人は夜にしかレコードをかけない
地域に特化した、想像通りの地元の塾といった小さな塾のアルバイト講師を半年で辞めて、東京で最も栄えている場所と言っても過言ではない新宿のレコード屋さん。そこでレコードが回る。
電車に揺られながら聴いてた、あのロックスターがレコードを買いにくる。独りで、もしくは愛する誰かや誰かたちと共に過ごすであろう夜に、針を落とし、小さな星がフワッとレコードの溝から湧き上がる。静寂の中で星が輝くのを見るために人は夜にしかレコードをかけない。
私はレコード屋で、多くの客が狭いフロアで同じ音楽を共有しているのが好きだった。
私は気持ちが沈んでいる時しか文章を書かない。『グラディエーター』のラッセル・クロウが邪悪な王に感情を逆撫でされようと気高さを忘れなかったこと。親に捨てられた話と自分の過去の蛮行を絶えない愛想笑いでする彼を見ながら私はふとそのシーンを思い出した。古き良き友人の今と、これから来るべき異国の地での私の姿、そんな不安も文章でしか書けない。
脳に人が侵入してきて、彼もしくは彼女らに満たされたとき、私の心は嬉しかったことと、一回り上の人と話した時に得られる学びとか、そういうのを嬉しいと思う。と同時に、人と人と人に混乱されて、私が信じるべき人と人と人が今の私を見てどんな表情をするのか想像できない。
音楽を聴き、映画を観て、本を読み、人と話す。一人でいることから救われるために。
傷つきたくないなら傷つけてはいけない、幸せになりたいなら幸せにさせないといけない。時々思い出すことは、中学の制服を着た帰り道、一番仲の良かった友人としょうもない話で笑いあったこと。
私はこれまで本当にたくさんの音楽を聴いて映画を観て本を読んできたよ。
I know nothing seems to excite you anymore
I know it feels like you've got nothing to look forward to
But it's OK-everybody feels like that sometimes
It's just a phase we're going through, that's all.
君をワクワクさせるようなものは何もないように感じるのを分かるよ
何も楽しみに思えることがないように感じることも分かる
でも大丈夫、みんな時々そんな風に感じることはあるさ
誰もが経験する時期なだけ、ただそれだけ
(英国バンドSpearmintの代表曲「We’re Going Out」から一部歌詞抜粋)
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