学F日本大会2021レビュー

 こんにちは。学生フォーミュラアカデミーのパーシーです。

 2年ぶりの開催となった学生フォーミュラ日本大会2021が閉幕しました。

 コロナ禍の影響で大会1ヵ月前に動的審査の中止が決まり、静的審査のみという異例の大会となりましたが、それでも昨年とは異なり、大会が開催されたことで学生の皆さんの頑張りを披露する場が用意されたことは素直に嬉しく思います。

 また私自身も一OBとして楽しませてもらいましたし、大会期間中は各種目の結果発表が気になって仕方がなくて、仕事の合間に大会ホームページをチラ見していたのはここだけの話です。笑

 というわけで、皆さんのお役に立つコンテンツになるかは分かりませんが、せっかくなので大会の盛り上がりに乗じて、今年の大会で私が感じたことを書いていきたいと思います。

 まずは今年の大会で活躍したチームをいくつかピックアップしていきたいと思います。


1.神戸大学 FORTEK

 まずは初の総合優勝を果たした神戸大学の皆さん、本当におめでとうございます! ペナルティ無し、全種目で1桁順位というリザルトで総合力が高かったですね。

 2年前の前回大会でもチーム史上最高成績の総合5位入賞から、着実に力をつけての優勝で、変則的な大会ではあったものの、実力で勝ち取った素晴らしい結果だと思います。

 今回の結果を受けて、FORTEKの歴史を遡って確認したのですが、参戦の歴史は古く、第2回大会から参戦を続ける古参チームの1つだったんですね。

 そしてその第2回大会のリザルトはなんと、、、最下位!

 優勝したチームは過去に11チームいますが、その中で最下位と総合優勝の両方を経験したことがあるチームはFORTEKのみですね。17年越しの史上最高の下剋上達成おめでとうございます!


2.千葉大学 CUFP

 こちらもチーム史上最高成績となる5位獲得、おめでとうございます!

 大会前は少なくとも優勝争い候補としては名前が挙がっていなかった伏兵が、デザイン審査(ファイナル2校除く)、プレゼン審査の成績発表時点で暫定首位となり、このまま逃げ切るのでは、、、と大金星を期待したのは私だけではなかったはずです。

 コスト審査でこそ、やや苦戦を強いられたものの、それでもノーペナルティで全ての種目でTOP10を記録する安定感はさすがの一言です。

 緊急事態宣言等の影響で関東勢が軒並み苦戦する中で、さらに先日の豪雨の影響でガレージが浸水被害にあったとのこと。 それらの逆境を乗り越えて車両を完成させ、特にデザイン審査で3位を記録しての好成績は素晴らしいですね。

 私の中で千葉大学といえば、爆速のアクセラレーション、日本が誇る直線番長(これは褒め言葉ですからね!)ってイメージなんですが、彼らの車が一桁のゼッケンをつけて、来年の大会で気持ちのいいエンジン音を轟かせて走り抜ける姿を観るのが今から楽しみです。


3.岐阜大学 GFR

 久しぶりに現れました! 中堅校の星! 総合7位という好成績おめでとうございます!

 大会の盛り上がりと発展のためにも、中堅校から上位を目指すチームを応援したい、そのためのヒントを発信していく、というコンセプトの学生フォーミュラアカデミーとしてはこのチームに触れない訳にはいきません!笑

 大会が成熟していくに連れて、上位校の顔ぶれが固定化されてきている中、エンデュランスリタイヤだったり、一時的に低迷していた後に復活してくるチームを除くと、30~40位台から抜け出せなかった中堅校が、いきなりTOP10へのジャンプアップを果たした例は決して多くないでしょう。

 多くの関係者にとっては意外な結果だったであろう、今回のGFRの好成績ですが、実は私にとってはそれほど意外な結果ではありませんでした。

 その理由は自動車技術会の公式YouTubeチャンネルのこのインタビュー動画にあります。まだ観たことない方にはぜひ一度観てほしいです。強さの秘密が詰まっていると思います。

学生フォーミュラチームリーダーインタビュー #2 岐阜大学

https://www.youtube.com/watch?v=CuV3O4o1mv4

 中堅校が一躍上位に進出する時のパターンの1つとして、こういったリーダーの元で、やる気に溢れた同期や後輩が一丸となって、地に足を付けた目標を持って活動をやり切るという例は多いように感じます。

 今年の大会で奮わなかったチームで来年は上位を目指したい!というチームはぜひ、参考にしてほしいと感じました。

 そして個人的にはプレゼン審査で1位を取った事業計画がどんなものだったのか興味があるので、いつかお話しが聞ければ嬉しいなと考えています。



4.東京大学 UTFF

 この名前が久しぶりに大会リザルトの上位に帰ってきましたね。TOP10への返り咲き、おめでとうございます!

