。左が「心房」。
ゼラチン質の鰤の骨髄。関節ひとつひとつの隙間から取り出した。少し塩味が効いている。

能登の伝統食「巻鰤」を体験する

今の様な冷凍技術がない時代、能登で水揚げされた鰤を京都や金沢まで運ぶ為に考案されたと言われる「巻鰤」。そんな能登の伝統食を当時の製法から体験。塩漬けにした鰤を藁などで包み、縄できつく縛り上げます。風通しの良い場所に吊るし、半年間熟成させて完成です。しかしこの縄巻きの工程がかなりの重労働。体験して初めてわかる先人の知恵と労力に頭が下がります。完成は半年後ですが、巻き終わった達成感と半年後の出来栄えに期待しながら、今回の「魚道」は無事終了。参加された皆様、お疲れ様でございました。

藁で包んだ鰤を縄で巻いていく作業。かなりキツく巻いていかないと後ろが緩んでやり直し。三歩進んで二歩戻る作業の繰り返し。
いつしか無言になり、黙々と一人で没頭してしまう。冬場でもかなり体が温まる作業です。先人は一人で何本も作っていたのか・・・。
約1ヶ月塩漬けにした鰤をセロハン、新聞(当時は当然ありません)で包んだ後、藁で包み縄でグルグル巻きにしていきます。
ようやく完成。重労働から解放され、自然と笑顔が溢れます。でも食べられるのは半年後なのです。

■講師から一言

ブリと言えば、ほとんどの方が知っている魚だと思います。しかし、ブリについてどのくらい詳しくお話できますか?と問われると、意外と多くを語れないのがブリでもあります。座学で学んだことを、すぐにリアルで体験できる『魚道』では、今回もその全てを体験いただき、参加者みんなでブリ三昧のお食事会をすることができました。全工程を五感で感じ、和気あいあいと楽しめる『魚道』、今後も皆様のご参加お待ちしております。

『魚道を極める』特別講師 岡田 大介 氏

1979年 2月2日生まれ。 東京都文京区 江戸川橋駅近くにて、完全紹介制・完全予約制の寿司屋『酢飯屋(すめしや)』を経営。 「やりたいことは、やってみる」。それが岡田大介の基本理念。

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