ポエ文(ぶみ)その1

 ゆめうつつからゆめを引いたらうつになった。想定どおりの朝を迎えて、規定通りに押しかかる期限期限の波にもはや急ぐのもわざとらしい。体を起こしたリクライニングの傾斜を今度は登らなければならない一日の始まり。 
 1000分の1の鱗となって回遊する海。ぽろぽろと剥がれるように落ちていく、見分けのつかないそれを見送った私もまた落ちる。自分も栄養も運んでくれる大きな海流は、保護者なのか捕獲者なのか、呼び方にいつも悩んでいる。
 生産を散々こなし、最後通告を再三申し伝えられて、最後は自分でとナイフ。刺す勇気もないと聞こえた。枯れた鱗には痛覚も遮断されているのか。 
 海の中では耳のない私にも声が届く。足音、鼓動、自分の息さえも聞けなくなった私に悪意の波状攻撃。それは壊れたスピーカーだったが、スイッチを押しても切れなくなったそれは故意犯よりも質が悪かった。仄暗い紺色の向こうに早く帰りたいと思う。それは100分後の現在地。鳴り止まないスピーカー。
 頭の雲を増やす薬でベッドメイキングを行う。電気信号がバチバチと高鳴って賦活。羊が空を跳んでいる。終わらない悪夢を打ち消すために、今日も裏側のブラウン管に電気を通す。電気羊の毛皮をまとって目を閉じる。

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