 約10年前に学生フォーミュラに参加していた我々世代のOBにとっては、東京大学と上智大学といえば、絶対に敵わない2強でした。

 特にサイドエンジンレイアウト・ターボ・CVTという変態コンセプト(これも最大級の褒め言葉です。)は王道をいく上智大学と対照的で誰にも真似できないからこそ、憧れのようなものを感じていました。

 一時は時代の流れに乗るように単気筒エンジンを用いた軽量コンセプトに舵を切った彼らですが、その後経緯は分かっていませんがチームは一度解散し、数年前に再発足したのをきっかけに今年の大会は原点回帰で優勝当時のパッケージでの参戦となりました。

 こちらも東京という、コロナ禍の影響が最も大きかったであろう地域ながら、チームのブログやTwitterを毎日のように更新し、非常に精力的に活動に取り組んでいたのが印象的でした。

 来年はぜひ、その走りでも古豪復活をアピールしてもらいたいですね。

 本当は他にも取り上げたいチームがたくさんあったのですが、今回は4チームに絞らせてもらいました。

 目標としていた結果を達成できたチームの皆さんは本当におめでとうございました。



5.悔しい結果に終わったチームの皆さんへ

 私は学生フォーミュラに参加する皆さんには、競技会である以上、とことん結果に拘ってほしいという考えを持っています。

 ただここでいう結果は優勝とか、入賞とかの相対的なもの以上に、自分たちが置かれた立場や環境を踏まえて、チーム発足時に決めた目標に対して、勝てたか、負けたかが大切だと思っています。

 前年が50位だったチームが30位という目標を掲げて、それを達成できたなら、それはチームにとっての勝利だという考え方です。

 ただ、今年の大会が満足いく結果で終われなかったチームの学生も、その過程で大きく成長していますし、その悔しさは負けを経験した皆さんだけの財産です。

 その成長と今抱えている悔しさは来年の大会でリベンジするための原動力になるので、ぜひ悔しさを1年間持ち続けてもらいたいと思います。

 ※ちなみに大会直後だけモチベーションが高くても、次第に薄れていく現象のことを、私の母校では「大会’sハイ」と呼んでいました。ご注意下さい。笑



6.卒業を控える学生の皆さんへ

 悔しい結果に終わっても来年リベンジのチャンスがある学生はいいですが、卒業を控えている学生の皆さんにとってはやり場のない気持ちが芽生えているかもしれません。

 特に今年はコロナ禍の活動制限や、動的審査の中止でそういった学生が例年以上に多いのではないかと感じています。

 そんな皆さんにお伝えしたいのは、今年の大会で仮に、いい結果が出せなかったとしても、これからの半年間で皆さんが学んできたことを全力で後輩に伝えて、その想いと共に次の世代にタスキを渡して下さい。

 これは私の持論にはなるのですが、皆さんのこれまでの努力がチームの血肉となって、その結果、仮に数年後だったとしても、皆さんの母校が勝利することがあれば、それは卒業後であっても、皆さんの勝利だと思います。

 だからこそ、卒業前に引退するのではなく、在学中は現役に交じって、全力で学生フォーミュラ活動に取り組んで、笑顔で卒業してもらえる人が一人でも増えることを願っています。

 今年の神戸大学のように、優勝したのは今のチームメンバーかもしれませんが、初参戦の第2回大会の時は最下位だったかもしれませんが、チームを立ち上げ、その後に十数年かけて多くの先輩たちが繋いだタスキがなければ、今回の優勝はなかったはずです。

 そういった意味で、この場を借りて、歴代の神戸大学のOB・OGの皆様にもお伝えしたいと思います。初優勝、本当におめでとうございます!


 来年の大会はすでに始まっています。きっと来年は車を走らせるチャンスもあるでしょう。引き続き学生フォーミュラアカデミーは大会に参加されている全ての学生さんの頑張りを応援しています!


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